26 / 51
再び過去に戻るか否か
しおりを挟む過去カチュアの強姦されたその夜、帰って来たバッシュとゴードンに気絶した全裸の姿で発見された過去カチュア。
過去カチュアは意識が戻り、泣きじゃくった。
だが、バッシュやゴードンがいくら相手の名を聞いても、過去カチュアは言えなかった。
泣いてばかりで興奮している。
侍女達が湯浴みを手伝うという申出も信用出来ない。
鳥カチュアの姿はいつしか部屋から消えており、過去カチュアも余裕がなく気が付く事もなかった。
「カチュア………誰にヤラれたんだ………答えてくれ」
「ひっく………ひっく……」
「許さない……絶対に……」
バッシュもゴードンも冷静さを保つ事が限界だった。
「カチュア、とりあえず湯浴みしよう。侍女達に見られたくないなら、俺達が手伝う」
「兄上、俺達にも見られたくないだろ……」
「そ、そうだな……連れてってやるから、ゆっくり入っておいで」
侵入者は、バッシュ達が帰って来るギリギリ迄居たという。
侍従達は、閉じ込められており、静寂な屋敷に不審がったバッシュとゴードンが、屋敷中確認して回ったが、証拠となるものはカチュアの身体に残された残骸のみ。
だが、流してしまえば証拠は無いのだ。
「そういえば、カチュアの鳥は?」
「…………いつもならこの時間はカチュアから離れなかったのに」
「………あの子………助けようと………叩かれて………」
「叩かれた?でも居ないぞ?」
「…………そんな………筈は………」
✧✧✧✧✧
鳥カチュアは、侵入者に叩かれて直ぐ、シャルゼにより連れ出されていた。
コーウェンからジュームに知らされたのもあり、コーウェンの屋敷に集まっている。
「僕はバッシュの屋敷に行ってくるよ………多分、僕の予想通りなら、強姦したのはライナスだから、確認してくる」
「十中八九その通りだ………デュークの妻であった時も、結婚式後にカチュアを強姦して、息子を産ませてる………カチュアはデュークには言えないまま、10年我慢してた。だが、産まされた息子が王位継承の権利を持つと、カチュアの不貞を露呈させたライナスは、デュークの訴え虚しく、他の罪を擦り付けてデュークは処刑されたんだ………その後、その息子はライナス以上の残虐性を持ち、ライナスを殺すと、国や大陸を巻き込み海に沈めた………ライナスの息子は、カルディア様が封印した悪魔だったのさ」
「…………な……っ………んだって……」
「だから、カチュアはデュークの妻になるのを拒んだんだが……」
シャルゼが、知らなかったカチュアの10年を話す。
簡潔だが、充分理解出来る内容だった。
「………ライナス殿下は……」
「カチュア!!起きたか!!」
「…………私は?ねぇ!無事なの!?」
意識を取り戻した鳥カチュアは、過去カチュアを心配し、辺りを見渡す。
心配そうに見つめる精霊達とコーウェン。
その表情で鳥カチュアも理解した。
「………助けられなかったのね……」
「………カチュア嬢、ライナスは何故君を狙うのか分かるかい?」
「…………コーウェン様……………はい……」
鳥カチュアは、俯くとポツリポツリと語り始めた。
「ライナス殿下は、結婚適齢期の優秀な王族の男性の既婚者の妻に、ご自分の子を孕ませたいのだそうです………そうして産ませた子が男の子であれば、妻の不貞を訴えた後、子を自分の子として育てるのだと………次代の王になるには、その者の子が優秀でなければならないから、と………子は多ければ多い程いい、と………」
「………カチュア嬢……時を遡って、僕の妻になりなさい。僕なら匿ってあげられるかもしれない」
「………え?ですが、それは難しい、てシャルゼが………」
「…………ジューム、カルマ、アトモス……協力してくれるか?」
「…………他の精霊達も呼ばねばな」
シャルゼが、自分以外の精霊達に確認をすると、ジュームから順に口を出した。
「やっぱり、そうなるのかな、と思ったわ」
「………気の毒過ぎて、今回だけだぞ、大目に見るの………だが、他の奴ら引っ張って来なきゃならねぇな」
「アトモス頼めるか?」
「…………面倒くせぇ奴居るけど何とか説得してやるよ」
「………皆………」
「………カチュア嬢、過去の君は僕の事を眼中に無かっただろう?そのままで良いんだが、僕に君を興味持たせられるのかな?」
「…………そ、それは私にも分かりませんけど………」
「大丈夫じゃないかしら?鳥の姿のこの子が居なかった時と比べたら、貴方はカチュアに興味を持ったんだから…………1000年毎に、カルディア様が生まれ変わるのには、カルディア様が末裔の中から選ばれ、生まれ変わった女が好きになる人が出来るかどうかだし」
「………好きになる人…」
「そうよ、毎回ね」
カルマの言葉には、カチュアは勿論、コーウェンも驚いた。
「わ、私………精霊なんて見えなかったわよ?この姿になる迄」
「それでも、カルディア様が選んだのはカチュアだ。カルディア様が力を解放する時、カチュアも聖女としての役割が始まる」
シャルゼは説明を続ける。
「聖女カルディアが力を解放したら、私は私で無くなるの?」
「無くならんぞ。カチュアの性格のままだ。カルディア様も、人間の時の名はあったしな。聖女の力こそがカルディアなのさ」
「…………よく分かんない」
カチュアの理解力が追い付かない。
「まぁ、聖女の力が解放されたら分かるさ」
と、精霊達は期待を込めてカチュアに言った。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
【R18】聖女のお役目【完結済】
ワシ蔵
恋愛
平凡なOLの加賀美紗香は、ある日入浴中に、突然異世界へ転移してしまう。
その国には、聖女が騎士たちに祝福を与えるという伝説があった。
紗香は、その聖女として召喚されたのだと言う。
祭壇に捧げられた聖女は、今日も騎士達に祝福を与える。
※性描写有りは★マークです。
※肉体的に複数と触れ合うため「逆ハーレム」タグをつけていますが、精神的にはほとんど1対1です。
【R18】純情聖女と護衛騎士〜聖なるおっぱいで太くて硬いものを挟むお仕事です〜
河津ミネ
恋愛
フウリ(23)は『眠り姫』と呼ばれる、もうすぐ引退の決まっている聖女だ。
身体に現れた聖紋から聖水晶に癒しの力を与え続けて13年、そろそろ聖女としての力も衰えてきたので引退後は悠々自適の生活をする予定だ。
フウリ付きの聖騎士キース(18)とはもう8年の付き合いでお別れするのが少しさみしいな……と思いつつ日課のお昼寝をしていると、なんだか胸のあたりに違和感が。
目を開けるとキースがフウリの白く豊満なおっぱいを見つめながらあやしい動きをしていて――!?
【R18】少年のフリした聖女は触手にアンアン喘がされ、ついでに後ろで想い人もアンアンしています
アマンダ
恋愛
女神さまからのご命令により、男のフリして聖女として召喚されたミコトは、世界を救う旅の途中、ダンジョン内のエロモンスターの餌食となる。
想い人の獣人騎士と共に。
彼の運命の番いに選ばれなかった聖女は必死で快楽を堪えようと耐えるが、その姿を見た獣人騎士が……?
連載中の『世界のピンチが救われるまで本能に従ってはいけません!!〜少年聖女と獣人騎士の攻防戦〜』のR18ver.となっています!本編を見なくてもわかるようになっています。前後編です!!
ご好評につき続編『触手に犯される少年聖女を見て興奮した俺はヒトとして獣人として最低です』もUPしましたのでよかったらお読みください!!
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
【R18】触手に犯された少年聖女を見て興奮した俺はヒトとして獣人として最低です
アマンダ
恋愛
獣人騎士のアルは、護衛対象である少年と共に、ダンジョンでエロモンスターに捕まってしまう。ヌルヌルの触手が与える快楽から逃れようと顔を上げると、顔を赤らめ恥じらう少年の痴態が――――。
連載中の『世界のピンチが救われるまで本能に従ってはいけません!!〜少年聖女と獣人騎士の攻防戦〜』のR18ver.となります。おなじく『男のフリした聖女は触手にアンアン喘がされ、ついでに想い人の獣人騎士も後ろでアンアンしています。』の続編・ヒーロー視点となっています。
本編は読まなくてもわかるようになってますがヒロイン視点を先に読んでから、お読みいただくのが作者のおすすめです!
ヒーロー本人はBLだと思ってますが、残念、BLではありません。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
中でトントンってして、ビューってしても、赤ちゃんはできません!
いちのにか
恋愛
はいもちろん嘘です。「ってことは、チューしちゃったら赤ちゃんできちゃうよねっ?」っていう、……つまりとても頭悪いお話です。
含み有りの嘘つき従者に溺愛される、騙され貴族令嬢モノになります。
♡多用、言葉責め有り、効果音付きの濃いめです。従者君、軽薄です。
★ハッピーエイプリルフール★
他サイトのエイプリルフール企画に投稿した作品です。期間終了したため、こちらに掲載します。
以下のキーワードをご確認の上、ご自愛ください。
◆近況ボードの同作品の投稿報告記事に蛇補足を追加しました。作品設定の記載(短め)のみですが、もしよろしければ٩( ᐛ )و
本日をもって、魔術師団長の射精係を退職するになりました。ここでの経験や学んだことを大切にしながら、今後も頑張っていきたいと考えております。
シェルビビ
恋愛
膨大な魔力の引き換えに、自慰をしてはいけない制約がある宮廷魔術師。他人の手で射精をして貰わないといけないが、彼らの精液を受け入れられる人間は限られていた。
平民であるユニスは、偶然の出来事で射精師として才能が目覚めてしまう。ある日、襲われそうになった同僚を助けるために、制限魔法を解除して右手を酷使した結果、気絶してしまい前世を思い出してしまう。ユニスが触れた性器は、尋常じゃない快楽とおびただしい量の射精をする事が出来る。
前世の記憶を思い出した事で、冷静さを取り戻し、射精させる事が出来なくなった。徐々に射精に対する情熱を失っていくユニス。
突然仕事を辞める事を責める魔術師団長のイースは、普通の恋愛をしたいと話すユニスを説得するために行動をする。
「ユニス、本気で射精師辞めるのか? 心の髄まで射精が好きだっただろう。俺を射精させるまで辞めさせない」
射精させる情熱を思い出し愛を知った時、ユニスが選ぶ運命は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる