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夕飯は5人で⑤
しおりを挟む夕飯前、リュカはナターシャを迎えに来る。
今迄であれば並んで歩くだけだったのだが、リュカはナターシャの腰を支え歩く。
(………リュカ殿下……。)
どうしても、昼の勉強の事があって、照れてしまっているナターシャ。
「もう少し離れて頂けると………。」
「何で?……ナターシャはこれから慣れていかないと、ね。仲睦まじい姿を国民に見せる事も必要になるんだから。」
「…………今、誰も周りには居ませんし……。」
「じゃあ、今日の続きしちゃう?」
隙あらば、耳元に囁くリュカ。
その都度、身体を硬直させ、赤くなるナターシャを見てきたからこそ、意識させたいリュカなのだ。
セシルの話の事は、弟達に言わない事に決めたリュカ。
そろそろ差を広げたかった。
教えた所で、ナターシャが拒否したらそれ迄。
そこ迄持って行けるとしたら、おそらくトーマスだけ、と踏んでいる。
閨を伴う事になれたとしても、ナターシャの母が教えたようにはさせる気もないのだ。
それを後で知ったとして、トーマスなら上手くやる筈、予め知ったのと知らなかったのとではまた違うだろうが、リュカはリュカのやり方を貫く気でいた。
リュカはナターシャの首筋を見る。
まだはっきりと残る印に気分は高揚した。
(お前達にやれるならやってみろ……。)
宣戦布告なのだ。
「さぁ、ナターシャどうぞ。」
ダイニングのドアを開け、ナターシャを先に入れる。
既に、皇子達は席に着いている。
リュカはわざと、ナターシャのキスマークが見える方の椅子を引いた。
「こちらでいいのですか?」
「今日はこっちで。」
ナターシャの首筋左側にばっちり着いたのを見せて座らせると、いち早く向かいに座るトーマスが気付く。
「兄上………やりましたね?」
「ん?なんの事だ?」
牽制にも取れる、兄の言葉に、トーマスは目を光らせた。
「では、俺も遠慮なく。」
「あぁ、受けて立つぞ?トーマス。」
タイタスと、コリンは2人の間に火花を見たのだった。
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