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閨のしきたり

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 再び、応接室に戻って来た男達。

「それで?話とは?」
「…………トリスタンのしきたりで、結婚を証明と言われる閨のしきたりがありますよね?」
「……あぁ、知っておったのか。」
「はい………ラメイラは見られたくない、と言っています。私も見られて楽しむ趣味はありません。」
「トーマス皇子、トリスタンの者には男の強さを誇示する為に必要なんだ。」

 エドワードは嬉しそうに言う。

「昔は家族や親族だけではない、結婚の話が広がると、隣近所の成人した男女が見にくるしきたりだ。ラメイラも受けてもらう必要がある。」
「どうしても、と?」
「そうだ。」
「他国に嫁ぐ娘でもですか?」
「そうだ。」

 郷に入れば郷に従え、という事なのだろう。
 トーマスもそういう物が国毎にあるのも知っている。
 それ以上は聞ける空気でも無い。

「分かりました、では私からもそれについて条件を出していいでしょうか。」
「何だ?」

 トーマスは眼鏡を上げ、一旦俯くと、目に力を込め、国王に伝える。

「レングストンの王族は妃に淑女らしさを求めます。ラメイラには淑女らしさは無いですが、結婚前に妊娠するのは醜聞なのです。なので、その閨のしきたりをもし滞在中する事になるのなら、避妊具を付けさせて頂きたい。」
「それぐらいなら……。」
「それと、確認する時は、ベッドに天蓋を掛けさせて頂き、天蓋の外で確認して頂きたい。」
「な!ふざけて………!!」
「エドワード、待て。」

 エドワードは気分を害したが、それを止める国王。

「トリスタンにもしきたりがあるように、レングストンにもしきたりもある。そして夫となるトーマス皇子も見られながらの閨はレングストンには馴染みがない。我々はそのしきたりに慣れていて当たり前だっただけ。」
「だからって!」
「トーマス殿下、了解した。」
「…………ありがとうございます……序にもう1つ、破瓜を確認したら、部屋から退出して頂きたいのですが。」
「!!……どうやって破瓜を確認しろと言うんだ!天蓋で隠され、声で分かれと!!」
「…………はい、お願いします……ラメイラの心を守る為に。」
「心を守る………為……。」

 国王もエドワードも固まる。
 国王は暫く考える。

「分かった………承諾しよう。ラメイラが傷つくのは見たくない。」
「父上、良いのですか?」
「構わん………結婚するという事実が証明出来ればいい………それに、この男ただ閨を見られたくないだけで吐かしただけ。エドワード、私達が確認し退出た後、必ず本領発揮する筈だ…………ふふふ………。」
「………………さぁ?」
「面白い男だ……まぁ、ラメイラを幸せにしてくれるなら、任せようではないか。」

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