【完結】竿師、娼婦に堕ちる月の夜

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
上 下
17 / 26
朝の寂しさ

16

しおりを挟む

 その蝶子の態度に腹が立つ月夜。掛けていた毛布を剥ぎ取り、蝶子の腰を抱える月夜。

「…………つ、月夜さ………んぐっ!」

 毎夜1度のまぐわいの蝶子と月夜だったが、月夜はこの日2度目の挿入。口づけと、蝶子の腰を抱え、足を開けると、まだ乾いていないなかに挿入る。

「んんっ…………はっ………いき……な……り……」

 無我夢中と言える、月夜の腰に、蝶子から発する言葉を許さない。

「俺は…………他の男に未練がある女は要らん!!諦める様な女なら…………俺は助け出そうと思ってない!」
「!!」

 蝶子の顔に水が落ちる。それが月夜の汗だと思っていた蝶子。だが、月夜の涙だと知る由もなく、月夜の腕の中で酔わされていた。
 助け出そうとしている女が諦めを見せたら、無駄になってしまいそうで、月夜は悲しかった。
 月夜の昂りは、その後明け方迄続く。蝶子が失神しても尚、貪り続け、月夜は抱き潰れた蝶子を清めた後、起きる前に姿を消した。

 バタン。

「……………っ……くっ………月………夜………さ……」

 居なくなる月夜に気付き、蝶子は涙を流す。隼人から月夜へ恋心が移動しつつある事に気が付いた蝶子。顔も素性も知らないのに、身体だけ繋げ、淫靡な仕事をしている月夜に、縋り付けばどれだけ気持ちが楽になるか、と蝶子は揺れ動いていた。
 そんな頃、権藤から遊女の様な着物を贈られる。

「これを着てお披露目会だ………淫靡な着方でめかしてやるからな」

 当日、街の娼館から娼婦達も呼び楽しむと言う。その時、娼婦らしい着物の着方を教えると言われた蝶子。勿論、その様な着方等、全く知らない蝶子は断るが、それなら裸でお披露目会は登場させる、と言われ、仕方なく頷いてしまう蝶子。籠の中に入れられ、蝶子を買った者だけそこで房事し、来客達に見られながら楽しませるという、恐怖でしかない催しに、蝶子は泣き崩れた。縋り付きたかった月夜は数日見ていない。

「新月さん、月夜さんは何処に?」
「……………あぁ……月夜は仕事が忙しいみたいで……」
「……………そう………ですか……」

 一方、その月夜こと隼人は、権藤の催す蝶子のお披露目会に出席者を探っていた。その中には警察署所長という肩書の者もおり、その所長が高蔵寺財閥の件に関わっているとまで調べ付いたのだ。よって、その所長の上司である警察庁長官への面会の為に動いていたのである。

「お願いします!高蔵寺財閥と権藤商会の繋がりを調べて下さい!高蔵寺社長は、陥れられたんです!権藤と、高蔵寺社長の弟との偽装取引の証拠、まだ全てではありませんが、調べてあるんです!警察署所長との癒着した証拠もあるんですよ!」
「………………よく調べられましたなぁ……警察関係でない方が……」

 やっと面会を取り付け、何とか話を聞いて貰える様になった隼人。鬼龍院家の隠密達のおかげと言っていい。

「許婚が………高蔵寺財閥の令嬢なんです……権藤は彼女をいたく気に入り、騙されて監禁されているんです」
「分かりました………部下に調べさせましょう………」

 お披露目会はこの面会の1週間後だった。

          ❈❈❈❈❈❈❈❈

 お披露目会前日。その前日も散々権藤に貪られ続け、歩ける体力も無く三日月に抱き上げられ部屋へ戻ると、月夜が部屋に来ていた。

「蝶子………」
「………月夜……さん……?」
「三日月、後は俺が……」
「………では……」

 三日月に風呂場で下ろされ、月夜も風呂場へ入る。

「…………身体、洗おうか?」
「……………いえ……もう……慰めは………要りません」
「………そうか……なら何かあったら呼べ」

 3ヶ月は権藤の別邸に居るのだ。ある程度部屋の事は分かってきた蝶子。毎日行為の後は、月夜が居ない時は風呂場で泣いて、身体を洗う。唯一1人になれる風呂場には自害出来る様な物等無く、蝶子も自害は考えてなかった。
 明日のお披露目会の為に。
 権藤からどういう会なのか聞いてから、蝶子は今でこそ苦痛なのに、複数の男を相手をしなければならない事が待っている、と権藤の気狂いな催しので、身体を誰かに触られた時点で舌を噛む気で居たのだ。
 隼人の元にも戻れず、月夜へは縋れず、もう耐えれなかった蝶子。

「…………溺れても死ねるけど、そんな事をこの部屋でしたら、竿師の方達に罪を着せる可能性あるもの………明日迄我慢よ………蝶子……」

 湯に浸かりながら、自分で自分の身体を抱き締めて、震えを止める事も出来ず、湯の中でも寒くて仕方なく啜り泣く。
 脱衣場と風呂場の間の扉を隔て、月夜はその声を聞くしか出来なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...