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朝の寂しさ
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しおりを挟むその蝶子の態度に腹が立つ月夜。掛けていた毛布を剥ぎ取り、蝶子の腰を抱える月夜。
「…………つ、月夜さ………んぐっ!」
毎夜1度のまぐわいの蝶子と月夜だったが、月夜はこの日2度目の挿入。口づけと、蝶子の腰を抱え、足を開けると、まだ乾いていない膣に挿入る。
「んんっ…………はっ………いき……な……り……」
無我夢中と言える、月夜の腰に、蝶子から発する言葉を許さない。
「俺は…………他の男に未練がある女は要らん!!諦める様な女なら…………俺は助け出そうと思ってない!」
「!!」
蝶子の顔に水が落ちる。それが月夜の汗だと思っていた蝶子。だが、月夜の涙だと知る由もなく、月夜の腕の中で酔わされていた。
助け出そうとしている女が諦めを見せたら、無駄になってしまいそうで、月夜は悲しかった。
月夜の昂りは、その後明け方迄続く。蝶子が失神しても尚、貪り続け、月夜は抱き潰れた蝶子を清めた後、起きる前に姿を消した。
バタン。
「……………っ……くっ………月………夜………さ……」
居なくなる月夜に気付き、蝶子は涙を流す。隼人から月夜へ恋心が移動しつつある事に気が付いた蝶子。顔も素性も知らないのに、身体だけ繋げ、淫靡な仕事をしている月夜に、縋り付けばどれだけ気持ちが楽になるか、と蝶子は揺れ動いていた。
そんな頃、権藤から遊女の様な着物を贈られる。
「これを着てお披露目会だ………淫靡な着方でめかしてやるからな」
当日、街の娼館から娼婦達も呼び楽しむと言う。その時、娼婦らしい着物の着方を教えると言われた蝶子。勿論、その様な着方等、全く知らない蝶子は断るが、それなら裸でお披露目会は登場させる、と言われ、仕方なく頷いてしまう蝶子。籠の中に入れられ、蝶子を買った者だけそこで房事し、来客達に見られながら楽しませるという、恐怖でしかない催しに、蝶子は泣き崩れた。縋り付きたかった月夜は数日見ていない。
「新月さん、月夜さんは何処に?」
「……………あぁ……月夜は仕事が忙しいみたいで……」
「……………そう………ですか……」
一方、その月夜こと隼人は、権藤の催す蝶子のお披露目会に出席者を探っていた。その中には警察署所長という肩書の者もおり、その所長が高蔵寺財閥の件に関わっているとまで調べ付いたのだ。よって、その所長の上司である警察庁長官への面会の為に動いていたのである。
「お願いします!高蔵寺財閥と権藤商会の繋がりを調べて下さい!高蔵寺社長は、陥れられたんです!権藤と、高蔵寺社長の弟との偽装取引の証拠、まだ全てではありませんが、調べてあるんです!警察署所長との癒着した証拠もあるんですよ!」
「………………よく調べられましたなぁ……警察関係でない方が……」
やっと面会を取り付け、何とか話を聞いて貰える様になった隼人。鬼龍院家の隠密達のおかげと言っていい。
「許婚が………高蔵寺財閥の令嬢なんです……権藤は彼女をいたく気に入り、騙されて監禁されているんです」
「分かりました………部下に調べさせましょう………」
お披露目会はこの面会の1週間後だった。
❈❈❈❈❈❈❈❈
お披露目会前日。その前日も散々権藤に貪られ続け、歩ける体力も無く三日月に抱き上げられ部屋へ戻ると、月夜が部屋に来ていた。
「蝶子………」
「………月夜……さん……?」
「三日月、後は俺が……」
「………では……」
三日月に風呂場で下ろされ、月夜も風呂場へ入る。
「…………身体、洗おうか?」
「……………いえ……もう……慰めは………要りません」
「………そうか……なら何かあったら呼べ」
3ヶ月は権藤の別邸に居るのだ。ある程度部屋の事は分かってきた蝶子。毎日行為の後は、月夜が居ない時は風呂場で泣いて、身体を洗う。唯一1人になれる風呂場には自害出来る様な物等無く、蝶子も自害は考えてなかった。
明日のお披露目会の為に。
権藤からどういう会なのか聞いてから、蝶子は今でこそ苦痛なのに、複数の男を相手をしなければならない事が待っている、と権藤の気狂いな催しの余興で、身体を誰かに触られた時点で舌を噛む気で居たのだ。
隼人の元にも戻れず、月夜へは縋れず、もう耐えれなかった蝶子。
「…………溺れても死ねるけど、そんな事をこの部屋でしたら、竿師の方達に罪を着せる可能性あるもの………明日迄我慢よ………蝶子……」
湯に浸かりながら、自分で自分の身体を抱き締めて、震えを止める事も出来ず、湯の中でも寒くて仕方なく啜り泣く。
脱衣場と風呂場の間の扉を隔て、月夜はその声を聞くしか出来なかった。
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