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皇子達の初恋
しおりを挟むリュカ10歳の時。
王宮で行われたお茶会にリュカも皇妃の傍らで弟のトーマスとタイタスと共に参加していた。
音楽が好きだったリュカは、管弦楽に夢中になっていた時、ナターシャの一声で管弦楽からの興味が逸れた。
「お父様!お母様!ナターシャも演奏したい!」
小さな小さな女の子。
おしゃまで活発そうだが、最近淑女となる為の勉強を始めたであろうと見受けられた少女は見様見真似で、ぎこちないマナー。
この一瞬で、来賓達の貴族達は愛くるしい小さなレディに心を奪われた。
せがんで、やっと弾けたピアノは、まだまだ下手ではあったが、リュカにはそれが天使に見えたのだ。
リュカは父に、ナターシャと結婚したい、と強請る。
しかし、まだまだ小さな皇太子ともっと小さなレディとの婚約を決めるには早い、と思った皇帝は、ナターシャの父の公爵に、王宮であるお茶会にナターシャを連れて来る事と、リュカの想いを組み、内密で許嫁となる密約を結ぶ。
婚約を発表迄してリュカがその後心変わりをしてしまったら、ナターシャの立場を悪くすると思ったからだった。
しかし、リュカの想いは募る一方だった。
王宮でのお茶会は、季節毎に行われ、その都度ナターシャは父の公爵に同行し、ピアノやヴァイオリンを披露する姿は、上達する演奏と共にナターシャの可憐さや愛らしくなっていった。
(………ナターシャ、また可愛くなってる。)
「兄上、あの子可愛いですね。」
「!!ト、トーマス!」
弟皇子のトーマスや、タイタスも、ナターシャに心を奪われていったのをリュカは同時に見ていかなければならず、弟達も父におねだりをしたのも見てしまった。
ナターシャと結婚したい、と。
「何で、トーマスもタイタスも、ナターシャに恋をするんだ!ナターシャは僕の許嫁だぞ!」
「えぇ~~~!!」
兄弟間で、一人の少女を取り合う事になるとは、と皇帝も悩ませた。
「………分かった。では、ナターシャが14歳になる迄に、お前達が心変わりしないのであれば、ナターシャに決めてもらおうではないか。そして、選ばれなければ婚姻は無し、選ぶならナターシャの成人になる16歳に婚約発表をしよう。」
そうして、ナターシャの許嫁が4人になったのであった。
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