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お勉強の実践に向けて

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 更に数日後、リュカが壊れた。
 壊れたと言っても、ナターシャに会えず、癇癪を起こしただけ。

「休みくれ!!せめて1日!!」
「駄目です。」
「半日!!」
「駄目です。」
「6時間でいい!!」
「5分。」
「セシル!!」

 仕事をしながら言い合う声が響く執務室。

「私も休んでないですが?」
「分かった!明日徹夜で処理するから、半日くれ!」
「……………。」
「癒しが欲しい………捗らない………セシルの鬼…………悪魔…………。」

 リュカは机に伏せる。

「私は鬼でも悪魔でもないのですが?」
「お前には癒しが無いのか?」
「ありますよ。」
「何だ?癒し。」
「仕事です。」
「…………。」

 はい、リュカの負け。

「でも、まぁ………半日程ならなんとか………。」
「!!」

 ガタッ!

「じゃ、今から半日な!」

 バサバサバサバサッ…………。

「ちょっと!殿下!処理した書類と未処理がぐちゃぐちゃ!!」

 リュカが立った衝撃で、書類をばら撒き、猛ダッシュで執務室を出て行った。

「徹夜してもらうか………。」

 皇子宮に戻って来たリュカは、ナターシャを探す。
 居そうなサロンには居らず、部屋にも居なかった。
 弟に聞こうと探していると、リビングでナターシャとコリン、タイタスで談話をしていた。

「ナターシャ。」
「リュカ殿下?………お仕事中では?」
「半日休みにしたんだ。」
「まぁ、少しはお身体休めますね。」
「兄上、婚約式前に忙しい、て聞いたけど?」

 タイタスが嫌味気味に話す。

「寝る間もないな………。」
「では、お部屋でお休み下さい。」
「あぁ、休ませてもらうよ、ナターシャと一緒に。」
「え?…………え~!!タイタス殿下、コリン殿下、失礼します!!………リュカ殿下!引っ張らないで下さいっ!!」

 リュカがナターシャの腕を引っ張り、連れ去られてしまう。
 リュカの部屋は4階の建物の半分を占めていた。
 残りの部屋はトーマス、3階はタイタスとコリンの部屋だった。
 リュカの部屋は、離宮で見たような部屋に似た調度品。
 リュカらしい華やかさは全くない。

「リュカ殿下?お休みであれば、少し横になられては?」
「うん、ナターシャと一緒なら横になる。」
「え!?」

 リュカはナターシャをベッドに押し倒す。

「やっと、ナターシャに触れられる………。」
「……………。」
(………実践……しなければ………。)
 
 リュカがナターシャにキスを迫ろうとしたその時。

「殿下。」
「…………ん?」
「わたくし、殿下を癒やして差し上げたいのですが………。」
「うん、だからナターシャを抱こうと……。」
「ソレではなくて………あの………。」
「何?」
「……………その…………わたくしの………。」
「ん?」
「口で………で、殿下の……………を………治め………させて下さい………ませ……っ!」

 じどろもどろ過ぎて肝心な事が聞こえなかったリュカ。

「俺の………何?」
「で、殿下の…………閨で必要なモノです!」

 真っ赤になったナターシャだったが、リュカは青ざめた。

「ナ、ナターシャもそうしたいのか!」

 リュカはナターシャから離れた。

「殿下?」
「……………そういうのはいい………その行為は好まない。」
「え………?」
「…………ナターシャがそういう事をしようとは思わなかった………愛しているが、嫌悪さえ覚える………。」
「!!…………も、申し訳……ありません……先日、大変だとお聞きして、閨の作法を調べに図書館に行った際、トーマス殿下がおすすめした本に書いてあったのです………。わたくし…………殿下を癒やして差し上げたくて………。」
「え?トーマス?………というか、あの指南書を見たの?ナターシャ!」
「はい。少しでも殿下のお役に立ちたくて………。」
「ナターシャ………。」

 涙目になるナターシャが何とも健気で愛らしいのか、とリュカは思い抱き締めた。

「すまない、ナターシャはあの女達とは違うのに…………。」
「あの女達………?」
「子供の頃の話さ。ナターシャは気にしなくていいよ、そんな事よりトーマスめ………。」
「わたくしがトーマス殿下にご相談したのが悪いのです!」
「ナターシャの謙虚さは美徳だけど、トーマスに相談する前に俺が聞きたかったな。」
「リュカ殿下はお忙しいのに、聞けません。」
「あ…………そうだよね……。」

 リュカは申し訳ない、という顔をし、ベッドに座るナターシャの手を握る。
 恥ずかしかっただろうに、リュカの為に調べてくれていた事にリュカは嬉しかった。

(………ナターシャはあの私利私欲の女達とは違うのに……それにこの子と結婚するのに、嫌がる俺もどうかしてるな……アレも愛情表現なのに……。)
「ナターシャ……。」
「はい。」
「正直、俺はあの行為が好きじゃないんだ……でも、ナターシャが俺を思ってくれての事だったら、少ししてもらうかな……無理なら止めてもいいし。」

 リュカはナターシャの手から、自分の手を離し、ナターシャの背中に回す。
 少し照れながら、リュカはナターシャの耳元で囁いた。

「………今更だけど、お願いしていい?」
「………はい。」

 返事を聞くと、リュカは上着を脱ぎ、履いているズボンのボタンを外す。
 ナターシャの目の前で脱ぐのが照れくさく、興奮していた為か、硬くなって行くのがリュカは分かった。
 
「あ、あんまり直視されると恥ずかしいね。」

 緊張をしているのも分かるリュカは、ズボンと下着を足元迄降ろすと、先が天井に向かいそそり立っている。
 今度はナターシャが直視出来ず、顔を赤らめ目を逸らす。

「………止める?」
「い、いえ…………。」
「見れないなら、目を瞑ってくれていいよ?」
(…………それなら、あの女達の様な顔にはならない筈………。)
「………あ、それなら……。」

 ナターシャは目を瞑って、リュカの立つ方に顔を向けた。

「口開けて、ナターシャ。」
「…………。」
「……………か、可愛い……。」

 キスをするように、恥ずかしそうに口を開くナターシャ。
 リュカはそのナターシャの口に、自分のモノを押し当てる。
 尖端は軽く濡れ、ナターシャの口を塗らした。

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