9 / 100
お行儀見習い【リュカ】①
しおりを挟む翌日から、ナターシャの勉強が始まった。
ピアノの置いてある部屋に案内されると、リュカとトーマスが待っていた。
「ナターシャ、これを先ず渡しておくよ。」
「何でしょう、これは。」
「勉強スケジュールだよ。」
ナターシャは見ると1週間のスケジュールが書き込まれていて、その内の5日は皇子達の名前が書かれ、2~3時間のお相手をしてくれるようだ。
空欄も割と均等にあり、勉強という名目だが、忙しい感じではないように思える。
欄外には、どの殿下が何を相手するかが書かれていた。
「今日は、ダンスの時間なのですね?」
「そう、トーマスがピアノを弾くから、ダンスは俺が相手をするよ。」
(俺………?昨日は私と言ってみえたのに……。)
「リュカ殿下がダンスと音楽、トーマス殿下は文学、タイタス殿下は歴史や地理、コリン殿下は………遊び?……ですか?」
「コリンは、協調性が足りないのでね、ゲーム等をしながら、話相手になってくれたらいいよ。王宮でのマナーやモラル等も聞きながらね。」
「空欄の所は何も無いのですか?」
「その内埋まるよ、多分ね。ナターシャが出来ない事を足していく必要があるかもしれないしね、1週間の中で2日は休みにしてあるから、ゆっくり過ごすといい。」
「お心遣いありがとうございます、リュカ殿下。」
「じゃ、始めようか。トーマス音を頼む。」
「了解。」
「お手をどうぞ、ナターシャ。」
「………は、はい。」
♪ .•*¨*•.¸¸♬✧♪ .•*¨*•.¸¸♬✧♪ .•*¨*•.¸¸♬✧♪ .•*¨*•.¸¸♬✧
「うん、筋はいいね、でも………。」
リュカはそう言うと、ナターシャの腰に触れていた手を自分に寄せ、リュカと密着させるように押し付けた。
「!?」
「ん?リードしにくくてね。」
「あ、足を踏み付けてしまいそうです。」
「そうしないように、練習してるんじゃないか。」
「そ、そうなのですが……。」
戸惑いを隠せないナターシャに追討ちを掛けるかのように、リュカはトーマスに声を掛ける。
「トーマス、テンポアップ。」
「え!?」
(い、今でも大変なのに!!)
「さぁ、ついておいで、ナターシャ。」
「………え………は、早いです!」
「イテッ!!」
「あぁ!殿下!申し訳ありません!大丈夫でしょうか?」
「ちょっと、早くし過ぎたかな………。でも今ので無駄な動きの癖が分かったから、修正していこう、そうしたらもっと動けるようになるよ。」
「本当ですか?」
「あぁ、出来るようになったら、社交界の華になれる。」
上手くなる、と言われ浮足立つナターシャ。
この後、リュカの手が触りたい放題になるとも知らずに……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
167
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる