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夕飯は5人で①

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 初日の勉強の反省会と称し、皇子達と夕飯を共にと誘われたナターシャ。
 リュカの隣に席を設けられ、リュカのエスコートで、部屋から食堂に案内された。

「どうだった?ナターシャ、初日の勉強は。」
「はい、楽しかったです。まだまだ下手で、申し訳ありませんでした。」
「足を踏まれたのは、一回だけだったし、上達は早いと思うよ。」

 リュカはご機嫌でナターシャと話をしているが、この日初めてナターシャに会うタイタスとコリンは、距離を縮めたリュカとナターシャの空気が変わったのに感づく。

「1日で何か進展あったの?」

 タイタスがリュカに聞く。

「進展?ダンスしただけだぞ?だろう?ナターシャ。」
「はい、リュカ殿下に丁寧に教えて頂きましたわ。」
「トーマス兄上、一緒だったんだろ?本当に?」

 タイタスは今度は黙々と食べているトーマスに聞き出す。

「不愉快極まりなかった。教えてはいたな。」
「な、何だよ、その意味深な言い方。」
「失敬な言い方だなトーマス。」
「ドレスの中に手を入れ、足の向きはこうだの、顎に触れて見つめ合うように、等ね。」
「リュカ兄上~っ!!抜け駆けだ!」
「タイタスも失敬だな。俺はだけだ。」

 騒ぎ出したタイタスを宥めようと、コリンも口を出す。

「タイタス兄上順番なんだから、初日のリュカ兄上が抜け駆けなのは仕方ないじゃないか。ナターシャだって初日から皆と相手出来ないでしょう?」

 末の皇子は意外と冷静な判断でしっかりした印象だった。
 騒がしい皇子達の性格も、ナターシャは見るように、と公爵から聞かされている。
 リュカは孔雀のような華やかさ。
 トーマスは梟のような佇まい。
 タイタスは鷲のような雄々しさ。
 コリンは鴉のような賢さがある。
 鳥に例えるのはどうかと思うが、2日の間のナターシャの印象はこうだった。

「ナターシャ?」
「は、はい………流石に1日にあれもこれも、ではわたくしも疲れてしまいます。慣れる迄は、リュカ殿下の時間割でお願いしたいです。」
「考え事していたようだが、疲れたかい?」
「いいえ、わたくしにも兄が2人居りますが、殿下方4人居られますと、賑やかなだな、と思いまして。」
「セシルは物静かな奴だし、カイルはうるさい奴だよな?」

 リュカはナターシャの兄2人をよくご存知だ。
 
「俺も公務中にカイルが側に居るとうるさくてうるさくて……。」
「トーマス殿下、も、申し訳ありません!兄に注意しておきますわ。」
「いや、俺がのんびりしてるから、せっかちのカイルが居てくれて丁度いいのさ。」
「トーマスは追求し過ぎなんだよ。予算案起てるのに、1桁迄細かくうるさいから、カイルが急かすんだ。」
「国の経費の使い方は大事だろ?民の税金から成立つんだから、間違える訳にはいかない。」
「大切なお仕事をされてらっしゃるのですね、トーマス殿下。」
「ナターシャ、理解してくれて嬉しいよ。」

 トーマスは席を立ち、ナターシャの横に来ると、手を握った。
 その行為は、リュカやタイタスの目つきを変える。

 チュッ。

 手の甲にキスを落としたトーマス。
 ニヤリ、と兄と弟達にほくそ笑んだ。

「兄上!抜け駆け!」
「トーマス!」
「兄上は仰った。触れたければ工夫しろ、と……ですよね?タイタスも、ナターシャに褒められるような事をすればいい。俺のこのキスは敬意と礼だ。ナターシャに今渡す物が無いから、キスで礼をしただけさ。」
(…………逆ハーレム状態………。)
(羨ましい……。)

 セリナとライアはこの光景を羨ましがって見ていた。
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