5 / 26
口づけ(口移し)と混浴風呂
4
しおりを挟む入浴を済ませると、また敷布が変えられたベッドに乗せられた蝶子。タオルを頭から掛けられ、髪も拭く月夜。これでは、蝶子がメイドとして来た意味もない。その覚悟で来たのに、実家のメイド達より、いたれりつくせりの扱いに戸惑っていた。
「乾いたな………もう夜だ……今日は寝ろ……明日からはもう少し調教時間を増やしていくからな」
「…………わ、私は……いつその主人と会うのですか?………ここに来た時に会った家令らしき人は……」
「あの男は主人の執事だ。俺達はただの竿師として雇われただけ」
「………竿師?」
「………………娼婦の教育係と思え………純血を奪い、男を喜ばせる為に調教する」
「……………そ、そんな仕事が………」
蝶子の知らない仕事だった。女を抱く仕事等、男娼だけではないのか、と思っていたのだ。好きでもない女を抱いても心は痛まないのだろうか。
「………好きで……この仕事を……?」
「……………っ……さぁな………話は終わりだ、寝るぞ」
蝶子は倒され毛布が掛けられる。そして、月夜に抱き締められたのだ。
「!!………抱き締められたら眠れません!」
「…………これも、主人の添い寝に必要だ……夜伽の後は、主人が寝るのを見守って、明け方部屋に帰る………慣れろ」
「…………そ、そんな……」
だが、月夜の温もりは、安心感がありいろいろあったこの日、疲れたのか直ぐに眠ってしまった蝶子。
「…………蝶子………」
「…………」
静かに寝息を立てているのを確認した月夜。額に口づけを落とすと、そっと離れ部屋を出た。
「宜しいのですか?」
「…………新月……三日月か」
「蝶子を助ける為だ」
「ですが、権藤にもし蝶子様が奪われては……」
「では、如何すれば良かった?………高蔵寺家では蝶子を助けられない」
真剣な眼差しで、月夜を心配そうに見つめる新月と三日月。三日月は、悔しそうに月夜に進言する。
「俺達は…………蝶子様の玉体を見ているのですよ?」
「そうですよ……貴方様の前で………しかも愛撫迄………」
「………くっ…………俺だって嫌だ!!………もっと早く気付いてさえすれば……」
「申し訳ありません………我等隠密の不徳のいたす所で………」
「光月は今潜入か?」
「はい」
「……………報告を待つ……俺はもう少ししたら、家に帰らなきゃならん……父上にも報告しなければならないしな」
「では、お留守の時は、我々が蝶子様のお側に」
「…………頼む………仕度して来る………権藤が接触してきたら、適当に流しとけ」
「「御意」」
月夜は隣室に入り、使用人の様な服を着ると、窓から縄を使い外に出た。
「…………見張り、手薄にしました」
「満月……助かる」
「お礼なんて要りませんよ」
「車は?」
「…………1区先に、時雨が待機してますよ」
「……分かった………蝶子を頼んだぞ……1、2時間程で戻る。」
「御意………お気を付けて」
月夜に紛れ、月夜は待機している車に乗り込むと、闇夜に消えた。
❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈❈
翌朝。蝶子は1人のベッドで目が覚める。
「月夜さん?…………誰も居ない?」
「…………居るぜ」
「……新月さん?」
部屋の隅に居たのだろう、ベッドの方へ来る2つの足音。他に誰が居るかは分からない。
「俺も居る」
「…………三日月……さんですか?」
「………あぁ」
「月夜さんは?」
「月夜は所用で居ない………夕方には来るだろう」
新月は月夜の居ない理由を言った。昨夜、一度戻って来たが、蝶子の顔を見てまた直ぐに出て行った事は説明はしなかった。
「そうですか…………あの……昨日の様な事をするんでしょうか?」
「望むなら今からでも良いけど?」
「!!…………い、いえ!」
「…………食事にしようか」
「…………あ、あの……お手水に………」
「「…………」」
新月と三日月は顔を見合わせると、新月が口を開いた。
「昨日、如何した?」
「…………月夜さんに連れてってもらいました………入浴も……」
「……………了解」
新月が蝶子の手を持つと、手水に連れて行くが、まだ慣れていない場所と目隠しで不慣れな為、蝶子はなかなか用を足せない。
「如何した?」
「ば、場所がよく分からなくて……月夜さんは誘導してくれた……ので………」
「!!…………あ、あぁ……そうだったんだ……えっと………上に立たせれば?」
「…………は、はい………目隠しを取って頂ければ、出来るんです!!」
「そ、それは外せねぇよ………鍵は月夜が持ってる」
「……………そうですか……あ、あの……誘導を………」
もじもじと恥ずかしそうにする蝶子を見て、新月は慌てて誘導し、見ないように蝶子を視界から外す。三日月も同じだ。
「あ、あの………紙を………場所分からなくて………」
「!!…………あ、あぁ……待ってろ」
「………ありがとうございます」
全裸にされている蝶子だが、礼儀正しい言葉遣いを崩さない。恥ずかしそうに胸や秘部は隠そうとはしているが、手水や入浴は隠すのは無理だと、昨夜知ってしまったから、その場に居る者に頼むしかないのだ。
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる