【完結】竿師、娼婦に堕ちる月の夜

Lynx🐈‍⬛

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燃ゆる心

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 湯船の中で抱き締め合いながら、蝶子は隼人との思い出を語る。隼人でも覚えていないエピソードさえも覚えていて、蝶子が権藤に抱かれながら、隼人の名を呼び続けたかが分かった気がした。

「蝶子………蝶子…………もう、逆上せそうだ…………風呂から上がろう」
「…………あ………そういえば………」

 隼人は、蝶子を抱き上げ鎖と一緒に脱衣場に戻った。いつもなら、少しの時間は先に出るのに、と蝶子は思ったが、脱衣場で蝶子は身体を拭かれ、浴衣を羽織らされた。

「湯冷めしてはな………髪も乾かさねば」
「…………はい」

 湯船の中でも、今も隼人の昂りは感じていてはいるものの、常に隼人は昂りがあると、勘違いしたまま、隼人に髪を乾かして貰ってしまった。
 
「蝶子…………先程、蝶子が隼人をどう思っていたかを知った………だから、で今から抱くがいいか?」
「!!…………お、お願いします………月夜さん」
「…………今から、と呼んでくれ………夜伽中だけでいい………」
「………………」

 蝶子は頷く。覚悟は出来たらしく、蝶子から震えや恐怖心は無い様だった。

「蝶子、口づけを……」
「…………ん………」

 隼人から、蝶子の口の中に舌が入る。ちゅる、と蝶子の舌は隼人に吸われると、蝶子から声が漏れた。声が漏れると、隼人の舌が口内に入っていく。口づけが苦しい行為だと思っていた蝶子。食事中の時にしか、舌を絡めて来なかった月夜の時の隼人とは違い、歯茎や歯間をなぞっていく隼人の舌は、蝶子には初めてで、ゾクゾクとしてしまう。

「…………今この時程、目隠しが邪魔だと思う事は無い…………蝶子の目を見ながら愛を囁きたかった………」
「……………隼人様………」
「愛しい蝶子………俺の妻に……」

 隼人の本心だ。例え、蝶子の中で月夜と思っていようが、という行為で、蝶子が言われたかった言葉だと感じたからだ。

「…………隼人様………私で宜しければ……隼人様の妻に………」
「蝶子………」

 隼人に押し倒され、浴衣の隙間から、隼人の手が入る。触りたかった胸、愛撫をしたかった耳を触っても許される。頬から耳に口づけを落とし、耳の穴に舌を入れた隼人。

「んあっ………隼人様っ」
「気持ちいいか?」
「…………っ………はいっ!」
「…………新月に妬けてしまうよ……」
「隼人様が…………新月さんや光月さ………のも………上書き………っあっ!」
「…………では、蝶子に触れさせない……新月も光月も…………」
「…………月夜さんに………戻って……ますっ……」
「……………プッ……」

 自然に新月や光月の名が出ても仕方ないのだ。月夜は隼人で隼人は月夜だから。

「ふふふ……」
「…………笑ったの………ここに来てから初めてだ………」
「…………月夜さんが笑わすから………」
「そうか?…………なら、笑うより気持ち良くさせねばな」

 スルっ、と浴衣の帯を解く隼人。右身ごろと左身ごろをそっと開く。

「…………っ……」
「恥ずかしいか?」
「は、はい………」
「何を今更…………」
「つ、月夜さんの意見ですよね!?」
「………………あ……すまない……では、脱がさない……」
「……………ご、ごめんなさい」
「何故謝る?…………仕方ない……いずれ、にも見せるのだろう?」
「………!!」

 いずれ、目隠しを取った蝶子の全裸を見る事を期待しての隼人の言葉だ。だが、蝶子は違う意味で捉えた。
 浴衣の身ごろを蝶子に被せ、手だけで愛撫をしようとした隼人だったが、蝶子は腕も浴衣から抜く。

「いいんです…………もう……本当になので………びっくりしただけで…………私が隼人様に望まれる訳が無いのに…………んあっ!………つ、月夜さ……」
「望まれるか望むか、蝶子が勝手に決めるな!!…………許婚の破棄もそうだ!鬼龍院家へ助けを求めなかったのだって、迷惑が掛かるから、という意味だろう?」

 すっかり、敏感な性感帯を持ってしまった蝶子の胸の蕾を潰す様に扱く。少し痛みが伴うが、隼人も権藤の性癖が危ない物だったら対処出来る様に、も大丈夫な様に、調教の指示をしていたのだ。

「んふっっ………はぁっ………だ…て……隼人……様の幸せ………を思う…………なら…」
「…………くっ!………俺がなら………苦しみも分かち合いたかった……んだったと………思う!」
「………………月夜さん………」

 蝶子から隼人に手が伸びた。存在を確認したくて、隼人の本心を聞けた気がして、蝶子から女からするのは、はしたない行為だと思われた口づけを隼人にする。

「!!」
「ありがとうございます……少し、気が楽になりました」
「蝶子…………」

 その口づけが、隼人には起爆剤となり、蝶子の権藤からの感触を消しさるかの様に、初めて蝶子のなかを味わった隼人だった。


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