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別れ
しおりを挟む行きとは違い、人数もかなり減った従者達が出発準備をしている。
「何か少なくなっていないか?」
「トリスタンに帰りたい者は残したんだ。流石にレングストンに皆預かる訳にはいかないだろ?希望者はまたレングストンに連れて行き、他は帰郷だ。帰りの為にレングストンの者も連れて来てたから、警護も大丈夫な筈だ。」
「あ、そっか……連れて行けないんだ……侍女達もこっちに家族居るし………。」
「ラメイラ………。」
「父上。」
宮殿の門に送り出す為にトリスタン国王が息子2人を連れて出て来た。
トーマスは一礼し、ラメイラの背中を押した。
トーマスは既に挨拶を終えている。
「元気でな、身体に気を付けるように。」
「…………うん!父上、兄上、レックスも元気で!」
「ラメイラ、幸せにしてもらえよ。婚約式には父上の代理でレックスと行ってやるから。」
「姉上………。」
「な、泣くな!レックス!男だろ!」
「だ……だって……。」
弟が寂しさから泣き始めると、ラメイラも我慢していたのに、涙を流す。
「さぁ、行け、ラメイラ。結婚式に会おう。昨夜でもうお前はトーマス殿の伴侶とトリスタンは認めている。レングストンとトリスタンの架け橋になるのだからな。頑張れよ。」
「…………はい……はい、父上……頑張る!」
馬車に乗り込んだラメイラは、見えなくなる迄、宮殿の方を眺めていた。
街並みを心に刻むラメイラをただ、じっと見ていたトーマスは他国から嫁ぐ者の寂しさを知ったのだった。
宮殿のあった王都が見えなくなると、ラメイラはトーマスの肩に頭を乗せた。
「…………疲れたろ?少し寝るといい。」
「うん………そうさせてもらっていい?」
「俺の膝を枕にしていいぞ。」
「いいの?」
「横になった方が寝れるからな。次に行く街で少し休憩するからそれ迄寝てろ。」
「……………う……ん。」
トーマスの膝を枕にしたラメイラは、余程疲れていた様で、直ぐにまぶたが閉じた。
「おやすみ、ラメイラ。」
髪を愛おしそうに撫でるトーマスも、そのまま微睡むのだった。
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