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湖デート
しおりを挟む(………受け取って良かったな……ナターシャの気持ちが分かった今は自分に自制が効かないかもしれないからな………。)
馬を走らせながら、リュカはそんな事を思っていた。
後ろから見る、華奢な身体で馬術着を着るナターシャは髪をまとめ、うなじが見えている。
それを見るだけで、キスマークを付けたくて仕方がないのだ。
(………早く着け!この時間がもどかしい!)
暫く森を駆け走ると、広い場所に出た。
フェデラーの足をゆっくりさせ、ナターシャに声が掛かる。
「着いたよ、ここだ。」
「うわぁ………湖、ですか?本当に王宮内何ですか?」
「そう、ここは王を継ぐ者しか知らない場所だ。」
ナターシャはリュカのその言葉を聞き驚く。
「え?わたくしをこの場所に連れて来ても良かったのですか?」
「いいんだ、ナターシャは俺の妃になるからね………母上の皇妃も、父上と何度も来ている。」
湖の奥は更に深い森が広がり、太陽が湖の水面を照らし美しい景色が広がっている。
リュカの大切な場所は、ナターシャも好きな場所になりそうな予感がする。
「ナターシャ、降りようか。」
「はい。」
リュカが先にフェデラーから降り、ナターシャを抱き降ろす。
「フェデラーを木に繋ぐから、近くで見てきていいよ。水辺に近付きすぎないでね、落ちたら深い湖だから。」
「はい。」
フェデラーを木に繋ぎ、ナターシャの横に来るリュカ。
「ここの湖には夏は白鳥が羽休みに来るんだ、その時期はもっと綺麗だよ。」
「白鳥が来るのですか?」
「あぁ、雛もいっぱいね、可愛いよ。」
「見たいです!」
「その時にはまた来ようか。」
「はい!」
満面の笑みのナターシャは気に入ったようで、はしゃいでいる。
「ナターシャ、もう可愛い過ぎる………。」
「!!」
リュカはナターシャを抱き締めると、リュカの胸にナターシャはホッとした顔で頬を寄せた。
好きだと確信して、リュカに想いを告げると、何故だかリュカの温もりを欲した。
後ろから掛かるリュカの息と伝わる体温に、安心して馬に乗れた。
恐怖心は完全には拭えてないナターシャだが、リュカと一緒であれば怖くなかった。
「リュカ殿下?」
「!!」
「ユラン?」
「今日は珍しく遅い時間にお見えですね、お泊りになりますか?」
初老の男性が、農作業道具を持ち立っている。
ユランという男がナターシャの存在に気が付き、会釈をした。
「ナターシャ、彼はこの湖とあそこに見える離宮の管理者なんだ。」
「ユラン、彼女は俺の婚約者のナターシャ。ウィンストン公爵令嬢だ。」
「あぁ、宰相殿の……宜しくお願い致しますナターシャ妃、ユランと申します。」
「初めまして、ナターシャですわ。」
「泊まるかどうかは決めていないが、急に準備出来るのか?」
「そりゃ、殿下のお部屋は常に準備しておりますから。」
「そうか…………暫く考える。どちらにしてもユランに言うから。」
「畏まりました。では、フェデラーに牧草を与えてお待ちしております。」
ユランは離宮の方にフェデラーを連れ戻って行った。
(…………あぶなっ……泊まる、て言ったらナターシャが警戒してしまうじゃないか……。俺は大歓迎だが………。)
リュカは思わず欲望を吐露しそうになった。
「あ、もうそろそろ日が沈むよ、ナターシャ。」
森の向こう側が美しいオレンジ色の夕日。
「………綺麗………。」
王宮でも西にあたるこの湖は太陽が沈むと、星空も美しいのだが、果たしてナターシャは見たいのかどうかは分からない。
ナターシャは湖の畔に座り込む。
「ナターシャの部屋は南向きだから、夕日はここまで見れないから、見たかったらまた来ようね。」
「…………。」
ナターシャは見惚れて、頷くだけしか出来ない。
「あんまり、見惚れないでくれるかな?俺は夕日にさえもヤキモチ焼くじゃないか……。」
リュカはナターシャのうなじを指でなぞる。
先日付けた、キスマークも消えてしまっているのだ。
「!!」
ピクッと首と肩が動く。
ナターシャは、なぞられたヶ所を手で覆い、リュカの方を見た。
「ヤキモチ………て……夕日ですよ?」
照れた顔した顔が僅かに火照るナターシャはリュカに邪魔されても怒らない。
「そう、ナターシャが見る物は全てヤキモチ焼くらしい。」
「…………わたくしもリュカ殿下が見る全ての物にヤキモチ焼く日が来ますかね?…………だって………わたくしの好きより、殿下の好きの方が大きい気がして………。」
「それじゃあ確かめてみるかい?」
「え?どうやっ………!!」
リュカに甘いキスを貰うナターシャ。
リュカは直ぐにナターシャの口内を侵す。
舌を絡み取り、唾液が混ざり合い、ナターシャを逃さないように、ナターシャを抱き締めるリュカだった。
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