【完結】プラトニックの恋が突然実ったら

Lynx🐈‍⬛

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【あらすじ 紗耶香&裕司視点】Mにされた女はドS上司に翻弄される

令嬢の反抗

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 会社に到着すると、株を買占めたのは律也だと知る。

 ―――そこ迄やるの!この男……

 紗耶香は何故かそれが助け舟に見えた。株の変動に気が付かなかったのは紗耶香もだが、祖父や父の慌て振りを見れば、知らなかったと見えるのだ。

 ―――実質的経営者はお祖父様………責任追及出来る!

 この3日後、白河酒造からの業務提携について、最終判断が降される事となり、紗耶香は祖父に反抗を始めた。

「責任、お取りになるのですよね?お祖父様」
「何故儂が責任を取らねばならん!元はと言えば紗耶香!お前が上手くやらなかったからであろう!」
「……………そうですね、お祖父様ので……」
「ど、どういう事だ、紗耶香」

 会社の役員が全員集まる中で、紗耶香は堂々たる態度を取っている。

「私は責任を感じていますので、役員辞任お呼び辞表を提出致します」
「な!」

 ―――始めからこうすれば良かったのよ……お祖父様が拘っているのは、律也さんと結婚する為になんだから

 紗耶香が、退職すれば祖父が望む業務提携が出来ないのだ。祖父は律也を婿養子にし、紗耶香との子を産ませ、速水物産を乗っ取る事だから。
 紗耶香は祖父の指示を細かく話していく。その通りに動けなかったのは自分の責任だとも付け加え、律也がその反撃に出たのは、正攻法で業務提携の話をしてこなかった、祖父の責任、と続ける。

「私は、律也さんとは結婚する気もありません。既に既婚者ですから……そうなった時点で止めるべきだったのです、違いますか?お父様」

 紗耶香は祖父ではなく、父に問う。いつまでも祖父のでは居られないのだ。遅すぎる程に自分の父親に反抗を見せる時なのだ、と紗耶香は訴えている。

「そうだな………私も、父の………会長はやり過ぎたと思っている……業務提携は白紙に戻す!白河会長は辞任を要求する!意義ある無しな者は挙手を願う!」

 祖父のワンマン経営に不満を持つ者が大半だった様で、ほぼ全員が挙手をした。

「ここ迄会社を大きくしたのは誰だと思っている!儂だぞ!」
「見苦しいですよ、お父さん………いえ、白河会長」
「ぐっ…………ぬぬぬ……貴様……」
「そういう事ですので、お祖父様………私と共に此処から立ち去りましょう………ですから………後はお父様にお任せ致します………速水物産への謝罪は、私もお祖父様も参りますから」

 見苦しく祖父は居座ろうとしたが、紗耶香は警備員迄呼び、祖父を退室させたのだ。

 ―――何か晴れ晴れする……いいのよね、これで……私に、もう何も残ってないけど、無いならないで、裕司に釣り合える仲になるのかな……

 身体を伸ばし、大きく深呼吸をする紗耶香。

 ―――こんなにもスッキリした気持ちになるなら、本当にさっさとやれば良かった……

「紗耶香………お前も許さんぞ!」

 杖を振り回そうとした祖父だったが、空振る。

「…………避ければ良かったんですね……もう、私お祖父様が怖く感じません……家に縛られ過ぎました!」
「ぐっ!」

 今迄萎縮していたのだと、初めて思えた。両親からは祖父に逆らうな、と言われて、祖父の威嚇に退く事しか許されていなかった、と今なら分かるのだ。
 
「さて、と何しようかな………これから……」

 そして、3日後の謝罪に向けて、準備を始めた紗耶香は、潔く辞表を提出と、引き継ぎ等様々な処理に追われ当日、紗耶香には何も残らない様にした。
 律也に持ち株を奪われたが、持ち株を返す条件に、紗耶香の祖父の会長辞任、会社での権利を没収する事で、業務提携をする事になった。
 新たにトップとなった父が立て直しを計る事になった白河酒造。

「会長辞任にして頂けたので、新たにこのプランで、事業を展開しませんか?白河社長」
「こ、これは……」
「私が、立てた白河酒造とやりたい仕事ですよ…………申し訳ないが、前白河会長とでは出来ないであろう仕事です」
「…………有り難い……これが成功したら益々事業拡大出来る……」

 ―――何故、お父様は私もこの席に参加させたのかしら

 既に会社を解雇となった紗耶香は無職だ。なのに、父と速水物産に呼ばれていた。

「それで、新たな人事でこちらからお願いしたい人が居るんです」
「それが、娘だと?」
「…………え?私ですか?律也さん」
「えぇ、貴女は経営者に向いていますから……如何ですかね?」
「…………お父様、私やります!やらせて下さい!律也さん!」

 それは、若い世代をターゲットとする店舗展開の事業。元々、白河酒造でもやっていた事だが、富裕層向けの店舗しか出来ておらず、主に酒類の店ばかりだ。だが、律也が提案したのは酒でもなくノンアルコールだけを使った低価格のカフェや店舗だ。主に昼営業の収益を見込んでいる。酒に関するノウハウであれば、速水物産より分かっている。

「これが上手く軌道に乗れるであろうプランを組んでます………こちらはあくまでも推測の域ではありますが、新たな店舗は作るのは、暫く待ち、既存の店から、という事にしても良いかと」
「…………でも、数年のプランしか無いですが」
「それは、紗耶香さんの腕の見せ所では?」
「っ!」
「俺もただ、貴女方からの妨害を黙って見ていただけではありませんからね……改善点があるのに、何故やらないのか、と思えたので調べてみたら、白河前会長が止めていた……と思いまして」
「………私が正攻法を取らなかったばかりに……

 応接室で、沈黙が走る。暫く3人が黙っていると、律也が口を開いた。

「おかげで俺は惚れた女と結婚出来ましたし、貴女は本当に大事にしていた気持ちに気付かされたでしょう?」
「…………そ、そうなんでしょうか……」

 会合が行われた日の後に行われたこの面会。
 紗耶香が解雇扱いになり、まだ紗耶香の中で確信等は無い。

「俺は、自分に対して好意を持つ女か如何か等簡単に分かる………貴女は本気で俺を見ていなかった……好きな人、居るんじゃないんです?」
「っ!」
「………紗耶香、本当なのか!……まさかまだ……」
「い、いいえ!…………いいえ………無理なんで……私は……」

 晴れ晴れとしていた紗耶香だが、1つの事を覗けば、であった。
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