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プロローグ
しおりを挟む『助けなければ………この娘は助け…………』
(……………誰……?私を知って……るの……?)
誰かが誰かを助けようとする………。
『…………さぁ………貴女は還るの……やり直しなさい…………』
(……誰な………の……?)
真っ黒な景色から一筋の光が入る。
貴女と呼ばれるのなら女だろう。
『…………私は…………貴女………』
(………え?)
その言葉に目が覚めた女………しかし、突如怒鳴り声で意識をはっきりさせる。
「危ない!落ちる!」
「え!?」
「お前今鳥なんだから、落ちるなよ!」
「な、何?私は人間よ!…………あ、あなたは誰?」
意識を取り戻した女は、目の前の大きな男に驚く。
目の前の男は、女が知らない男。
「気をつけろ、お前は今木の上に居る鳥なんだ」
「え…………私が……鳥?」
「そうだ、俺が精霊の能力で、お前を鳥にした」
「………………は?」
訳が分からない。
夢を見ていた筈だ。
だが、その夢は幻想的で暖かかった。
「簡単に言えばな………難しく言えば、今お前はこの世界に存在していない。お前が入っているその鳥は俺が媒体した精霊の形。俺は水を司るシャルゼ、水の精霊の1人だ」
「…………私……死んでるの?」
「死なせない為に未来から連れて来た」
「……………なっ!」
本当に訳が分からない。
(…………ちょっと待って………私、夢見る前何してた?)
「お、丁度あっちのお前も起きたな。見ろ、10年前のお前、カチュア・ロマ・シューヤ・スペリオール侯爵令嬢」
「!!」
そう、女の名はカチュア。
コルロフ王朝の貴族令嬢だ。
カチュアはシャルゼが指差す方向を見ると、見覚えがある建物の一角で、目が覚めたばかりの自分が、手を掲げ背伸びをしながら窓辺に寄り、窓を開ける。
(…………私だ!)
「お前はこの半月後、運命が変わる出来事がある。そのお前の行動一つで、この国コルロフ王朝は滅びるんだ………それがきっかけで、コルロフ王朝だけではない、この自然豊かなラピファ大陸が海に沈む」
「……………は!?何で私の行動で変わるの!?私は国もだけど、大陸を滅ぼしたいなんて、思った事はないわ!」
「お前はそうでも、お前を取り巻く周囲がそうするんだよ。お前はその鍵だ」
「な………何があるの?」
「…………半月後、王朝で夜会が開かれる。そこでお前は5人の王子に会う。その5人の誰かにお前は花嫁に選ばれる。その相手をお前は間違えるな………今はそれしか言わん」
「夜会…………花嫁探しの!」
「思い出したか………じゃ、お前は今のカチュアのペットになれ」
「え!!……………きゃ~~~~~!!」
シャルゼが鳥カチュアを掴み、過去カチュアが居る窓目掛けて投げ入れた。
「ピピピピッピピピッ」
「あら、びっくりした………可愛い、如何したの?迷ってここに来た?」
「ピッ?」
鳥カチュアの前に、過去カチュアが居て、鳥カチュアを覗き込んでいた。
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