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結婚式
しおりを挟むラメイラとトーマスの結婚式前日。
アニースも参列者として招待されたのだが、用意された服はボルゾイの盛装ではなかった。
「ボルゾイの盛装は用意出来なかったのだな。」
「…………いえ、そうではないのです。」
侍女達は顔を見合わせ話していいか躊躇しているようだった。
「いいぞ、話したくないのなら……レングストンの盛装でも構わない。しっくりこないが、これも慣れだ。」
「いえ、隠すと心構えが出来ないでしょうから、お話致します。トーマス殿下の結婚式にボルゾイから使者様が来られるそうなのです。本来なら既に到着予定でしたが、移動が難行されたようで、結婚式に間に合うかは分かりませんが、念の為にボルゾイの盛装とレングストンの盛装をご用意するように、と……………どなたが使者として来られるか分かりませんし、アニース様をご存知の方であれば、ボルゾイの方を刺激するのではないか、と。宰相様がアニース様にどちらかを選べるように、と仰ったのです。」
「それなら、国からの使者を刺激しない方が良いだろうな。私がレングストンに居る事は知らせない方がいい。無理矢理連れ戻されるのがオチだ。」
祝賀への参加であれば使者は王族になる事が多い。
顔を合わせてしまえば、アニースだと分かってしまう。
「皇太子殿下の結婚式の時は誰が使者だったんだ?」
「それが………ボルゾイからは来られておりません。皇太子殿下の結婚式は来られず、トーマス殿下の結婚式に来られたのが不思議ではありますが。」
「…………皇太子殿下の結婚式は来なかった?」
「そのように伺ってます。建国500年記念の式典での事で、レングストンの貴族達から冷ややかな目と好色な目が入り交じっておりましたし。式典で私、給仕の仕事をしておりましたから、とても楽しい夜会ではなくて……。」
「ジャミーラとヘルンは何をしたんだ?」
「皇子殿下方は、ボルゾイの使者が陛下へ挨拶をしている時に、退室されたのです。話をしていた内容は分かりませんが、その後姫様達は荒れてしまわれてたのを見ました。」
「…………衣装が奇抜だった、とか?」
「あ、はい!アニース様が着られる物のような生地ではなく、全身が透けているかのような生地で……レングストンの女性貴族の方達はボルゾイの方達から離れるように……。」
「…………皇子殿下方の仰る通りだったのだな……。」
アニースは頭を抱えた。
ジャミーラやヘルンの侍女達は彼女達を止めなかったのだろうか。
レングストンの来賓として迎え入れられたのなら、そのレングストンにいい印象を与えなければならないのに、彼女達は初めての外交で、失礼があってはならないのに……。
「他の来賓も来られる。私はレングストンの盛装を着よう。使者が誰かは分からないが、同じに見られたくない。」
「分かりました。アニース様がお似合いになるよう、腕によりを掛けます!」
そして、トーマスとラメイラの結婚式。
アリシアと一緒に行く事にしたアニースは、アードラの紋章を胸に付け着飾ったアリシアを少し羨ましく思った。
「アリシアはアードラ代表として参加するのだな。」
「はい、アードラからは使者が来ないそうなので。お父様が病に伏せっていますし、宰相である叔父様が来る可能性がありましたが、多忙とお父様の事を理由に祝辞のお品だけ贈られたそうです。」
この多忙、実はウィンストン公爵の指示で、アマレスを妨害をさせていた。
国王の代理として現在、アマレスは国を動かしている。
アードラからレングストンに来られないように、暴徒を民衆に起こさせ鎮圧させていたのだ。
アマレスの性癖を民衆に噂を流し、何人もの『美しい物』を侍らせ、政をしないアマレスが、諸外国を戦に巻き込み、財政もひっ迫、物価高騰を起こさせた。
国民は早く国王の回復と、アマレスの更迭を願って暴徒となり、レングストンに来れなくなったのだ。
「そうか、今日は祝いだ。アードラの事は心配だろうが、今日はラメイラを祝ってやろう。元気で明るいアリシアを見せてあげな。」
「はい。勿論!ラメイラお姉様、綺麗なんだろうなぁ。」
「ラメイラは美人だしな。私も見たい。」
馬車は大聖堂に到着し、大勢の貴族が参列している。
レングストンの公爵家からはじまり、貴族達は警備兵の案内で並んでいく。
来賓の各国の使者達らしい者も居たが、アニースが知るボルゾイの者はまだ居ないようだった。
アリシアはその中に案内され、アニースはラメイラの友人という立場でアリシアの後ろに案内された。
(………ボルゾイの使者ではないからな、仕方ない。)
ざわざわとした大聖堂ではあったが、より一層ザワ付く1行が大聖堂に入って来た。
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