【完結】プラトニックの恋が突然実ったら

Lynx🐈‍⬛

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【あらすじ 紗耶香&裕司視点】Mにされた女はドS上司に翻弄される

任意同行

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 警察沙汰になり、紗耶香は裕司を出してあげたかった。
 何故、裕司が航に暴行したのかは分からないが、はっきり分かっている事がある。裕司は紗耶香を決して裏切らないのだ。

 ―――何で、暴行事件を……私の為なの?これは……

 航が紗耶香を探しているとしたら店の事だが、取引は再開させた後で、用件は無い筈なのだ。
 警察に任意同行に連れて来られ、刑事に聞いた事を思い出す紗耶香。

『最近、会った筈だ………彼、小山内 航さんと』

 その刑事の話で、裕司と航が知り合いだと初めて知った。

『彼のお父さんが経営する割烹料亭の防犯カメラに貴方と小山内 航さんが映ってましてね………親しげに映ってましたな』
『あぁ……航ね………苗字なんて忘れたから誰かと思ったよ……数日前、思い出して顔見せに行ったわ』

 紗耶香は聞いてない、と思ったのだ。知り合いだったなら、話に出す筈だ。身辺調査書を読んだら、裕司でも分かる筈。それなのに『知らない』と言ったのだ。

 ―――小山内家を守りたかった?……まさか……

「お待たせしましたな」
「………私は何も知りませんよ……聞き付けて、着いたばかりだったんですから」
「………白河さん、あの小松 裕司には前科があるのはご存知で?」

 刑事との話が始まる。

「…………知ってます……以前も暴行事件を起こした、と」
「その以前の事件………小山内 航を庇う為の事件だったのも?」
「…………え?」
「あの2人、中学からよく攣るんでいたんですよ………親友と豪語し合う程にね………だが、小山内氏が実家の店を継ぐのに、素行の悪さが仇となり、真面目になった彼への恨みを小松氏は一気に受け入れたんですよ……それで逮捕、刑務所行きだ」
「…………」
「10年以上経って、お互いに接点が無くなっていた様だが、小松氏は小山内家へ出向いた………防犯カメラも確認したが、仲違いしそうな雰囲気でもない………小山内氏からは小松氏の話も出ない………あの店に行った理由も話さない……2人共に黙秘だ………何故だと思います?白河さん」
「わ、私には……裕司はよく知ってますが、小山内は最近名を知ったもので、知り合いだったと今日初めて知ったんですよ?」
「…………う~ん……最近……貴女の実家、白河酒造………小山内氏の店に干渉されたらしいじゃないですか」
「そ、それはもう止めてます!今は取引出来てますから!」

 立場が悪い。ボロが出そうだった紗耶香。次にもし、都合が悪い事を聞かれたら、と思うと、紗耶香は俯いてしまった。

「…………何?白河酒造の会長?」

 ―――お祖父様が何?

 刑事が紗耶香から離れて行くと、怒号が聞こえる。祖父の声だと気が付き、耳を研ぎ澄まして聞いているが、内容迄は聞こえて来ない。所々切れて聞こえてきたからだ。

「………白河さん、お帰り頂いて結構ですよ」
「…………ゆ、裕司は?」
「彼はです」
「っ!」
「お祖父様がお迎えに来られてますから、どうぞ」
「…………また、話する必要は?」
「その時は伺います」

 紗耶香は直接、暴行に加わっていない、と裕司も刑事に話していたのと、紗耶香がその時のアリバイが確認が取れたから、と帰る事が出来たのだが、紗耶香の地獄はこれから始まる。

 バシンッ!バシンッ!

「お義父様!もうお止め下さい!」
「お父さん!」
「煩い!この馬鹿娘が!の使い方をまた間違えおって!」

 杖で、紗耶香の身体を折檻する白河酒造の会長で、祖父だ。
 任意同行を余儀なくされ、白河会長が警察に圧力を掛け、紗耶香のアリバイも確認が取れた為帰れたのだ。
 紗耶香は恐怖に怯えながら、床に這いつくばる。

「謹慎せい!1歩も外に出すな!」
「うぅ………うっ…………」
「紗耶香………」
「っ!」

 パシッ!

 紗耶香に駆け寄る紗耶香の両親。だが、紗耶香はその両親を跳ね除けた。

「触らないで………アンタ達が、私に何が出来るのよ………役立たずの癖に……」

 紗耶香の両親への八つ当たり。
 部屋で手当てをメイドにして貰うが、紗耶香の背中は傷だらけだった。例え、メイドであろうと見られたくはない。
 手当てを終えると、部屋を真っ暗にする方が、紗耶香は落ち着いた。

「…………裕司………」

 紗耶香は祖父のでいるのも疲れ果ていた。闇から抜け出したい、ずっと思っていた。裕司と初めて会ってから、その思いが強くなっている。
 いつの間にか、紗耶香は眠ってしまい、家の中が騒がしく、それで目が覚めた紗耶香。
 慌てふためきながら、祖父と父が出て行く。

「何があったの?」
「何でも白河酒造の株が買占められている、と………」
「何ですって!私も出掛ける準備するわ!」

 いくら謹慎を命令されようが、会社の一大事に、紗耶香が何もしないのは、祖父はそちらの方に逆鱗に触れるだろう、と急ぎ会社へと向かった。
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