上 下
4 / 59
【あらすじ 紗耶香&裕司視点】Mにされた女はドS上司に翻弄される

見合い相手に相手にされず

しおりを挟む

 毎日、祖父に急かされては、律也と会う様にしなければならなかった紗耶香。
 それがとても嫌だった。人を見抜く目を持っている律也を祖父は気に入っていた様で、どんな手を使っても紗耶香と律也の子を産ませて、自社を大きくさせたい、と野心を見せていたのだ。
 正攻法でしている今の行為が、もし駄目であったなら如何するのだろう、と思うが、そんな意見等言える立場ではないのだ。

「紗耶香!乗り込むぞ!儂も行ってやる!」
「…………はい」

 なかなか会ってくれない律也に痺れを切らした紗耶香ではあるが、祖父も一緒に行って会えなければ仕方ない、と思い、祖父と共に速水物産へと向かう。
 すると、速水物産のビルの前で、女2人が揉めている様な会話が聞こえた。

 ―――何事?

 気にする物では無いと、思った瞬間、怒号が聞こえ、その2人の女の間に入っていく。男は1人の女を守る様に達、もう1人の女を怒っていた。

「何してる!その手を離せ!」
「律也!」
「…………何で此処に居る?」
「会いに来たよ!律也!」

 男は律也だった。
 律也に抱き着こうとする女の頭を抑え阻止する律也。

「別れた筈だ」
「だから、それは一時の気の迷いなんだってば!やっぱり律也がいいのよ、私」
「………もう、忘れろよ……先に裏切ったのはそっちだろ」
「ごめんってば!」
「今は、本気に付き合ってる女が居るんだよ……名古屋に帰れ」

 ―――あの女使えるわ

 律也が連れて行こうとする女ではない。らしき女の方だ。会社のまえで、律也がキスを仕掛けた女は邪魔な者、と一瞬の判断で計画を練った。
 紗耶香はその女の方へ歩いて行く。

「紗耶香、如何した?」
「お祖父様、今日は無理ですわ………律也さん、帰られてしまいました」
「………また逃げおったか、あの小僧……」
「私、ちょっと野暮用が出来ましたから、お祖父様は先にお帰り下さい」
「紗耶香?」

 紗耶香は、律也のだと言い張るが、律也の眼中は全くないだろう。所沢 泉と名乗った女から、情報を聞き出した紗耶香だが、既に調べていた事ばかりだ。

 ―――使えないじゃないの……何、この女……にさせる訳ないでしょ……私があの男と結婚して、に君臨させたら、お祖父様に何言われるか………ううん、何されるか……

 泉には利用価値が無かったが、もう1人の女は邪魔な者だが利用価値はあった。

「割烹料亭おさない、ね………取引全部切りなさい」

 部下に紗耶香は命令する。

「割烹料亭おさない?」

 お目付け役でもある裕司は紗耶香に付き添っていた。

「裕司、知ってるの?」
「…………いや、知らね」

 裕司はポーカーフェイスだった。何も知らなさそうであった為、紗耶香は裕司に頼む。

「この小山内 羽美、て女………襲わせてもいいかもね」
「…………止めておけよ、紗耶香………あの律也、て男にバレたら、結婚危ういんじゃね?」

 羽美の身辺調査書を裕司は読んだ。

「………ストーカー被害?……この羽美、て女のストーカーを使うか?」

 ―――航が居て何でこうなる!

 心配で仕方なかった裕司だが、紗耶香に知られる訳にはいかない、と裕司は考えた。

「一緒じゃないの、襲わせるのと」
「違ぇよ………関与してねぇ様にするのさ……人使って襲ってみろ……直ぐにバレるぞ……その点、なら、羽美………って女のだからな……久々に近付かせてやりゃ、律也って男は助けようとする筈だ………その間、店の取引や妨害して、2方面から攻める……余裕無くなるんじゃね?………控えめな女っぽいし、ストーカーの事は絶対に言えねぇだろ……出てきそうなのは、こっち……兄貴の方。コイツがどう動くか、だな………」

 紗耶香は羽美の身辺調査で、兄である航を注視していなかった。

 ―――羽美を危ねぇ事に巻き込みたくねぇ……航が気付けば……羽美を守る筈……

 裕司は紗耶香の横で、に徹しながら、羽美と航の心配をしていた。何故なら、裕司は航の親友だった男だからだ。妹の羽美もよく知っている。守る為に、裕司は闇に堕ちたのだ。堕ちたとしても、守りたい存在だった。
 だが、裕司は航と羽美をよく知っていても、律也を知らない。羽美の彼氏である律也を航が気に入るとは裕司は思っておらず、航が別れさせる筈だと思っていたからだ。
 この件で、航は羽美を再びストーカーから守りに入るだろう。それにより律也の存在を航が知ったら、絶対に妨害すると見ている。

 ―――羽美がこの男と別れさせられれば、紗耶香はこの男と結婚………か……いいのか?俺は………だが、紗耶香とは……

 雇い主と雇われ者の関係の紗耶香と裕司。この関係を崩せば、紗耶香の祖父が黙ってはいないのだ。

「分かったわ………ストーカー使いましょ……裕司、ストーカー被害って取下げ出来るのかしら」
「知らね……俺に聞くなよ………本人以外無理じゃね?」

 ストーカー被害の被害届は、羽美と航になっていた。

「…………ん?……被害届取下げ……聞いてきてやるよ」
「いいの?………だって警察は………」
「あ?………それぐらい行ってやるよ」

 ―――身分証明書、如何しよっかな……

 問題は身分証明書が必要になる可能性がある。忘れた、と言い、徒歩で警察署迄行くのはいいが、裕司が。背格好や雰囲気は似ているのもあり、航に似せて行ってみる事にした。
 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

無彩色なキミに恋をして。

氷萌
恋愛
『お嬢様  私に何なりと御用命ください』 紺色のスーツを身に纏い 眉目秀麗で優しい笑顔を持ち合わせる彼は 日本有するハイジュエリーブランド “Ripple crown”の代表取締役社長兼CEOであり わたしの父の秘書・執事でもある。 真白 燈冴(28歳) Togo Masiro 実は彼 仕事じゃ誰にでも優しく 澄んだ白い心を持つ王子のようなのに… 『何をご冗談を。  笑わせないでください。  俺が想っているのは緋奈星さま、貴女ただ1人。  なんなら、お望みとあれば  この気持ちをその体に刻んでも?』 漣 緋奈星(21歳) Hinase Sazanami わたしに向ける黒い笑顔は なぜか“男”だ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...