【完結】プラトニックの恋が突然実ったら

Lynx🐈‍⬛

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人の恋路は面白い

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 バー白河。

 ―――全く……俺を架け橋にするんじゃねぇよ……あいつ等…

 数日前、親友の航のギブスが取れた、と連絡が入り、裕司は紗耶香と食べに行けたのだが、彬良が航の料理食べた事が無く、航の料理を食べたいからと、店に行かずに裕司の店で食べる、と言われてしまったのだ。
 このバーでは料理らしい物は出せない。つまみは全て乾物なのだ。
 開店準備をしている時間はまだ混まないので、裕司1人で店に居た。

 カランカラン。と、店のドアが開き、裕司は入口を見る。

 ―――お、美人

「いらっしゃいませ」
「あの、待ち合わせで……」
「お相手は男性ですか?」
「はい」

 ―――だろうな、いい女が1人で来る訳ねぇし……

「…………今、1人で居る男性客居られないので、カウンターにどうぞ」

 裕司は女を目の前の席に座らせる。

「何か先に飲みます?」
「………来てからでいいです?」
「じゃ、冷出しますね」

 ―――男を立てる女だな……

 紗耶香という彼女が居ても、女に対する興味が無くなる訳ではない。仕事柄、人間観察は大事な事だ。

 ゚.*・。゚♬*゜

「………はい、バー白河………おぉ、彬良」

 店の電話が鳴り、女に氷水を出した後、電話に出た裕司。

「女性1人客?………あぁ、今来たぞ……分かった、伝えとく」

 ―――彬良の女か……落としたな?

 以前、好きな女が居ると言っていた女性だと気が付いた裕司。

「彬良と待ち合わせ?あと10分ぐらいで着くってさ」
「あ、はい………村雨君はよくこの店に来るんですか?」
「まぁね……高校からの腐れ縁で、俺がこのバーの雇われ店長になってから、ちょくちょく………俺、小松 裕司」
「………水木 茉穂です」
「へぇ~、アンタが……」
「私の話が村雨君から出てたんですか?」
「…………まぁね、たまにだけど」

 茉穂という女は不思議そうな顔をしている。

 カチャ。

「いらっしゃ………何だ、航か」
「あぁ?裕司が届けに来いって言ったから来てやったんじゃねぇか!裕司!週末だぞ!俺だって店あるんだから、抜け出して来たってのによ!」

 律儀に航は彬良のリクエストに応じるのが、友人を大事にして来た航らしい。

「彬良が頼んだんだよ、言うなら彬良に言え」
「うわぁ………やっぱりか……聞きたくねぇ名前出しやがったな……俺の料理食いたきゃ店に来いって言っとけや!」
「敷居高いんだとよ」
「………ちっ!気にしやがって……お前は来てんのによ」

 風呂敷には料理が詰まっている。彬良が女を口説きたい時は、必ず裕司や航に会わせていた。

「まぁまぁ……材料費はしっかり払わせるからよ……彬良はもう直ぐくるぜ?少し会ってけよ」
「………お前と音沙汰無い間、頻繁に会ってたよ、見なくていいや……店を親父に任せて、羽美も手伝ってるが、行かねぇと」
「そっか、仕方ねぇな……羽美は妊娠中なのに、働かせるなよな」

 最近、羽美が妊娠したと裕司は紗耶香から聞いていた。連絡を取り合っていて、紗耶香も仕事でピリピリした空気が無くなってきているので、羽美の存在は有り難い。

「アイツが好きでやってんだよ……じゃあな」

 だが、航は茉穂をチラ見するだけ見て、挨拶もしないのが気になった裕司だが、早々に立ち去られてしまう。

 カチャ。

 ―――何だよ、アイツ

「はい……どうぞ」
「…………え!?」

 重箱を開け、美味しそうな料理が詰められていて、裕司も食べたくなる。

 ―――美味そうだな、おい………

「彬良も俺も、今の男と長い付き合いでね、アイツは和食の料理人なのさ……彬良が店に行けないから、持って来させた」
「す、凄いですね………」
「食べていいよ」
「…………でも、村雨君来る迄待ってます」
「気にする奴じゃないよ、彬良は」

 裕司はそう言うと、日本酒を茉穂に出す。

「俺から1杯奢らせてくれ」
「そんな……悪いですよ………」
「彬良が女紹介するの、久々でね………ちょっと嬉しいんだ」
「そ、そうなんですか?」
本気マジ相手になると、俺達に会わせようとするからね」
「え!?」
「…………あれ?……付き合ってんじゃないの?」
「付き合ってないです!」
「…………ヤバ……〆られる……内緒ね!俺が言ったの」

 カチャ。

 バツが悪そうに、裕司は濁した所で、走って来たのだろうか、彬良が息荒く入って来た。

「裕司!てめぇ………余計な事言ってねぇだろうな?」
「…………いや?……今、航来てお前が頼んだもん持って来たから、俺達の関係話てた所」
「茉穂………本当か?」
「え!?………えっ………と……」

 ―――ヤベ、早とちりしちまった

 茉穂が慌てた様子を見て、裕司は焦る。

「………裕司、何言った……」
「暴れない事を約束したら言う」

 裕司は両手を掲げ、反抗心が無いアピールをしている。

「少し前に、この店で航と暴れて、親会社にこっぴどく怒られたからな……暴れんのは勘弁してくれ」
「んなものは、てめぇの都合だろうが!」
「り、料理食べない?美味しそうだなぁ!」

 ―――お、気が利くじゃん、この娘!

「ほらほら、茉穂ちゃんも居る事だし!な?」
付けするんじゃねぇよ!てめぇの彼女にチクるぞ!」
「あ、それは止めて………嫉妬心強いから」

 ―――冗談じゃねぇ!

「じゃ、言え」
「…………彬良の本気マジになる女は、俺や航に紹介する、て話をしたんだよ」
「なっ!」

 彬良の顔が急激に赤くなった。

「俺達の暗黙のルールだったろうが!マジの相手は紹介し合ってたろ!」
「航には、、て言ったのに、コイツに忘れた……」

 ―――そういう事ね

「茉穂………すまん……もう少し後で言いたかったが………俺……マジで茉穂を口説く事にしたから」
「…………!!」

 彬良も、本気になりそうな彼女が出来そうで、安心した裕司。あとは、親友の航だが、それが一番心配していると、航は知らない。
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