【完結】プラトニックの恋が突然実ったら

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
上 下
5 / 59
【あらすじ 紗耶香&裕司視点】Mにされた女はドS上司に翻弄される

誤算続き

しおりを挟む

 羽美の元カレのストーカー、晃司が先走った。
 紗耶香が探し出し、話を晃司にすると、羽美に会いたいの一心で近付いたのである。

「何て事してくれたのよ!あの男!」
「紗耶香、俺はストーカー被害届の取下げられるか、の相談に行く、て言っただけだぞ?何で先に動くんだよ、アイツ」
「知らないわよ!」

 結果的に被害届の取下げは出来ず、身分証明書を偽造する必要も無かったのだ。
 紗耶香のが、紗耶香の言う通りに動かない。そして、最も信頼する裕司が、紗耶香の知らない行動を起こしたのだ。
 紗耶香は、裕司が航や羽美と知り合いだと知らなかったのは、裕司が言わなかっただけなのだが。
 数日後、裕司が店長として勤務するバーで暴力事件を起こしたのだ。

「裕司!」
「…………おぉ、航。どした?」

 息せき切って、航が裕司に詰め寄った。

「何でここが分かった?」
「彬良に聞いたんだよ!この界隈にお前が働くバーがある、て聞いたからよ!」
「…………彬良め……俺の事は航に伝えるなって言ったのに……」

 バーで1人開店準備をしていた裕司を、挟む様にカウンターの前に立つ航。

「お前、を隠してる」
「何も隠してねぇよ」
「嘘つけ………ココ……白河酒造と繋がってるだろ!」
「…………知らねぇな………あぁ、羽美が結婚したんだって?よくお前許したな」
「あぁ?……認めてねぇよ!

 裕司には分かる。
 航が理由無しに、妹の羽美の結婚を簡単に認める訳はない。紗耶香に航と父親が経営している店を妨害された事で羽美が結婚したのだ。それでも航は反対して結婚は許さないと、裕司は思っていたのだが、店と妹を天秤に掛ける事もない程、航は羽美と結婚した律也を認めている、と。

「認めてんじゃねぇか………よっ!」
「ぐっ!」

 裕司はカウンターを飛び越え、航を蹴り倒す。

「てめぇ!いきなり何しやがる!」
「…………お前が羽美と店を守った様に、俺も守りたいものがあるんだよ!」
「だから、と会わせろって!」
「やなこった!」
「ゔっ!」

 航は、反撃をしてこない。それには裕司も疑問に思ったが、航と喧嘩をして何方も無傷でいられる訳もなく、一方的に航に暴行を加える裕司。

「………裕司……俺に………こんな事して……守れるのか?………プッ……」
「っ!」

 航は、唇を切ったのか、血を吹き飛ばす。料理人姿で、泥と裕司の靴跡が着いた航は、その姿で、唇を拭った。

守れるのかよ!」
「うるせぇ!」

 抵抗も何もしない航は裕司のサンドバッグだ。暫くして、航は気を失う。

「はぁ………はぁ……航………俺は……どっちも……守れねぇのかな………紗耶香も……お前も………助けてくれよ………」

 裕司は目頭を押さえ、スマートフォンを取り出した。

「もしもし………彬良………ちょっと手伝ってくれね?」

 裕司の友人の1人、彬良を呼び出す。

「な!航!…………裕司!お前何しやがった!」
「………運んでくれねぇか?彬良……ちょっと先の路地裏でいいからさ」
「病院だろ!」
「直ぐに見つかるさ………それに、直ぐ俺は警察に捕まるだろうしな」
「…………お前の場所、航に教えるんじゃ無かった……コイツはな!『お前に借り返す』て言ったから教えたんだぞ!何を今企んでる!」

 彬良に胸ぐらを掴まれても、呆然と力なく、足元に転がる航を見下ろす裕司。

「………俺も……航を助けてやりたい、て思ったんだよ………でも、航よりが、闇に更に堕ちるのを黙って見てられなくてよ……」
「…………俺1人で運ぶ………その手、早く手当てしとけ………表歩けねぇからトイレの小窓から航を渡せ………」

 彬良により、路地裏に放置された航。

「航、気をしっかりしやがれ!俺はお前に裕司を任せるぞ!いいな!」
「…………へっ……彬良……悪ぃな……」
「………ったく……救急車呼んどいてやるよ」

 救急車が到着し、航は全治3ヶ月という重傷だった。特に酷かったのは包丁を持つ右手。
 白河酒造からの妨害があったとしても、まともに営業は出来ないなら、ゆっくり休め、と裕司のでもあった。
 営業が出来るとなると、航は無理をするに違いないからだった。
 しかし、裕司の思い通りにはするつもりは無かった航は、被害届は出すものの、証言もしない曖昧な態度で、警察に任意同行させ、裕司と裕司が守りたかった紗耶香を白河酒造からさせたのだ。警察沙汰になれば、社会的に排除になる事が多々ある。
 航は羽美を紗耶香から離し、紗耶香を助けたかった裕司を白河酒造から引き離そうと、賭けにはなるが、やってみせたのである。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...