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恋愛開始
集結
しおりを挟む港にある彬良と茉穂のマンション。
「なんじゃこのホテル並みの部屋!」
裕司と航の第一声から始まる久々の友人達の集結。
紗耶香は驚く気配は無いし、羽美と律也は裕司や航より驚いてはいない。
「まぁ、この辺りの立地ならこれぐらいのマンションはあるだろうね」
「律也!お前驚かないのか!」
「別に………」
「私はお兄ちゃんと裕司さんが驚いてるから、驚けなくなっただけ」
律也に食って掛かる航の返答にしれっとした態度の律也と羽美。
「煩ぇな、裕司も航も………」
「彬良、すげぇ所住んでんな」
「…………親父から貰っただけだ……引っ越す暇もねぇからそのまま住んでるだけ」
「彬良………いいなぁ……窓際で羽美立たせて味わいたくなるよ」
「律也………燃えるぞ」
「律也さん!」
「彬良!余計な事言わないで!」
「羽美、高層マンション買おうか」
「要りません!」
彬良と律也は相変わらず、趣味が合う様だ。
「ねぇ、裕司………どういう意味?」
「……………あぁ、紗耶香は知らなくていいんだぞ?変態達の話は耳を塞げ」
「変態言うな!変態は律也だけだ」
「人聞きが悪い………欲望のままなだけだよ、俺は」
「お互い、大変よね……羽美さん」
「…………もう慣れました……」
「お茶淹れたからどうぞ」
茉穂が人数分のお茶を淹れ、羽美が手伝いに自然に入る。普段からの生活にキッチンに立つ習慣があるからだろう。
「ありがとう、羽美さん」
「量あるから」
「…………あ……手伝い損ねちゃった……ごめんなさい」
「いいのいいの、紗耶香さん座ってて」
「……………はい……」
「紗耶香、気にするな」
「お、裕司と紗耶香ちゃん、暫く見ない内に雰囲気変わったな」
ソファに座る彬良が、ダイニングに向かおうとする紗耶香と慰める裕司を見て気が付いた。
「…………あぁ……結婚の許可降りたからな……雰囲気変わったのはそれでじゃね?」
「マジか!長かったなぁ、お前達」
「本当?おめでとう!紗耶香さん」
「おめでとうございます」
「付き合い始めてから……1年半?……羽美と俺が結婚してから暫く経った後か……」
「律也、裕司が紗耶香ちゃんと出会ってから5年は経ってるぞ」
「あ、それからなら長いか……付き合い始める前の期間が長かったんだっけ」
「俺が茉穂を口説き始める前から付き合ってんのに、俺達が先に結婚してやったぜ、なぁ茉穂」
「競争じゃないのよ?彬良………紗耶香さんと裕司さんはそれだけの期間が必要だった、て事なのよ」
茉穂の言葉で揶揄う言葉は終わる。
「茉穂ちゃん、いい事言うねぇ………そうそう、俺達はそれだけ必要だったんだ!分かれ!絶倫変態野郎共!」
「裕司は野獣じゃねぇか!」
「俺は絶倫じゃないぞ、別に」
「………だぁ!律也と彬良が居ると何でこっちの話になりやがるんだ!」
裕司が反撃し、航が止める、変な図式がこの4人の男達に出来上がっていた。
「馬鹿な男達放っておいて、お土産渡すわね」
「わぁ……ありがとうございます」
「何処行って来たんですか?……量多いけど……」
「北海道、軽井沢、金沢、長崎、沖縄………グアム、ハワイ、ニュージーランド………本当………疲れたわ………」
「い、行きたい場所ばっかりだけど……」
「それを1ヶ月……」
羽美も紗耶香も旅行に行きたいと思っていても、流石に弾丸旅行の様なスケジュールに、茉穂も疲れていそうだった。
「それを更に帰国早々もう2ヶ所増やすって言われたぜ………」
「…………一体何処に増やすんだ?」
「フィジーとバリ」
「手広くやってんなぁ………彬良の親父」
「ウザい………のんびり茉穂と過ごせる時間が足りねぇ」
「ずっとこんな愚痴言ってるのよ」
「弟妹達に押し付けてやる」
彬良の愚痴会になりそうな予感がする。
「彬良の弟妹、て何人居るんだ?聞いた事ないが」
「…………成人してんのだけで5人……してないので4人……1人ずつ1ホテル任せる気なんだよ……で、俺があいつ等統括しろ、とさ」
律也とはそういう話はしてなかったのだろう。彬良に何人兄弟かを聞いてくる。
「10人兄弟……」
「おい………彬良」
「何だよ裕司」
「俺が知る中で5人だった筈なんだが……」
「俺も、最近知ったんだよ!知るか!………俺が家出してる間に作ってた、て事だ」
「頑張るなぁ………親父さん」
「これ以上増やさないで欲しいぜ………俺は茉穂が産むなら何人でもいいけどな!」
「…………2人ぐらいでお願いします」
「羽美、そろそろ2人目作ろうか?」
「律也さん、張り合わないで下さい」
「…………またか………裕司、律也と彬良の口止めろ」
「俺がそんなめんどくさい事するかよ」
聞いているだけで裕司はめんどくさそうで、話をまた切り換える裕司。
「そうだ、彬良」
「何だ?」
「お前んとこ、神前式なんてやれるか?」
「神前式?………神社で挙げる形式の事か?」
「そう」
「神主呼ぶのは出来るが……茉穂」
「会場自体がそういう風にはなってないから、望む様な事は直ぐには無理よ………式はいつ頃考えてるの?」
「特にこれと言って………白河家が代々神社で神前式なんだと………紗耶香は嫌がってるが」
「ウエディングドレス着たいもん……親族だけの披露宴も嫌なんです」
「友人呼ばないのか?」
「そう言われてる……紗耶香のジジィが何癖言いそうでよ」
律也がそれを聞いて考える仕草をしている。
「律也さん?」
「…………それなら、白河前会長に内緒に友人だけ集めて結婚式挙げて、親族との挙式と分けたら?」
「…………おぉ…2回挙げる、て事か」
「白河家の神前式は豪勢に挙げて貰えばいいんじゃないか?前会長の最後の言いなりに」
「最後の言いなり?」
「紗耶香さんの相手は前会長は知ってる?」
「私からは言っていません……お父様も話をしていないそうです」
「じゃあ、裕司君が相手なのは知らない可能性があるんだ………驚いてぽっくり逝っちゃう、て事になると困るか……」
「怖い事言うなよ律也」
「でも前会長は無視出来ないなら、それも手じゃないかな」
確かに、と紗耶香と裕司は納得する。親族だけでの式と友人だけの招待の式を挙げるのも考えていい気がした2人だった。
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