57 / 59
おまけ
おまけ②航、裕司、彬良高校編
しおりを挟む航と裕司が高校入学したのは、進学校でもなく素行も悪いと言われた私立の高校だった。
「クラス別かぁ………つまんねぇな」
「いいじゃん、どうせお前授業サボるだろ」
「間違いねぇな!」
「邪魔なんだけど、退いてくれないか」
「うわっ!」
「でけっ!」
航と裕司のクラスが分かれて、教室の入口で喋っていた。だが、邪魔なので他の生徒はもう一方の入口から避けて入っていたのだが、裕司の背後で一回り体格の大きな生徒が声を掛ける。
「悪かったな………身体鍛えるのが好きなんだ」
その生徒は、額に傷があり航や裕司より威圧感があった。暴力団内で例えるなら、航や裕司がチンピラなら、その生徒は組員だろうと言っても過言では無い。
「………双子か?」
「いや………違うけど………」
「雰囲気似てるな、お前等」
「幼馴染だからな、俺達………俺、航」
「俺は裕司………隣のクラス」
「…………彬良だ……宜しく」
図体がデカイし威圧感ある彬良ではあるが、航や裕司に萎縮もせず、話し掛ける辺り、航や裕司には好感が持てた。
中学3年間、素行が悪くなっていく2人に友人は避けて行き、話もしなくなっていったのだ。常に2人で居て、人気も二分していたのに、嫌悪も二分した異色の2人。それが彬良には気にも止めなかったのが、航と裕司が彬良を気に入った瞬間だった。
「なぁ、彬良………如何やって鍛えてんだ?」
「ジムに行ってる」
「金ねぇから行けねぇ!」
「俺も!」
「…………なら、俺が行くジム行ってみるか?金要らないし」
「「は?」」
「……………口止めしておいてやるよ」
彬良に連れて来られたジムは、ホテルの中にあるジムだった。制服の彬良は平気な顔して入って行く。
「…………え?顔パス?」
「………俺の父さんが経営してるホテル………悪いがお前達をダチだと思っているから連れて来た……口止めはお前達もだからな」
「「………お、おぉ……」」
そこでは、彬良に格闘技も航と裕司も教わり、それがまた2人にはストレス発散になって行く。
「彬良、バイト代はいったから、ジム利用代渡しとく」
「俺も」
「…………あ、あぁ……」
「ダチだからって借り作ったままは嫌なんだよ!足りねぇだろうが、あとは出世払いな!」
「出世払いって、意味分かって言ってんのか?航!」
「知らん」
「航は料理人になるから、出世払いじゃねぇじゃん!料理人になって、彬良にタダ飯食わせとけ!」
「じゃ、そうする」
決して、ジム利用料金がそれで足りるとは思わなかったが、その気持ちが嬉しい彬良は、益々航や裕司に信頼を置く。
「お兄ちゃん、居る?」
「お、羽美如何した?」
航の家に居た3人。
「しつこい子が居て困ってるの」
「あぁ?何処に今居る!」
「店の前」
「お兄ちゃん、直ぐにいってやる!裕司!」
「おぅ!」
羽美に言い寄る男も多く、航と裕司は羽美が困る、交際の申し込みは追い払っていた。
「は、はじめまして………お兄ちゃんの友達ですか?」
「…………あ、あぁ……彬良、て言うんだ」
「あぁ!お兄ちゃんがよく話してました!頼もしい友達が出来た、て!宜しくお願いします、妹の羽美です」
密かに、彬良は羽美に好意を持ち、羽美も女遊びが激しい裕司なんかより、好感が持てる彬良に恋をしたのに時間は掛からなかった。
それからというもの、彬良は航の家によく来る様になり、彬良が来る時は、羽美も会話に入る様になっていた。
「航……」
「何だ?」
「彬良、羽美とデキてんぞ」
「……………は?」
「初なお前にゃ分からんだろうが、彬良は羽美と付き合ってる、て言ってんだよ!」
「何だと!」
「……………早よ……」
「彬良~~~!お前、羽美と付き合ってる、て本当か!」
「…………な!……裕司!お前バラしたな!」
「知らね、俺」
「彬良!如何なんだ!」
まだ彬良より身体が小柄な航が、彬良の制服の胸ぐらを掴んで揺らす。
「………いつか言おうとは思ってた………2ヶ月ぐらい前から付き合ってる……あ!でも手は出してねぇぞ!まだ」
「まだ…………羽美にまだもねぇ!俺が認めた男じゃねぇと、許さん!」
「な!お前、いつから羽美の父親になった!」
「羽美!………呼び捨てするなぁ!」
「裕司も呼び捨てしてんだろ!」
「…………あ!そうじゃん!裕司も呼び捨てするなぁ!」
「教えてやったのに、俺に八つ当たりするな!航!」
そして、航により彬良は騙されて、浮気させられて、羽美は彬良をフッたのであった。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。


五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる