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お行儀見習い【リュカ】⑦

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 暫くすると、リュカがサロンに戻ってくる。

「待たせたね、行こうか。」

 リュカも表情は暗い。
 再び、リュカがサロンを出ようとするが、ナターシャに腕を引っ張られる。

「傷の手当て致します!」
「え?」
「殿下の怪我ですわ。」

 木の破片が無いかを確認し、消毒液とガーゼをリュカの手に当てる。

「気付かなかった……。」
「殿下の手は、あんな事に使ってはいけません。殿下の手は国民を守る為の手、わたくしのせいで、傷付けていい手ではありません。」
「ナターシャ……この俺の手はナターシャを愛する為の手でもある。」
「!!」

 リュカの言葉に再び涙を溢すナターシャ。

「ナターシャ?」
「…………嬉しくて………涙が……。」
「ナターシャ…………。」
「本当は、殿下の大切な場所でお伝えしたかった………でも………殿下のお言葉が…………嬉しくて…………わたくしも殿下を………!!」

 ナターシャの言葉を最後迄聞かずに抱き締めたリュカ。

「信じていいのか?」
「…………はい。」
「ナターシャ…………俺だけのナターシャ……。」
「はい、わたくしは殿下だけのものです。」

 ナターシャは、包帯を巻けていないままではあるが、リュカの背に腕を回した。

「嬉しいよ、ナターシャ…………だけど、ここも俺の大切な場所だ……。ナターシャとダンスを踊り、ヴァイオリンやピアノを弾いて沢山の思い出がある。」
「そうですね………わたくしもこの場所が大好きです。」
「……………しまった!ナターシャの好きと言う言葉がサロンに取られた!」
「…………プッ………殿下、大好きです。」
「!!」

 不意打ちに好きだと言われ、リュカは顔を赤らめる。
 やっと見つめられるようになったナターシャの頬を撫でるリュカ。
 顔を近付け、耳元で囁く。

「唇にキスしていい?」
「…………殿下とならいつでも…。」

 ナターシャは目を閉じ、リュカを待った。
 リュカは目を閉じた瞬間、軽くキスをしたが、足りないようで自らの舌で、ナターシャの唇を開き、口内へ押し入る。

「んっ!」

 くちゅ……くちゅ。

 ナターシャの舌を絡め取り、吸い付くリュカ。
 時折、薄目を開き、ナターシャの表情を見ては、反応を探る。

「…………はぁ……んんっ!」
「可愛い………ナターシャ………俺のナターシャ……。」

 長いキスの後抱き締めるリュカは暫くすると、ナターシャを抱き上げ、サロンから出ようとする。

「え?殿下どこへ?」
「馬に乗って、行きたいんだろ?セシルには言ってきたから気にしなくていい。」
「で、ですが、抱き上げられたまま厩舎迄行きたくありません!」
「ナターシャは俺の妃になるんだからいいじゃないか。」
「恥ずかしいから嫌です!!」

 断固拒否したナターシャに押し切られ、仕方なく下ろしたリュカだった。
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