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ジャミーラ失脚
しおりを挟む翌日、アラムに謁見を求めたタイタス。
セシルと共に、アニースも控えるようにアラムが待つ部屋に入る。
「話とは何だ?タイタス皇子。」
「実は、ジャミーラ姫の事で気になる事がありまして、数名証人を入室させて宜しいですか、アラム王。」
「ジャミーラ?……またアニースに何かやったのか?」
ウンザリするような顔をするアラムは、今迄妹達の我儘に付き合わされて来た1人。
「アニースに対してではなく、ジャミーラ姫の元夫の不審死について。」
「元夫?………突然死だと聞いたが?………その証人とジャミーラを呼べ。」
証人は直ぐに入って来るが、ジャミーラは呼び出しになかなか応じないようで、遅れている。
その間、タイタスがセシルに指示し、セシルがジャミーラがしてきた事を説明する。
証人も殊の外集まり、ジャミーラに甘かったジャミーラの母の権力が恐ろしかった為、揉み消した事も暴露された。
レングストンが間に入った事により、ジャミーラにされた事、命令された事をアラムは聞かされる。
「な…………何て事を………。」
ジャミーラはサマーン元王の命令で、富豪の男に下賜された。
富豪はジャミーラが手に入った事を喜び、ジャミーラの我儘を暫くの間は喜んで与えた。
服、装飾品、家具、部屋、別荘等、気に入らない侍従は、直ぐに解雇し、富豪の仕事の部下さえも切っていったという。
しかし、富豪の腹心の部下との不貞を始めたジャミーラは、その富豪から離縁を言い渡された、との事。
戒められる事を嫌がったジャミーラは、富豪の殺害を思い付き、心臓が弱かった父サマーンの薬を盗み、大量摂取をさせた。
それを知った不倫相手の男は、ジャミーラを捨て行方不明であったが、セシルの部下がその男を昨日見つけた為、証人として連れて来ていた。
「ジャミーラはまだか!無理矢理でも連れて来い!」
貴族が侍従に罰を与える事は、ボルゾイでは日常的にあったのだが、鞭打ちや、食事抜き、数日監禁等は了承してはいたが、殺害は重罪だった。
それをアニースは黙って聞いている。
(………恐らく、以前からそういう事していただろうな………私がボルゾイを捨てるきっかけが、私を殺害しようとしていたのだし……。)
だが、それを今言うのは違うだろう。
罪を重ねただけでも、殺害をしたらそれでジャミーラはもう陽の目を見れないのは明らか。
それを未遂の事を話す迄もなかった。
「何よ!離しなさいよ!!誰だと思ってんの!アラム!!いくら兄だからって、許されないわよ!!」
ジャミーラが無理矢理連れて来られた。
見目だけは着飾るジャミーラが、連れて来られている間、暴れたのか、髪も服もボロボロだった。
「ジャミーラ、未亡人になったから寂しかろうと思って自由にさせて、レングストンに行くのも目を瞑ったが、もうそれは今日から無いと思え!」
「何言って…………!!な、何で…………こいつらが…………。」
「ジャミーラ、この者達を知っているようだな?」
「し、知らない!!知らないわよ!離せ!!」
「その顔は知っているな………話してもらおうか、ジャミーラ。父上の薬を盗み、元夫を殺したな?」
「!!」
「………………答えろ!」
「…………な、何よ!お父様があんな男に私を嫁がせるから悪いんじゃない!!私を自由にさせる、て言うから嫁いでやって、喜ばせてやったのに、手の平返したのはあのジジイじゃない!!若い男相手したぐらいで何で追い出されなきゃならないのよ!びた一文持って行くのも許さなかったんだから!!私をかわいそうだと思わないの!!」
「思えんな。」
「思えませんね。」
「誰が思うんだ?」
アラム、セシル、タイタスが同意見で発言が重なる。
「投獄しろ。」
バタン!
「アラム!!何故ジャミーラをいきなり連れてったの!」
アラムとジャミーラの母が乗り込んで来る。
「お母様!!助けてっ!!」
「ジャミーラ!!」
「母上も連れて行け!!邪魔だ!!」
「アラム!!」
「離せっ!!」
部屋を追い出されたジャミーラとジャミーラの母。
アラムも怒りが込み上げているのか、肩で息をする。
「タイタス皇子、セシル殿………ジャミーラとヘルンの事では大変迷惑を掛けた……後はこちらでやる………この詫びはいずれ……。」
「…………ええ、お任せしますよ。」
「アラム王、証人と我々が調べた資料もお任せします。彼らは悪くない。それは考慮してやって下さい。」
「…………勿論だ。」
タイタスとセシル、アニースは、部屋を出て行った。
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