何故、私は愛人と住まわねばならないのでしょうか【完結】

Lynx🐈‍⬛

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結婚♡

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 宴も終わり、オーヴェンス公爵家に帰って来たレイラとアーロン。
 
 ---す、凄い緊張する……カエアン様との時より………

 2人の寝室だと案内された部屋は、アーロンの元々使っていた部屋だ。
 レイラは案内され、扉の前に立つが、なかなか入れない。
 自分のタイミングで入りたい、と侍女達も下がらせて、ノックする手を動かせないでいた。
 しかし、その扉は中から開けられる。

「っと…………何で入って来ないんだ?遅いから確認しようと………」
「き、今日は………お疲れ様………でした……」

 質問の答えにはなってないレイラだが、アーロンはそれに答える。

「あぁ、お疲れ様………綺麗だったよ、レイラ………」
「っ!」

 クスクスと笑われながら、レイラの腰を抱き寄せ、アーロンはレイラを中に入れると、扉を閉めた。

「緊張してるのは俺も同じなんだ………酒でも飲んでおくか?」
「い、いえ………宴でも飲んでましたから………今日はもう………」
「そうか………じゃあ………」
「っ!」

 ベッドに向かわせて歩くアーロンに、レイラの緊張はまた高まる。

 ---上手く出来る自信も無い………アーロン様はご経験あるのかしら……

 急に、そんな事を思ってしまった。
 レイラより9歳も上の男だ。
 貴族の男は、成人すると商売女いわゆる娼婦を相手にし、覚えるのだと聞くからだ。

「座って待っててくれ」
「…………え?」
「レイラが緊張してるからな………甘い飲み物でも……」
「あ、あの!アーロン様………今……喉は乾いてません………から……」

 ベッド脇には水差しとグラスはあるが、喉が乾けばそれで充分だと思えるし、気を遣わせたくない。

「そうか………」
 
 アーロンはレイラの横に戻り、ベッドの脇に座ると、レイラの肩を抱き寄せ髪を弄る。

「アーロン様は………ね、閨のご経験あるのです……か?………あ、あの………私はご、ご存知の通り………」
「…………今、それ聞くか?あまり言いたくないなぁ………想像してくれ………」
「わ、私………上手く出来ませんから………い、嫌だったら仰って下さい!」

 すると、レイラが事もあろうに、大胆にアーロンが羽織るガウンの紐を解き、脱がそうと試みる。
 それはアーロンにも意外な事だった様で、レイラを止めた。

「レ、レイラ!な、何を………」
「な、何を………って………じゅ、準備を………」

 アーロンはレイラを抱くつもりで、ガウンの下は素肌だ。
 勿論、下も履いていなかったので、モロに出されている。
 レイラがしようとした準備とは、所謂アーロンのモノを、という事なのだろう。

「し、しなくていい!………い、いや……いずれは、とも思うが………そ、そんな事を何処で覚えた!閨教育で、女達はそんな事から教わるのか!」
「…………カ、カエアン様の愛人が、これから始めていたので………」

 元夫の名を出すと、嫉妬する現夫に聞かせたくなかったが、レイラの閨の知識は本の情報と、カエアンとティアナの情事だけで、2人の情事を見た時はレイラも本だけの閨を覆す程の衝撃だったのだ。
 1週間程、毎日同じ部屋で寝なければならず、寝れもしない声と、お互いに言い合う卑猥な言葉が、レイラの記憶にこびり付いている。
 だから、アーロンとの初夜もそれから始める事が一般的なのだ、とレイラは思っていたのだ。

「…………あの愚者共め……何をレイラに教えてやがる………」
「ち、違うのですか?」
「違わないが、違う!」
「…………意味分かりませんが……」

 閨の行為にルールは無い事を、アーロンは言いたいが、初っ端からしかも初夜で妻からされる行為だと、アーロンも思わなかったからだ。

「レイラ…………俺に、こんな事をしなくてもいい………い、今はな………」
「今は?…………で、でも………その……」
「っ!…………大丈夫だ!ここ迄して貰わなくても、機能するから!」

 レイラはそれをしないと、初夜が出来ないと思っている節をアーロンは察して、レイラを押し倒した。

「っ!」
「今夜は、俺に委ねていれば良い………初めてなんだから、悦びを知る身体に教えていく…………俺のを咥えなくても、手で扱かなくても、レイラに触れていれば、閨は出来る」
「…………お、教えて……下さい……」
「…………勿論だ……」

 押し倒された身体に、アーロンが覆い被さると、唇が重なり、ちゅっ、ちゅっ、とリップ音が惜しげも無く鳴り続けていく。
 それが気持ち良く、レイラもアーロンの首に腕を回し、キスを返していた。

「はぁっ………レイラ……可愛い……」
「…………アーロン様……お慕いしています……」
「…………俺の指を舐めててくれ………だ…………いずれ、俺のをこの口で、咥えてしてくれるんだろう?」
「は、はい………」

 レイラはアーロンの手を両手でしっかり持ち、ちゅぱっ、とアーロンの指がレイラの口内を暴き、一生懸命舐める顔を見ていたアーロンは高揚した顔を、レイラに見せていた。
 
「…………そのままだぞ、レイラ………」
「んっ………」

 レイラのナイトドレスに、アーロンは目線を落とすと、スルっと紐を解き、胸に顔を埋めたのだった。
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