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ゲームの日
しおりを挟むゲームをしたい、と提案したナターシャに時間を取った皇子達。
ナターシャの部屋に4人の皇子達が集まる。
「何のカードゲームにしようか……。」
カードをシャッフルしながらリュカは言う。
「ポーカーなんてどうだ?」
「え………やだ……トーマス兄上に勝てた事が無い。」
トーマスはリュカに提案をするが、タイタスはポーカーが苦手らしい。
「なら、神経衰弱なんかはどうだ?タイタスは記憶力も良いだろう?」
「神経衰弱ならいいかな。」
「ま、俺の記憶力に勝てるとは思えないけどね………ふふふ。」
リュカの提案に、タイタスも了承したのに、トーマスは自分の記憶力の方が上だとアピールしたいらしい。
「トーマスの記憶力の良さは俺も分かってるが、競争ではない、ただのゲームだぞ?ムキになってどうする。」
カードをシャッフルや並べるリュカの手際がいい。
よくカードゲームをするのだろうか。
ナターシャが不思議そうに見つめていると……。
「嫌な公務とかあると、よくカードゲームして負けた奴が行ってたんだ。」
リュカが照れながら言った。
「そうそう、特に王宮主催のお茶会前の遠方への公務はね。」
「ナターシャが来るのが分かってたから、服や髪型とか、良く見せなきゃならないんで、少しでもそっちに時間使いたくてね。」
「それで、負けた皇子が行かされてたんだよ、特にタイタス兄上が。」
トーマスもこれみよがしにアピールを欠かさない。
コリンは面白そうに言った。
「さぁ、並べたぞ、順番はコインで決めよう。表か、裏か………。」
リュカがポケットからコインを投げ、手の甲に落とし、当たった者から順番に右回りする、という公平な順番の決め方。
「表。」
「俺は裏。」
「僕は……表に。」
「わたくしは裏で。」
「じゃ、俺も裏で。」
同じ事を言った者は再度、同じ事を言った者だけで繰り返すのだ。
「あ、リュカ兄上、ナターシャと一緒にしたがってる!」
「どっちでもいいじゃないか………残念、表だ。トーマスとコリン、次はどっちに掛ける?」
再びコインを投げ、手の甲に起き隠すリュカ。
「表。」
「じゃ、今度は裏にする。」
「…………裏だ、コリンから右回りな。」
「あ!神経衰弱なら後攻のが有利じゃん!!」
「今頃知ったか…………ふふふ。」
トーマスは含み笑いをする。
よく見ると、コリンの右隣はトーマスで向かって右回りなのだから、トーマスは5番目なのだ。
コインの向きを見ていたように感じてしまうのは気のせいか?と思っていたのに、必ずコリンが1番手にされてしまっていたのであった。
勝ち負けには変わりないが、神経衰弱が不利なのは変わりない。
二度三度繰り返すと、リュカは落ちる所をトーマスに隠すようになった。
「公平じゃないからな、伊達眼鏡のくせに目が悪くもならず、動体視力もいい奴に見せるかよ。」
「公平を期すなら、コイン投げも交代にすればいいじゃん。」
「コイン投げではなく、いい方法ありますわ。カードを頂けますか?」
タイタスがリュカに言うと、ナターシャはリュカからカードを受け取り、シャッフル後カードをテーブルに伏せてばら撒く。
「一人一人、1枚カードを取り大きな数字を取った方から右回りで良いと思います。同じ数字を引いたならマークは強い方が勝ち。コインより、一度で順番を決めれますわ。」
「なるほど。それにしよう………それでその伏せたカードは神経衰弱のまま使える。」
リュカは顎に手を掛ける。
「うん、僕それでいい。」
「ま、コインよりかは良いかもな。」
「良いだろう、公平だし。」
「トーマス兄上が言う?それ。」
「ふふふ………。楽しいですわ。」
そうして、5人のゲームの時間はあっという間に終わった。
だが、誰もナターシャとのスキンシップが出来ない。
4人の皇子達は牽制しあいながら手を出せないままで終わってしまった。
「では、明日は俺との勉強だな、ナターシャ。明日はピアノにしようか。」
「!!………本当ですか!嬉しい!リュカ殿下からご指南頂けるなんて光栄です。」
久しぶりにピアノが弾けると思って喜ぶナターシャだった。
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