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義姉がやる気を出した?
しおりを挟むアニースはアリシアに心配ばかり掛けてしてしまっている。
アリシアの帰郷が近付くのに、リュカリオンの執務室で号泣した目を腫らしたまま、アリシアの目の前で夕飯を食べていた。
「アニースお姉様!!わたくし、アニースお姉様の味方ですからね!あの女達追い出しましょう!!」
「…………アリシア……あなたはそんな事しなくても、ウィンストン公爵達が頑張ってくれているから。」
「だって、そんな目を腫らして!泣かされたんですよね?あの女達に!」
メインの肉を口に含んだアニースは咀嚼後、訂正をアリシアにする。
「………あぁ、これは溜まりに溜まった膿を出したようなものだ………ずっと、泣けなかったから………ジャミーラとヘルンが父の事を心配していなかった事に腹を立ててしまって、平手打ちしてきたよ。それで箍が外れたんだ。」
「…………幾分かスッキリした顔されていたのはそれでですか。」
「うむ。」
「わたくし………アードラに帰っても、アニースお姉様の事が心配し過ぎて、直ぐにレングストンに戻ってきてしまいそうです……。」
「アリシアにはアリシアのするべき事があるだろう?」
「……………それでも、わたくしよりもアニースお姉様の大変さを思うと………。」
アリシアは、気になる事があるとなかなか食が進まないようだ。
この日もまた、パンを千切っては口に入れる事もなく遊んでいるようだった。
「アリシア、パンで遊ぶんじゃない。話は終わり!食べよう。」
「………はい。」
アニースは、アリシアの心遣いに感謝しながら、アリシアとの時間を大切にした。
アードラからの迎えが来たら帰国してしまう。
そして、アリシアも帰国前日に目を腫らしながら、別れの挨拶をアニースにしに、皇女宮のアニースの部屋に来る。
「アニースお姉様………わたくし、アニースお姉様と知り合えて楽しかったです。絶対に絶対に、あんな義姉達に負けないで下さいね!アードラから祈ってますから!」
「アリシア………私もあなたの事、私の義妹達よりあなたを本当の妹のように思っている。何か餞別になる物を、と考えたが私には何も無い。だからすまないな。」
だが、帰国直前アニースはアリシアに自身の愛用のカチューシャを渡す。
「まじないをしておいた。カイルと幸せになれるように、と祈ってある。頑張れ、アリシア。」
「…………はい!ありがとうございます!アニースお姉様!お手紙書きますね!」
アニースは皇女宮でアリシアを見送った。
「頑張れ………私も頑張るから。」
リュカリオンの執務室で号泣したアニースに、1週間程経った頃、アリシアも居ない皇女宮で寂しく過ごしていた。
だが、意外と言うしかなかった連絡が入る。
客間に居るジャミーラとヘルンが変貌した、というのだ。
「何で!」
「それが、私や父が出した問題の正解率を上げまして、大人しくなったのです。急に物覚えが良くなりまして、それでまた『こちらの要望が出来たのだから、私達の要望を受け入れろ』と。」
「それはどんな要望だ?」
セシルが事前にアニースに話す事に、渋るような顔をする。
「アニース様が居られる居住は何処だ、と言われたのです。以前、ヘルン姫が王族居住地を歩き、皇太子邸を見つけられた時、ラメイラ妃とアリシア様とアニース様はおみえだった。それで妃候補となる女性はひとまとめにされているのでは、と。ボルゾイでは後宮がありますし、そう考えてもおかしくないかと。」
「確かに、私が初めて皇女宮に来た時はそう思った。寵を競わせる為の邸かな、と。直ぐに違っているのは分かったが。」
「皇帝陛下や我が父、リュカ殿下で決めた事を、ジャミーラ姫とヘルン姫が出来たので、約束は守らなければ、となりまして、アニース様の意見も聞いてから判断をしようという話になりました。」
「……………でも、あの2人はレングストンにとってはよくはならないぞ?」
「分かってます。必ず阻止します。なので、アニース様はあの2人には正々堂々と勝って頂かないと………。」
悔しそうに語るセシルは、アニースに掛かっている、と言わんばかり。
ウィンストン公爵の発案だが、それに同意したのは皇帝やリュカリオン。
助けて貰わなければならないだろうが、アニース次第、という事なのだ。
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