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エピローグ
しおりを挟むアニースとタイタスの婚約式を無事に終え、その夜の夜会。
タイタスの髪色に合わせたドレスを身に纏うアニースは、既にレングストンの王族らしい振る舞いが出来るようになっていた。
「アニース、綺麗だなぁ。」
「本当ですわ。ボルゾイの衣装も素敵でしたけど、レングストンの衣装もお似合いになられて。」
ラメイラも着なれないドレスも着こなせるようになってはいたが、少々ガサツさはまだ見え隠れしながら、ナターシャと雑談している。
この日はアニースが主役なので、2人はシンプルで目立たないドレスだ。
それでも、ナターシャはレングストンの若い女性の中では美女ではあるし、ラメイラもまたタイプが違う美しさのある女性な為、既婚者でなければ、男は放ってはおかないだろう。
アニースはタイタスと共に貴族達に挨拶をしている。
「私、タイタスを狙って、縁が無かったけどタイタスが幸せそうで良かったよ。」
「まぁ、ラメイラ………感傷に浸ってます?今あなたは幸せでしょう?」
「う~ん、何か片割れが遠くに行った感?」
「確かに、片割れっぽいでしたわね…………あ、だからアニース様はタイタス殿下を選んだのかも。」
「え?何でよ?」
「だって、ラメイラはアニース様と仲良いではないですか。だからタイタス殿下を操作出来るんですわ。」
「…………操作………プッ……なるほど………ナターシャはリュカを操作してるもんな。」
扇で顔を覆い、笑いを堪えているラメイラ。
「えぇ、夫は操作が必要ですわ。でなければは、ラメイラもわたくしも今頃、ずっと抱き潰されて起きれないですわよ?」
ナターシャはまだ媚薬の事を根に持っているようだ。
「でも阻止したろ?」
「それはそうですが、またいつその気になるか分かりませんわよ?」
「気を付けなきゃ…………あ、タイタス達踊るみたいだぞ?」
「わたくし、アニース様が踊る姿見た事ないですわ、お上手ですの?」
「私よりは上手いな。」
「…………じゃ、お上手ですね………ふふふ。」
大広間の中央にタイタスのエスコートされるアニースが来ると、曲が流れる。
滑らかな動きと、息の合ったステップで、来賓を魅了していく2人。
「………まぁ、ラメイラとタイタス殿下の踊りと雲泥の差ですわ。」
「………悪かったな………どうせ、下手だよ。」
「でも、トーマス殿下と踊るラメイラはお上手ですわよ?息の合うお相手だと、多少のミスでもカバーし合えますもの。」
「そういうもの?」
「わたくし、リュカと踊る時もよくミスしますわよ?」
「え?そう見えないけど?」
「じゃあ、誤魔化しは上手くいってるようですわ。」
「ナターシャ、踊ろうか。」
「…………はい、リュカ。」
妃同士の雑談を邪魔したリュカリオンが、ナターシャに声を掛けて来た。
ナターシャも踊りたかったのだろう、扇をたたみ、リュカリオンの手を取ると、アニースとタイタスが踊りが終わったので、踊りに入る中に入って行った。
「ほら、ラメイラ俺達も踊るぞ。」
「え?私達も?」
「踊ったら捌けれるしな。兄上もそのつもりだろうし、タイタスもアニース連れて消えてった。」
「…………本当にこの兄弟は考えてる事一緒だな。」
「ん?何か言ったか?」
「いいや?何も。」
ナターシャも、ラメイラも既にアニースがタイタスと消えたのを確認すると、曲が始まり踊り始めた。
まだ夜は長い。
この後、消えたリュカリオン達。
いつまでも、仲睦まじい兄弟を夫を持つ妃の物語はまだまだこれからである。
End
※話の時期的都合上、【誰が叔父様の側室なんかになるもんか!】より先に【放浪の花嫁】を終了します。
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