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お行儀見習い【リュカ】①

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 翌日から、ナターシャの勉強が始まった。
 ピアノの置いてある部屋に案内されると、リュカとトーマスが待っていた。

「ナターシャ、これを先ず渡しておくよ。」
「何でしょう、これは。」
「勉強スケジュールだよ。」

 ナターシャは見ると1週間のスケジュールが書き込まれていて、その内の5日は皇子達の名前が書かれ、2~3時間のお相手をしてくれるようだ。
 空欄も割と均等にあり、勉強という名目だが、忙しい感じではないように思える。
 欄外には、どの殿下が何を相手するかが書かれていた。

「今日は、ダンスの時間なのですね?」
「そう、トーマスがピアノを弾くから、ダンスは俺が相手をするよ。」
(………?昨日はと言ってみえたのに……。)
「リュカ殿下がダンスと音楽、トーマス殿下は文学、タイタス殿下は歴史や地理、コリン殿下は………遊び?……ですか?」
「コリンは、協調性が足りないのでね、ゲーム等をしながら、話相手になってくれたらいいよ。王宮でのマナーやモラル等も聞きながらね。」
「空欄の所は何も無いのですか?」
「その内埋まるよ、多分ね。ナターシャが出来ない事を足していく必要があるかもしれないしね、1週間の中で2日は休みにしてあるから、ゆっくり過ごすといい。」
「お心遣いありがとうございます、リュカ殿下。」
「じゃ、始めようか。トーマス音を頼む。」
「了解。」
「お手をどうぞ、ナターシャ。」
「………は、はい。」

 ♪ .•*¨*•.¸¸♬✧♪ .•*¨*•.¸¸♬✧♪ .•*¨*•.¸¸♬✧♪ .•*¨*•.¸¸♬✧

「うん、筋はいいね、でも………。」

 リュカはそう言うと、ナターシャの腰に触れていた手を自分に寄せ、リュカと密着させるように押し付けた。

「!?」
「ん?リードしにくくてね。」
「あ、足を踏み付けてしまいそうです。」
「そうしないように、練習してるんじゃないか。」
「そ、そうなのですが……。」

 戸惑いを隠せないナターシャに追討ちを掛けるかのように、リュカはトーマスに声を掛ける。

「トーマス、テンポアップ。」
「え!?」
(い、今でも大変なのに!!)
「さぁ、ついておいで、ナターシャ。」
「………え………は、早いです!」
「イテッ!!」
「あぁ!殿下!申し訳ありません!大丈夫でしょうか?」
「ちょっと、早くし過ぎたかな………。でも今ので無駄な動きの癖が分かったから、修正していこう、そうしたらもっと動けるようになるよ。」
「本当ですか?」
「あぁ、出来るようになったら、社交界の華になれる。」

 上手くなる、と言われ浮足立つナターシャ。
 この後、リュカの手が触りたい放題になるとも知らずに……。
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