私が欲しいのはこの皇子！【完結】

トリスタンでの初夜②

　
　夕食も終わり、ラメイラは部屋に戻って来ると、また部屋の装いが変わっていた。

「何でこんなに可愛くするんだ！！」
「ラメイラ様には幸せになって欲しいので。」
「こんな事で幸せになるなら、お前達もやれ～！！」

　ベッドには花弁が撒かれ、天蓋にはリボンで結び止めてあった。

「トーマスに見せれない！！撤去！！」
「トーマス殿下に見せる為にじゃないですか！」
「いやぁ！恥ずかしい！」

　ラメイラはベッドの花弁を払い落とした。
　
　コンコン。

　誰かがラメイラの部屋のドアを叩き、侍女が開けるとトーマスだった。
　トーマスなので、侍女は部屋に通す。

「廊下に迄聞こえたんだが、何を騒いで……あぁ、いいじゃないか天蓋。」
「この天蓋、トーマスが用意したのか？」
「あぁ、義父上に頼んでね。………コレ…何？花弁？」
「私は知らないぞ！勝手に侍女達が！」
「ははははは！！花弁はやり過ぎだな～、あと天蓋のリボンも要らない。悪いが侍女達を暫く部屋から下げてもらっていいか、ラメイラ。」
「…………分かった………。」

　ラメイラは侍女達に合図を送る。
　侍女達は出て行き、部屋にはラメイラとトーマス。

「ラメイラ……閨のしきたりだが……。」
「う…………うん。」
「天蓋付きにしてもらう事、確認も天蓋の外で聞くという事、あと………破瓜を確認したら、義父上達は退室する事で話は着いた。」
「………父上達に見られ……ない？天蓋に挟まれてるから………。」
「見聞きしないように、と迄は行かなかったから、見るのだけは何とか……。だから、聞かれてしまうが、声は破瓜迄押し殺して欲しい。」
「…………でも見られないなら……。」

　怯えてはいるが、心配事の半分は無くなり安堵はしているラメイラ。

「…………大丈夫か？緊張してるだろうが、俺だけを見てればいいから。」
「うん。」
「じゃあ、俺も準備してくる。」

　トーマスは話すだけ話し、ラメイラの部屋を出て行った。