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お行儀見習い【リュカ】⑤

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 再び、演奏を再開させると、ナターシャが間違えた。
 そして、キスマークのお返しをナターシャに要求する。
 服を首筋部分を見せている。

「………ココね。唇を当てて、強く吸ってくれる?」
「………出来るのでしょうか……わたくしも。」
「出来なくてもやってくれようとしてくれる気持ちが嬉しいんだ。」

 ナターシャが再度、リュカの肩に手を添え、首筋を吸い取った。

「!!あ………痕が……。」
「付いた?」
「申し訳ありません!!殿下に!」
「ふふふ…………気にしなくていいよ、お揃いだから。」

 ナターシャの首筋に触れるリュカ。

「ココに、同じ痕がある。暫く消えないから、消えたらまた付けてあげる。」
「……………?」
「うん、まだ分からないかな?でもその内分かるよ。」

 首を傾げ、その意味が分からないナターシャの頭を撫でたリュカは時計を見て、2人の時間が終わるのに気が付いた。

「もう、終わりかぁ……仕方ない、仕事しなければ。」
「殿下……ありがとうございました。」
「うん、最後に抱き締めてもいいかい?」

 リュカは椅子から立ち上がり、両手を広げナターシャを待ち構える。
 恥ずかしがりながら、ナターシャも楽しかったのでリュカの腕の中に入っていく。
 しかし、ナターシャの腰の辺りに硬い感触が当たる。
 気にしていると、リュカが苦笑いしていた。

「……ごめん……今日ナターシャが余りにも可愛くて、我慢出来なかったんだ。」
「?………何なのですか?」
「………コレは………ね……。」

 リュカは腕の力を込め、ナターシャの耳元で囁いた。

「閨で必要な物だよ………ナターシャが俺のコレを受け入れてくれるのを待っている。」
「……………。」
「もう、可愛い顔しないでくれ………セシルに怒られるが処理してから行くとするかな。今日も楽しかったよ。」

 リュカはナターシャと離れ、サロンを後にした。
 リュカは気が付かなかったが、ナターシャは終始ドキドキしていたのだった。

✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧

「遅かったですね、殿下。仕事溜まってますよ?」
「すまない………ちょっと夢中になり過ぎて……。」

 執務室でセシルが仕事をしてリュカを待っていたのだが、リュカが遅かったので、苛々している。

「今日は、ナターシャとの時間でしたよね?」
「あぁ………可愛い過ぎて何度も押し倒したい衝動に駆られて、終わってから処理してた。」
「…………あぁ……。父から聞きましたよ。少々手荒な事をする、と。」
「手荒、て……。」

 執務室の椅子に座り、仕事を始めたリュカは苦笑いする。

「だってそうでしょう?恋路に鈍い妹ですし、殿下方との許婚になった後は父は閨や男女の関係の話を家で一切禁止になりましたから、妹限定で。」
「な、何故そこ迄……。」
「王族の一員になる可能性があるなら、純真でいてもらわないと、と父の持論ですが、男に媚び打って近付く女になって、ウィンストン公爵家の品位を損なう訳にはいかない、と。だから、一切教えてないのですよ、ナターシャには。」
「なるほど。」
「ただ、母が閨の作法として、教えていた事がありまして………。」
「何だ?」

 セシルは手も口も止めてしまった。

「いえ、これを言っていいのかな、と思ったものですから……。」
「気になるじゃないか。」
「………殿下方は公平の立場だと聞いているので、これを言うと殿下が有利になるんじゃないか、と。」
「………話によるが、内容によっては話しておく。」
「では、話ますが、母は閨に関して決して夫に逆らわず、痛がらず我慢しなさい、と。実際は両親の行為はそんなんじゃないんですけどね。おそらく父の指示なんでしょうけど……。」
「………プッ………それじゃあ、まな板の上の食材じゃないか……。」
「そう、勝手に男が自分だけ動け、というようなものです。」
「だから、何も知らなかったのか……。♬♬♬」

 上機嫌だったリュカが更に機嫌が良くなったのを見たセシルはリュカの首筋にあるうっ血跡に気付く。

「ナターシャ、ですか?ソレ。よくさせれましたね。」
「だろ?やっとさ。」
「一歩前進ですね殿下、頑張って下さい。弟のカイルはトーマス殿下をナターシャに、と推してますが、私はリュカ殿下なので。」
「……………。」

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