【完結】竿師、娼婦に堕ちる月の夜

Lynx🐈‍⬛

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絡み合う迄

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「蝶子…………触れ合いたい……」
「…………で、ですが………あの……」

 耳元で囁かれる隼人の甘えた声。『触れ合いたい』と言われたらもう、蝶子でも分かる夜伽だ。気持ちが通じ合えた喜びの流れで隼人は言ったと思われるが、蝶子はまだ戸惑っていた。

「結婚するんだ………それに………………だが、俺は隼人として包み隠さず蝶子を愛したい」
「……………ズルいです……隼人様………そんなお言葉…………断れません……」
「やっと、蝶子の攻略法が分かったからね………今迄は難しくて、新之助達に本当に嫉妬してたから………」
「隼人様…………嫉妬なさるのですか?」
「………………に、鈍いよね、蝶子……」
「そ、そんな事は…………あるかも………しれません………」

 思い当たる節がある蝶子。声をしっかり記憶していれば、月夜が隼人だと分からなかった筈はないのだ。それを緊張から隼人の声を忘れ、別人だと思っていたから、権藤にバレずに済んだのだ。

「蝶子、寝台へ行こうか………」
「………は、隼人様は本当に私の様な者でも良いのですか?汚れた身体の私で………」
「あの後、上書きしたろう?嫉妬の丈を蝶子にぶつけてしまったが、俺は嬉しかった」
「………………うっ…………」
「また泣く………俺は蝶子が泣き虫だと、知らなかった………あの事で蝶子の知らなかった面が知れて嬉しいんだ。同時に倍以上の悔しい思いをしたけどね」
「…………私も、あの後月夜さ………いえ、隼人様に抱かれて幸せでした………」
「これからも、俺との幸せを噛み締めてくれるか?」
「…………はい」

 隼人の手が、蝶子の手を包むと、左薬指に口づけを落とした。

「知ってるか?欧州では夫婦の証にここに指輪を贈り合うんだ………用意をしているから明日、一緒に百貨店に行こう………高蔵寺家へ行く前に……」
「指輪ですか?そんな、私には恐れ多い……高価な物は必要無いんです……」
「1つぐらいお揃いのを身に着けていてもいいだろいう?離れた場所に居てもお互い感じ取れるから………」
「離れた場所でも感じ取れる………」

 蝶子の顔からして、断わる様な印象ではないものになる。寧ろ嬉しそうだ。

「…………貰ってくれるよね?」
「……私も隼人様とお揃いの物を身に着けたいです……でも、本当にそれぐらいで………私は…………今以上に欲しい物はないので……」
「え?俺、何かあげたっけ?」
「……………は……隼人様……からのお気持ちで………胸がいっぱいで………」
「……………っ!!」
「…………きゃっ!!」

 隼人が立ち上がり、蝶子を抱き上げる。

「俺からの気持ちはまだまだあげるつもりだから、今で胸がいっぱいだと困るな………妻になるから遠慮なく蝶子を今でから戴くよ」
「……………め、目隠しは?」
「………俺は、蝶子の顔を見ながら抱き合いたいんだけどなぁ」
「私も隼人様のお顔………見たいです」

 ベッドに下ろされた蝶子。脇に座らされ隼人は蝶子の前で跪くと、帯留めを解く。

「…………脱がすよ」
「……………は、はい……」

 帯留めを解くと帯が開放される。何重にも巻かれた帯が蝶子の腰回りに弧を描かき落ちた。

「この着物、似合ってる」
「………素敵な着物です………大事に着させてもらいますね」
「気に入ってくれて良かった…………それにしても、蝶子は腰回り細いから手ぬぐいで何重にも巻いてて苦しくない?」
「着物はそうしないと綺麗に着れませんよ?」
「そうだな………手ぬぐいはまだ後から使うから……………あぁ……やっと見えた……」

 手ぬぐいだけベッドの上に置き、帯や着物は、部屋にあった衝立に掛けた隼人。襦袢だけは残してはいるが、前は紐を解き胸が顕にされている。

「…………み、見つめないで下さい……」
「今更?」
「…………今更でもです…」

 隼人も着ていた服を下半身だけ残し、蝶子を押し倒した。

「蝶子…………愛している」
「隼人様……」

 唇を重ね、舌を絡める。くちゅくちゅと隼人との間で唾液が溢れる程、無我夢中で貪り合う。蝶子の口内に溜まる唾液を思わず飲み込み、喉がなった。

「……………やらしい顔……」
「………はぁ………はぁ……」
「この顔がもっと見たい」
「っ!」

 恥ずかしくて、蝶子は手で顔を覆ってしまう。

「や、やっぱり………目隠しを………」
「駄目」

 隼人は、蝶子の手首を片手で掴み、蝶子の頭の上に上げる。

「これからまだ恥ずかしい事をするんだ………これぐらいは慣れて貰わないと」
「んあっ………あんっ」

 空いた手で、襦袢を開かれる。顕になった乳房が隼人を魅了し、乳首を啄む姿を蝶子に見せた。

「顔を隠さない約束したら、手首を開放するけど?」
「あぁっ………わ、分かりましたっ……」
「良かった………両方のこの胸を愛撫したかったから………」

 直ぐに乳房を両手で包み上げ、揉みながら啄まれた乳首は、隼人の思うがままに、蝶子を悦楽の道へと誘った。
 隼人は蝶子の反応を見ながら、徐々に顔を下腹部にずらしていく。臍に舌を尖らしては、唾液を纏わせ、強い口づけをして所有痕を所々と落としていった。

「は………や……っと様っ……何で……すか?……チクチク………する……です………が……」
「…………口づけの痕を付けてるんだ……蝶子の肌に桜色が映えているよ……」
「な、何故っ………」
「蝶子がか分かるだろ?……さぁ、蝶子は誰の女?…………正解したら、もっと気持ちよくしてあげる」
「……………誰のって…………隼人……様の……」

 顔が色付き、憂いのある瞳で見つめられた隼人。その顔を見たら、隼人の喉元がゴクリと鳴った。
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