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ジャミーラを探る
しおりを挟むボルテスの街に来ていた、セシルと部下達。
セシル達は、ジャミーラの事を調べ回っていた。
ジャミーラの元夫の死は1年程前。
情報も事件性はない、とはボルテス内で調べた報告ではあったのだが、事件性が無いなら無いでそれで良かった。
「ここだな?ジャミーラ姫が遺産で譲り受けた邸は。」
「はい。かなり裕福な富豪だったらしく、黒曜石の発掘で財を成し、その金でジャミーラ姫は豪遊していたそうです。」
「降下した経緯は?」
「サターン王がレングストンに嫁ぐと豪語していたのを防ぐ為に、ジャミーラ姫の散財する性格を理解して、ボルゾイでも大富豪と言われている男に下賜した、と。ジャミーラ姫の母は大反対したそうですが、ヘルン姫は大層喜んだとか。ライバルが居なくなりますからね。」
「…………毒殺とかではないのか?」
「はい、その線があるかと思い、先に調べに入っている者が調べています。」
邸を眺めていても始まらず、部下に引き続き聴き取りを始めさせたセシルは、王宮に戻った。
そして、王宮で調べさせている部下を呼び出したセシル。
「サマーン王の病状は分かったか?」
「はい、心臓の病気でボルテスの医師の見立てでは、あと1ヶ月は持たないかと。」
「レングストンからも医師は連れて来ているだろ?」
「はい、アニース様がタイタス殿下と今見舞いに行かれてまして、部下を紛れ込ました医師も付き添いに。これが王宮内の侍女を使って、くすねて来た薬です。」
「………成分迄調べる時間はないな……どういう効果がある薬だと言っていた?」
「呼吸器の活性化と、血管の血流の流れを良くする薬だと。何でも心臓周りに血が流れにくくなっているとか。」
手術という手段があるなら助かるかもしれない病気になったサマーン王。
「手術はしないのか?ボルゾイは。」
「それが、心臓の治療に詳しい者が居ないらしく、絶対に安静としか言えないらしく。」
「………レングストンでも、心臓の手術は難しいらしいからな………薬で治る事でも無いらしいし…………ん?ちょっと待て………その薬、手軽に手に入る薬か?」
「…………どうですかね?レングストンではかなり高級な薬かと思いますけど。」
「……………健康的な人間が多量摂取したら死に至るぞ?簡単に………。」
「………ジャミーラ姫の元夫の死の原因は突然死………でしたね………。」
「元気だったんだろ?」
「はい、調べでは。」
「…………死因が早く分かれば……。」
セシルが指示した通り、部下達は動き回る。
セシル達がボルゾイに入る数カ月も前から、ウィンストン公爵家の者達が探りに探ってきていた。
まだ確信的な証拠は出て来ないまま、時間だけ過ぎている。
「セシル、ここに居たか。」
「………タイタス殿下………アニース様……サマーン王のご様子は?」
「…………苦しそうだった……お父様……何故あんなに弱って……。」
「セシルが医者を同行させていたから、診てもらったが、ボルゾイの医者とレングストンの医者の見解は同じだったよ。心臓近くの血液の流れが悪くなってる、と………病になってからよく生きていられる、て………。」
「…………うっ………お父様はお母様に会いにやっと行ける………て思う事にした……。」
「………アニース………。」
目を充血させ、大粒の涙を流すアニースに寄り添うように、タイタスは肩を抱く。
重い空気が流れる客間に突如バタつく足音が客間の前に止まった。
コンコン。
『セシル様、おみえですか?』
「入れ。私はここだ。」
カチャ。
「失礼します。セシル様!ジャミーラ姫の元夫の死因分かりました!」
「分かったか!」
「はい………サマーン王が心臓の病で倒れた時期、多種の薬を試したそうです。ですが全部使い切ってないないにも関わらす、大量の薬が紛失したそうです。」
「!!薬が無くなった!?」
セシルのヨミが正しいのなら盗むか盗ませたか分からないが、それをしたのはジャミーラかもしれない。
「はい、その時期が不審でして、大量に紛失した薬が分かった頃、ジャミーラ姫の元夫が突然死、その後サマーン王の薬が紛失する事が無くなったそうです。勿論、薬の管理方法を変えた為、盗難になる事は無かったそうですが。」
「それを証明出来る者は?」
「保護をしております。」
「…………よし……あとジャミーラ姫の侍従の誰かをこっちに引き込め!金と自由を与え、仕返しを恐れるなら、レングストンで家族諸共保護する、と働き掛けろ!」
「はっ!」
部下達は散り散りになる。
「タイタス殿下、アニース様、ジャミーラ姫の事はお任せを。」
「あぁ、頼んだ!」
「それ以上の証拠が出なければでっち上げますよ、ジャミーラ姫は充分過ぎる程、今迄贅沢三昧してましたからね、誰のおかげでその生活が出来たのかを分からせませんと。」
セシルは普段から感情を表す事はしないが、この時ばかりはアニースもタイタスもセシルが怒っているのを知るのだった。
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