情事の風景

Lynx🐈‍⬛

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身体から始まる

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 マッチングアプリで知り合って、交際を始めた男女も多いだろう。
 此処にもまた、ラブホテルで出会ったばかりの男女が利用していた。

「シャワー浴びる?」
「………うん、浴びてくるわ」
「俺はビール飲ませて貰うよ」
「…………分かった」

 身体の相性が見たい、と男から提案され、女もそれに乗ったのだ。
 女は言ったはいいが緊張し、男も初めての相手は緊張するのか、ビールを冷蔵庫から出し、喉を潤している。
 暫くし、女も男も身体を洗った後、ただそのまま帰る訳では無い。

「待たせてごめん」
「っ!」
「緊張………してるよね?」
「ま、まぁ……それは……」

 バスローブを羽織り、肩からタオルを掛け、濡れた髪を乾かしながら、女に手を翳す男。

「如何する?」
「…………如何するって?」
「ソファでヤル?ベット行く?」

 ヤラない選択肢を与えない男。

「ベット行くわ」

 女は男の手を取らず、ベットの脇迄歩いて端に座った。

「………キスはする?」
「………え?」
「居るじゃん、好きじゃない人とはキス出来ないって人……」
「…………あぁ……口に?」
「そう」
「貴方は如何なの?」
「俺?出来るよ?」
「好きな相手じゃなくても?」
「嫌いなタイプじゃなきゃね」
「…………」

 この男は嘘吐きだ。そう思った。
 この男には付き合っている女が居る、と直感する。

「いいよ、私にキスしても」
「………じゃ、遠慮なく」

 男は女の前に立ち、腰を屈めると女の顎を上げ、キスを落とす。ねっとりとした執拗の舌使いの男。
 舌が絡まり、くちゅくちゅと音が鳴る。それが女の口に唾液が溜まる迄続けられると、漸く男は銀糸を引いた唇を離した。

「脱いでよ」
「………そっちも………ね?」

 お互いに自ら脱ぐバスローブがベット脇に落ち、女はベット中央に上がった。
 男の方は準備万端で、天井を指す竿が、立派に主張し、女の中に入れるのを待っていた。

「先に着けとくよ」

 ベットの枕元に綺麗に並べられた数個の個包装のスキンが今から行う行為を後押しし、その個包装を男が手に取ると、手慣れた手付きで根本迄装着した。

「舐めてもいい?見たい」
「舐めたら、キスしないわよ?私」
「いいよ………中にキスした方がいいでしょ?嫌と言う迄キスしてあげる自身あるよ、俺長いから」

 長いというのは、サイズでは無い。長い時間酔わせてくれるという長さだ。

「うん……楽しみよ……」

 女がそう言うと、男は女の腰を持ち、足の付け根に頭を沈め、何度も女を酔わせた。

「ああッ、ああっん……」
「いいね………君の中………締付け最高だよ……ね……俺と付き合ってよ」
「っ!………今………女居るでしょ!貴方………」
「あぁ………別れるよ……最近、ヤラせてくれなくなったしね………」
「………それなら………ちゃんと……別れてきて!」
「了解っ!」

 世の中の男女で、こんなやり取りをする者は多いだろう。
 それで本当に別れてこの女と付き合ったのかは、この2人だけが知る。

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