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ロレイラが騙した方法
しおりを挟む「何処に居た?」
アニースが離れに戻るとタイタスが探していたのか、第一声がそれだった。
庭に居た、とも言えず、アニースは誤魔化す。
「執事のセルゲイと門兵達に挨拶してたんだ。以前も来た事あったから。」
嘘は言っていない。
庭を散策した後に、急ぎ挨拶しには行っていたのだ。
庭には行っていないと思ってもわないと、というアニースなりの気遣いだった。
(………盗み聞きした、て知られないようにした方が、タイタスは話すだろうし。)
「そうだ、セシルが明日の午後に出発するから、て。」
「午後?午前じゃなく?」
「うん、セシルもゆっくりしたいんじゃない?」
「…………へぇ~……。」
(…………あ、期待持たせたかな……。)
「アニース、夕飯前に少し話がしたいんだが、いいか?」
「う、うん。何?」
タイタスは侍女達に合図を送り、人払いをする。
気配が無くなると、タイタスは口を開いた。
「リュカ兄上がナターシャと結婚を決め、結婚する迄、俺が女に騙されてた、て話をしたの、覚えているか?」
「うん、確かタイタスはナターシャが好きだった頃の話だろ?」
タイタスにリビングのソファに促されアニースは座ると、タイタスはその横に座った。
「その女、ロレイラという名で、公爵令嬢だったんだ………子供の頃、リュカ兄上の許婚だった。俺はそれを知らなかったんだ……だから、ロレイラから話掛けられた時も、公爵令嬢だから無下にはせず、何かと声を掛けられては話をしていただけの関係だった。」
「………うん。」
「だが、その内、話し方や立ち居振る舞いがナターシャに似ている事に気が付くと、気になり始めてさ、そんな時にリュカ兄上とナターシャの婚約発表が出て、自暴自棄になってしまった時、ロレイラの一言にふらついたんだ。」
「何て言われた?」
「………『タイタス殿下の魅力に気が付かないなんて、ナターシャ様はおかしいですわ、わたくしなら冷酷な皇太子殿下等選びませんのに……』とか、『今頃、タイタス殿下の魅力に気付かせられても遅いですわね』とか『嫉妬させれば宜しいのよ』とか……まぁ、そんな事をよく言ってたな。」
思いが無い相手から言われても何とも思わないような言葉でも、ナターシャの面影がある女を気にし始めた頃に、さも自分はこの女に好かれてると思わせぶるような事を言われたら、グラつく男も居るだろう。
現に、タイタスはグラついた。
「それで?」
「………『慰めてあげる』と言われ………アニース、幻滅するなよ?」
「え?う、うん………聞かないと分からないが………。」
「幻滅しない、て言ってくれ!」
タイタスはアニースの両肩を揺する。
「わ、分かった!幻滅しないから!」
「…………人気の無い王族居住地の使われてない邸で、俺のを咥えたんだ………。嫌だろ?普通は………。」
「…………わ、私に聞くな!………私は好きな人のだった………ら…………は、話の続き!!」
「あ、あぁ………暫くそれだけだったんだが、その内『わたくしの身体、触っていいのですよ?』『いずれ、ナターシャ様を抱く日が来るのですから、練習ですわ』とか………それで、ロレイラの言う通りに開発された………というか…………。」
「…………そ、それ……てその女の性欲の捌け口にされてただけじゃ…………。」
「だから言いたくなかったんだ!ロレイラがラメイラを挑発して俺が怪我をラメイラに負わせてから、ロレイラと会わなくなってくと、どんどん俺がした事が馬鹿な事で、本当に後悔し続けて…………。」
「…………プッ………ははははははははは!!」
「ア、アニース………わ、笑うな!何も爆笑しなくても!!」
アニースはお腹を抱えて笑う。
(さっきのセシルのヨミがコレかぁ………気の毒過ぎて………タイタスが可愛い……。)
「アニース!もう笑うの止めろ!」
「………ははは……タイタス、可愛い……はははははは!!」
「か、可愛い?」
「………あぁ、笑い過ぎて苦しい………プッ!…………あ………こめん……。」
タイタスは笑い過ぎるアニースに怒っていた。
「後で見てろよ………アニース……今夜は抱くからな!」
「…………いいよ、タイタスがしたいように抱いて?媚薬飲んだ時の乱暴的なのじゃなく、シラフのタイタスに抱かれたい。」
アニースはタイタスに抱き着くと、耳を甘噛みする。
「私、レングストンの閨のしきたり、知らないから、タイタスが気に入らなかったら言って?」
「…………何なら、今からでも………。」
「やだ、お腹空いてるから。」
「………ちっ………。」
タイタスからアニースは離れると、
「タイタス可愛い。」
「!!」
と、微笑む年上の女の余裕を見せたアニースだった。
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