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婚約発表①
しおりを挟むトーマスと宰相が待つ皇子宮の入り口に、ナターシャとリュカの乗る馬車と騎乗したセシルとセリナ、リュカの愛馬フェデラーが着く。
「何だ?トーマス、何をしてるんだ?」
「兄上、心配してたんですよ、ナターシャが湖に落ちた、とも手紙にあったし、体調大丈夫ですか?」
「あぁ、直ぐに風呂入れたからな。宰相がここに居るという事は、セシルの話を聞いた、て事だな?」
トーマスとウィンストン公爵が一緒に居るとは思わなかったが、リュカは驚くような素振りはない。
リュカのエスコートで、ナターシャも馬車から降りた。
「おはようございます、皇太子殿下、ナターシャ。」
「おはよう。」
「お父様、トーマス殿下、おはようございます。」
馬車から降りたナターシャは、父のウィンストン公爵とトーマスに頭を下げた。
「皇太子殿下、陛下と皇妃様がお待ちしております。ナターシャとお会いになって下さい。」
「分かった、後で伺う、と伝えてくれ。」
ウィンストン公爵は、その一言だけ伝えて王城に戻ってしまった。
「ナターシャ、いいんだね?」
「はい。」
「トーマス、すまない。言いたい話があるだろうとは思うが、父上達の後でいいか?」
「いや、宰相から聞きたい事が聞けたし急がない。兄上が話したい時にタイタスとコリンを交えて聞かせてくれ………で?俺達とナターシャの勉強会はもうナシでいいんだよな?」
トーマスはニヤニヤとリュカに問う。
「ナシ!!ナターシャを他の男と一緒にさせるか!」
そう言うと、リュカはナターシャの腰を抱き寄せる。
「殿下っ!恥ずかしいですから!」
「………慣れさせなきゃな……。」
「………待ってて下さい……。」
恥ずかしそうに、顔を覆うナターシャ。
「ごちそうさま~。」
それを見たトーマスは揶揄うように言うと、皇子宮に入って行った。
「俺達はこのまま王城に行こうか。」
「………緊張します……。」
「今から行きますか?では先に行ってきますので。」
フェデラーを厩舎に戻してリュカの元に戻って来たセシル。
「2人はゆっくり来て下さい。」
「?何故だ?」
「どうせ、ナターシャが恥ずかしい、とか言って、抱き寄せて歩きたい殿下に怒りながら来るなら、ゆっくりになるんじゃないですか?」
「……………お前、性格悪い……。」
「ありがとうございます。何年侍従してると思ってるんです?」
リュカが言い返しそうだったので、早足で王城に向かうセシル。
「さ、ナターシャ。」
「はい。」
リュカはナターシャへ手を差し伸べ、ナターシャもその手を取ると、リュカと共に歩きだしたのであった。
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