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集合した精霊達

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 過去カチュアが強姦されてから、2日程経った頃、過去カチュアは、バッシュもゴードンも受け入れようとしなかった。
 優しくされればされる程、拒む過去カチュア。
 鳥カチュアは片時も離れないように寄り添い、過去カチュアを癒やしている。

ピピピピピピッしっかりしなさい
「…………の子を妊娠したらどうしよう………」
ピピピピピピッさせる訳ないでしょ!!」

 鳥カチュアはまた過去に戻って、指名し直す準備をするのだ、そうなればカチュアは居ない世界になる。
 鳥カチュアの精神が入っていた10年後の身体ももう消去されているという。
 新しい未来になっているカチュアは、鳥カチュアの目の前に居る過去カチュアしか居ない。
 しかし、鳥カチュアが過去に戻れば、この過去カチュアと別れる事になる。
 寂しさもあるが、自分の為に、自分を犠牲にすると覚悟もいつしか持つようになったのだ。
 過去カチュアに、擦り寄りなるこのカチュアに少しでも幸せを感じて欲しかった。

【カチュア!精霊達集まったから、屋敷から出て来い】
ピピピッ分かったわ
「どうしたの?」

 鳥カチュアは、過去カチュアから離れ、最後の挨拶をする。

ピピピ待っててね…………ピピピピピピ一緒に幸せになるんだから………ピピッ貴女はピピピ………」
「………え?………待ってっ!」

 鳥カチュアは、屋敷の外に飛び出ると、シャルゼが迎えに来てくれていた。

「お待たせ、行きましょ」
「………あぁ、俺達こそ待たせたな」
「………シャルゼ、今度こそ私は間違えない」
「………あぁ、頼むぜ」

 コーウェンの屋敷に集まっている、と言うので、一瞬にしてカチュアを連れてってくれたシャルゼ。
 何故コーウェンの屋敷に最近集まるのか聞いたが、精霊達は落ち着く空間なのだと話してくれた。
 過去に戻り、またこの屋敷にあるステンドグラスが見れるか分からないが、カチュアは目に焼き付けておこうと見上げる。

「カチュア嬢」
「………コーウェン様」
「頑張って」
「……はい………コーウェン様に選ばれるよう導いてきます。」
「いや……多分僕は選ぶんじゃないかな……精霊の加護がある君だもの……ただ、過去のカチュアが僕を拒絶するかが心配でね」
「…………拒絶はしないと思います……今はそれしか言えませんが……」

 少しコーウェンと話したカチュアは精霊達を見渡す。
 シャルゼ、ジューム、カルマ、アトモスは分かるが、始めて見る精霊が他に3人。

「カチュア……氷の精霊シヴァ、火の精霊イフリート、雷の精霊エレギアだ」
「宜しく……お願い……私を過去に戻して」
「カルディア様がそれで甦れねぇ、なんて事にはならねぇだろうな?シャルゼ」
「イフリート、もう間違えさせねぇ」
「………あのさ、私らカルディア様を待たずして、その悪魔を倒しちゃえばいいんじゃないの?」
「シヴァ!そんな事になったら、大陸沈むわ!」

 イフリートとシヴァの言葉にシャルゼとジュームが答える。

「いいじゃないか、一度真っさらにしたってよ」
「エレギア迄!」
「俺達ゃ、火と氷と雷の力は最強なんだ、真っさらにすりゃそれだけで人間なんぞ居なくなって、自然を破壊されずに済むじゃねぇか」
「イフリート!」
「…………協力しなさいよ!!馬鹿精霊!!」
「!!」

 火と氷、雷の精霊達の言葉がカチュアの苛立ちを増していく。

「何だと!?鳥風情が!丸焼きにしてやってもいいんだぞ?」
「すれば?どうせ、この姿はシャルゼの作った入れ物だもの。精霊は自然を守るのなら人間が破壊した自然に対して、それに対して罰を与えればいい。でも殺戮になるような破壊なら許さないから!まだ悪魔の子が産まれてないのよ?そうならない為に過去に戻ってやり直そう、ていう話でしょ!いいの?このまま過去の私が悪魔の子を産んでも!」
「……………分かったよ……だが、これっきりにしてくれ………カルディア様が居ない世界等、無くなった方がいいんだ……だが、がまだ居る………可能性に掛けてやるよ」
「イフリートもシヴァもエレギアも、カチュアを試さないでくれる?既に他の精霊達はカチュアに手を貸してるのよ、それで信用しようとしないんだから、質悪いわ」
「カルマ、お前ものんきに見てたであろう、アトモスも」
「俺は、こうなんの予想出来たからな、こいつらは気性が荒いしよ」
「お前が言うなアトモス。地震を頻繁に起こす事もあるだろうが」
「お前だって、山火事起こすじゃねぇか!」

 喧嘩勃発しそうな会話になってきた。
 カチュアの苛立ちがまた上がる。

「いい加減にして!!………早く私を過去に送って!」

 カチュアの声で精霊達は押し黙ると、バツが悪そうに、カチュアを囲むように並んだ。

「準備はしてあるな、皆」
「へぃへぃ、やりますよ」

 シャルゼの声に、アトモスが答える。
 すると、他の精霊達もそれぞれの力を出す紋があるのか、手をカチュアに向けて精神統一を始めた。

「また後でな、カチュア」
「直ぐに会おう」
「舞踏会の指名直前に行くからね」
「………了解」

 コーウェンの屋敷のステンドグラスの下で、カチュアや精霊達は光に包まれる。
 その光が消える頃、コーウェンは呟いた。

「カチュア嬢、頑張れ………」

 そして、その時代の過去カチュアを含む者達は消滅したのだった。
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