50 / 100
皇子宮は大騒ぎ
しおりを挟むナターシャとリュカが湖でずぶ濡れになったその頃。
ダイニングに来ないナターシャとリュカを心配をしている皇子達と侍女や兵士達。
大騒ぎになり始めた頃、セシルがやってきた。
「大騒ぎされて如何されました?」
「セシル!!兄上が何処に居るか知らないか?」
トーマスがセシルに詰め寄る。
セシルはやはり、という顔をする。
「何か知ってるな?セシル。」
「はい、その事で皇子宮に来ましたから、ご安心下さい。騒ぎになっては王城の陛下方の耳に入ってしまい、終始が大変ですから。」
「タイタス、兵士達に探すのを止めろ、と言ってきてくれ。」
「分かった。」
「あ、私が言ってきます!」
ライアがタイタスの代わりに動く。
兄弟の3人はセシルの話を聞いておいた方がいいのでは、との判断だ。
「では、ライア頼む。」
「はい!」
「それで?セシル、何を知ってる?」
「殿下は妹と離宮に行かれましたよ。戻りが遅い様なので、夜道が危険だと判断し、離宮にそのままお泊りになるかもしれません。」
「離宮………だと?」
「えぇ、代々の皇太子が継承する離宮が王宮の西の外れにありまして、殿下が妹を連れて行きました。離宮の存在は、皇太子しか知らないので、トーマス殿下、タイタス殿下、コリン殿下はご存知無くて当然の事なのです。」
3人は絶句した。
「何故離宮に?」
「リュカ殿下は1人になりたい時に、離宮に行き休まれます。皇太子としての重圧から逃れる時に……子供の頃からの逃げ場所です。私はよく共をしてましたから。そこを妹に見せたい、と常々仰ってました。」
「帰って来るんだよな?」
「殿下が職務放棄する訳ないじゃないですか。」
ドタドタ……。
廊下から慌てるような足音が聞こえてくる。
「失礼致します!!只今、リュカ殿下の使いの者が、セシル様をお呼びです。」
「リュカ殿下から?ここに通してくれ、宜しいですか?トーマス殿下。」
「あぁ、兄上の事だからな。」
暫くすると、ユランの従者がリュカの書いた手紙を持って来た。
「失礼致します、リュカ殿下よりセシル軍師へ、と。」
「確認する…………。」
セシルはトーマス、タイタス、コリンにも見せる様に見る。
「は?ナターシャが湖に落ちて、服が濡れたから帰れなくなった?」
「しかも、泊まる……だと?」
タイタスとトーマスは不服そうだ。
「セリナは何処に?」
「私です、セシル様。」
セシルは冷静でいられる。
それはリュカに離宮に泊まらせようと避妊具迄渡したぐらいたから………。
しかし、帰ろうとして湖に落ちるとは思わなかったが。
「ナターシャの衣類を数着分持ってきてくれないか、私が今から届けに行くので。」
「私達もご一緒します。ナターシャ様の身の回りのお世話が必要ですし。」
「侍女は1人でいいよ。馬車で行くには目立ちますしね、騎乗するから3人は無理だ。」
「では、俺も行こう。」
トーマスも名乗りでる。
しかし、セシルは……。
「申し訳ありません。トーマス殿下だけでなく、皇太子殿下以外の皇子をお連れ出来ない決まりがあるのです。代々その場所があるのを知るのも、皇太子の部下を1人だけ。なので、臣下の中でも、陛下の皇太子時代の侍従であった今の宰相である父と私しか知らぬ場所。カイルも知りません。それだけ重要な場所だと、私は陛下から伺っておりますので。」
「…………分かった、ここで待とう。」
「申し訳ありません、トーマス殿下。」
トーマス達は不満そうだったが、代々そうしてきたしきたりがあるのなら仕方ない、と諦めた。
「殿下がもし、離宮の場所を話ていい、と仰っるか分かりませんし、陛下から教えては駄目だと、箝口令があるのなら、これ以上私から言えませんので……。」
「お待たせしました!セシル様。」
「ありがとう、では届けに参ります。」
セシルはトーマス達に一礼して、セリナだけを連れ、離宮へ向かった。
0
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
山に捨てられた元伯爵令嬢、隣国の王弟殿下に拾われる
しおの
恋愛
家族に虐げられてきた伯爵令嬢セリーヌは
ある日勘当され、山に捨てられますが逞しく自給自足生活。前世の記憶やチートな能力でのんびりスローライフを満喫していたら、
王弟殿下と出会いました。
なんでわたしがこんな目に……
R18 性的描写あり。※マークつけてます。
38話完結
2/25日で終わる予定になっております。
たくさんの方に読んでいただいているようで驚いております。
この作品に限らず私は書きたいものを書きたいように書いておりますので、色々ご都合主義多めです。
バリバリの理系ですので文章は壊滅的ですが、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
読んでいただきありがとうございます!
番外編5話 掲載開始 2/28
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……
【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる
西野歌夏
恋愛
ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる