何故、私は愛人と住まわねばならないのでしょうか【完結】

Lynx🐈‍⬛

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断罪

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 レイラは騒ぎの中で、ロヴァニエ子爵家族も見付けたが、今はカエアンの断罪が先だ。

「妻?………可笑しいではないか、アマルディア伯爵」
「な、何がですか」
「貴方の言うとは戸籍上の操り人形でしょう?実質上のは、彼女ではないのに」
「っ!」

 どういう事だ、と端々で聞こえる中で、カエアンの噂を知る者も居た。

「ほら、あの噂にあったアマルディア伯爵家の養女」
「あぁ!あの平民の」
「知る者は知っているな、アマルディア伯爵………貴方は、愛人に子供が出来て、それを隠す為にロヴァニエ子爵からの融資依頼で、娘を売る、という話に乗り、ロヴァニエ子爵家の次女、レイラと結婚を望んだ。結婚生活は正に地獄…………愛人に良いように使われ、虐げられたレイラは、結婚式の後の初夜も貴方と愛人の情事を、レイラに見せつける為に同じ空間に居たと聞く」
「っ!」
「な、なんて悪趣味!」
「ア、アーロン様!その話何処で!」
「本当なんだな?レイラ」
「ほ、本当ですが…………な、何を言わせるんですか!」

 アーロンが集めた証拠が初めから爆弾投下で、そこ迄打合せになかったからか、レイラも青褪めていった。

「その後もその行為は続かれたと思われ、後日妊娠を装わせる為に、レイラに体型を変えさせるアーティファクトを着けさせている………それが、コレだ!」
「アーロン様!それ捨ててくれたのでは!」
「捨ててはいない。証拠だからな」
「…………た、確かに……じゃ、なくて!」

 アーロンの言葉には驚くし、それを認めているレイラの言葉は信憑性もある。

「その後も、この男は愛人にうつつを抜かし、妻であるレイラに全ての仕事を任せ、事もあろうに、邸で働く者達の給与も、愛人と産まれる子の為に使っている。その子供は平民の産む子………そしてその子をレイラの子として、籍を入れさせる為だけに、レイラと結婚しています!」
「出生詐称じゃないか!平民に貴族の称号を与えるなんて!」
「何処まで卑劣なの!」
「名門、アマルディア伯爵家の名が泣く!」
「陛下、この事により、妻であったレイラ・アマルディア伯爵夫人は、アマルディア伯爵家の籍を抜き、カエアン・アマルディア伯爵との離縁を願い入れます!」
「……………うむ……レイラ・アマルディア……オーヴェンス公爵の言葉には嘘偽りは無いのだな?」
「…………はい、陛下………この場の皆様に誓って、偽りございません……私は夫、カエアンの愚行に度々、戒めて参りましたが、聞き入れてくれる事はございませんでした。貴族法では、平民は貴族にはなれません。例え、貴族の養子に迎えられても、貴族との子は作れても、その子は貴族になれず、平民のまま……それを、事もあろうに、愛人は産まれる子を貴族にしようとしたのです………白い結婚は、私を妻ではなく愛人の盾……離縁はせぬと、実家の資金難を持ち出しては、私を縛りつけていました。愛人の子を貴族にさせぬ為に、自分の籍をこれ以上傷付けない為に、私は此処でカエアンとは離縁したいのです!」
「追記ですが、陛下………此処にアマルディア前伯爵より、息子カエアンと養子ティアナへの絶縁状を受け取っています」

 レイラが話し終えた後、アーロンがアマルディア伯爵領へ出向いた際に、カエアンとの絶縁状迄貰ってきた様だ。

「う、嘘だ!と、父さんが俺を絶縁するなんて!ティアナも絶縁なんて嘘だ!…………な、なぁ………やり直そう………お、俺はお前が居れば上手くやれてたんだ………な、なぁ……商会も潰さなくて済んだんだよ、な?ティ、ティアナとは別れる!捨てる!家に戻って来てくれ!レイラ!」
「…………絶対に嫌です!愛人を捨てる?子供は如何するのです!子供は親を選べないんですよ!例え、それが愚か者で、領地を蔑ろにして、暴徒が起きて逃げてきても、それが親だったら…………愛情に飢えて、忘れられて売られた私は………それでも家族を捨てるなんて考えたくない!親を選べたのなら、迷わず優しくて暖かな方を親に選びます!貴方は父親なんですよ!もっと………もっと責任を持ちなさいよ!」
「レイラ………もう良い………君の家族も見ている………後でまたやるから……」

 レイラは興奮し、肩で息をし、アーロンにその肩を背中から支えられる迄、身体が震えていた。

「…………では、皆の意見を聞く迄もないな………国王の権限により、アマルディア伯爵家カエアンとレイラの離縁を認める………カエアン・アマルディアには、他にも確認したき事もある。沙汰はまた後日出すが、其方はアマルディア伯爵家からの絶縁状がある為、貴族爵位を剥奪とする」
「そ、そんなっ!…………た、頼む!取り消してくれ!あ、愛してるんだ!今気が付いた!レイラ!」
「クドい!」
「ひっ!」
「そやつを別室に連れて行け」

 レイラの苦悩の1つがこれで終わった。

「レイラ………良いか?」
「あ…………はい……」
「陛下、この序で申し訳ありません」
「申してみよ、オーヴェンス公爵」
「晴れてレイラ・ロヴァニエとなった彼女と婚約をしたいと思っています。皆の反対や懸念はあるでしょう………ですが、私とレイラはまだ清いまま…………彼女は、カエアンとの離縁が成立する迄は、私を受け入れない、と申しました………もう、障害は無いかと存じます………如何か、承認を」
「…………障害が無い、だと?あるでは無いか、オーヴェンス公爵…………のぉ?ロヴァニエ子爵………いつまで、其処に隠れておる!私が寛大であった時期は終わったのだ!」
「……………へ、陛下………におかれましては……」

 レイラは直ぐにアーロンとの婚約承認が出ると思っていた。
 確かに、ロヴァニエ子爵家の件は放置は出来ない。
 どの様に、断罪するのだろうか。
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