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初代カルディアのティアラ
しおりを挟む「ウェン?」
「カチュアに聞きたいんだけど」
この顔は見覚えのあるカチュア。
鳥の姿から過去のカチュアと同一した日の質問攻めだった時の顔をするコーウェン。
「な、何?」
「デュークとの房事は苦痛だったんだと君は言ったよね?」
「………え、えぇ……」
「だけど、バッシュの時は君は話そうとしないのが、今凄く気になるんだけど」
「……………あ、汗かいちゃった………湯浴みしてきていい?」
「却下」
「お願い」
「お願いされても駄目」
バッシュとの事は、バッシュの個人的な悩みで房事をしたのだから、それをいくら従兄弟といえ、話していい内容ではない。
「バッシュ様とどういう房事したか、て話をして、嫉妬するのを分かっているのに、私が言えると思って?」
「嫉妬心を受け取ってくれるのならいくらでも言っていいよ………僕が聞きたいのは、ゴードンとも身体の関係あったの?」
「!!」
「あ、締まったね」
クスクスと笑ったコーウェン。
正直な身体は、コーウェンにも伝わってしまった。
「……………」
「僕が怒る立場ではないよ………カチュアのしてきた事は知っているし、今カチュアの処女を頂いたのは僕だしね……ただ、複雑なのは理解してくれる?」
「…………気を悪くするのが分かるもの」
「聞いた所で、僕がゴードンやバッシュに何かすると思う?」
「思わないわ…………ただ、これは切実な事だったから………」
「…………うん……」
「…………バッシュ様に嫁ぐ時、バッシュ様から大切な事を言われたの………大切な事は、いくらウェンにだって言えない………それだけバッシュ様が秘密にしておきたい事だったから」
「………それで?」
「私、バッシュ様とゴードン様、両人一緒に抱かれていたの」
「……………え?………交代ではなく?」
「交代もあったけど、抱かれていた時は3人一緒の部屋に必ず居たわ」
「えっと………確認していい?………同時に注がれた、とかも………」
「あったわ………前と後ろ、とか、口と同時に、とか…………」
「……………な、何をさせてるんだ、あいつ等は………」
「ウェン、お願い………あなたが夫になったから言ったの………追求するのはやめて、ね」
コーウェンはカチュアの表情を汲み取る。
コーウェンが聞かなければカチュアは決して言わなかったろうと思ったら、それ以上聞く訳にはいかなかった。
「カチュアは、そんなに経験豊富だったんだねぇ………いつか僕にも経験させてくれる?」
「…………え?」
深刻な話が転じ、嫌な予感しかしないコーウェンの笑みに、再び下腹部が疼くのを感じたカチュア。
コーウェンの杭がビクビクと蠢く。
恐らく想像したのだろう、3人で同時、所謂複数プレイを。
「い、今は無理だから!」
「分かってるよ。バッシュとゴードンとの房事の後に、多分ライナスも来たよね?ライナスはバッシュとゴードンの事もバラさず死んだんだから、カチュアと僕との秘密、て事で、その楽しんだ経験も僕も味わいたいな、と思っただけだから、いつか、ね」
コーウェンはカチュアをうつ伏せに変え、後ろから、蜜口に挿入する体勢に変えた。
「そっか…………カチュアはココも許したんだね………夫なら、カチュアのココの初めても貰わなきゃ」
「あっ………ぁはん!……はっ……あっ」
まさか、夫が対抗心丸出しで、欲望をぶつけて来るとは思わず、また執拗に焦らされた1回をスル事になった。
昼過ぎに終わった葬儀で戻って来てからの房事は、いつもの夕食時間をとっくに過ぎての2回の行為に、カチュアは立つ事も出来なかった。
✧✧✧✧✧
「じゃ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃいませ」
ライナスの葬儀を喪に復した翌日、コーウェンは王太子として即位する事が発表された。
結婚式もまだ終えていない事から、即位式と同時に結婚式を挙げるように、と王に言われ、その準備も忙しくゴルーグ公爵家内はバタバタしていた。
「若奥様、仕立て屋が来る前に、旦那様がお会いになりたいと」
「お義父様が?今から伺って大丈夫かしら?仕立て屋が来るのは昼頃でしょう?」
「はい、コーウェン様をお見送りしたら、お伝えするように、と仰っておりましたから」
「では、このまま行ってきます」
「お供します」
「大丈夫よ、あなた達も朝は掃除や朝食の片付けで忙しいでしょう?敷地内だから必要ないわ」
「申し訳ありません、若奥様」
本邸に行くと、ゴルーグ公爵と公爵夫人が待っていた。
「やぁ、すまないね、急に呼び出して」
「いえ、今日は仕立て屋が来る予定があるだけでしたから大丈夫です」
「手短にするが、掛けてくれたまえ」
「失礼します」
応接室のソファに促され、公爵夫人の目の前にある箱を見つける。
何故か懐かしい空気を感じたカチュア。
「流石聖女様………これにお気付きになられるとは」
「まさか、私のしっている物でしょうか?」
「えぇ、これをカルディア様にお返しをしなければ、と」
「コーウェンから聞いてるかと思うが、公爵夫人は聖女の末裔だ。娘しか居らず、嫁ぐ時に義母から持たされたそうだ。それを返す時が来たら、返すように、と」
箱を手渡されたカチュア。
開けると涙が溢れる。
「………うっ………」
「どういう物か聞いても?」
「…………これは初代コルロフ王からの結婚を申し込まれた時に頂いたティアラです……」
カチュアの身体を使い、初代カルディアの愛した人を思い出して涙が止まらない。
輝きを失っていないという事は、代々大事に保管された物なのだろう。
1つだけ石が外れた箇所を擦る。
それを見た夫人は、申し訳なさそうに話した。
「母が、その外れた箇所は、どうしても石が入らなかった、と申しておりました。嵌めても直ぐに外れた、と」
「………この部分の石は、私が持っています。弟に渡した真珠がつい最近戻ってきたので………初代カルディアの双子の弟ルシファーへ、姉から慈悲と優愛を込めて」
「聖女様、そのティアラを被り、コーウェンとの結婚式を挙げて下さいな。勿論、直した物で」
「…………ありがたく受け取らせて頂きます」
カチュアは深々と頭を下げた。
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