51 / 102
検査結果
しおりを挟む検査結果が医師達の報告でトーマスとカイルの元に入る。
結果、アーサーとアマレスは親子の可能性が高い、と出た。
「こんな事が分かるんだな、血液検査で。」
「すげぇよな、血液検査って。ナターシャの出産時にヴァン子爵から聞いた事がこんな時に役立つとはな。」
2人で報告書を見ながら感心している。
「でも、何でこんな血液検査なんてやる事になったんだ?」
「マルシア側妃の弱み調べさせていたら、アーサー王子が産まれた経緯について、噂があったんだと。アーサー王子の父親はアマレスではないか、とね。」
「へぇ………という事は、アマレスはアーサー王子に王位に付かせたいと言うのはあながち間違いではない、て事か。」
「多分、アマレスはそんな優しいヤツじゃないぜ。」
「違うのか?」
カイルは確信をしている。
アマレスに会った事のあるカイルには、アマレスが自分の子供だろうが、アマレスの欲の対象でない限り興味があるとは思えないのだ。
「アマレスは知らないと思うぜ。アーサー王子が自分の子供だとな。マルシア側妃が不貞を起こした事は重大だが、噂を父親のナバーロと揉み消したのは、父親が王であるかどうか、だと思うぜ。正妃は侯爵家の父親の持つマルシア側妃と違い身分が低い子爵家ときた。かなりマルシア側妃は図に乗った態度らしいからな。」
「それで、アマレスと協力したというだけか。」
「あの2人に愛情なんてあるかどうかは全く興味はないが、アマレスの性癖見りゃマルシア側妃なんて三行半な筈だ。」
「あぁ…………お前にもクドいたからな。」
「気持ち悪かったぜ……。」
「それが今回見れるのは、楽しみの一つだな。」
トーマスがニタニタと含み笑いをする一方で、カイルはウンザリした顔で返す。
「よしてくれ、素で行くぞ今回は!」
「………残念。」
数日、念入りにトーマスとカイルは打ち合わせをし、王宮に入る手筈を整える。
「よし、コレで行くぞ。」
「了解………じゃあ、王宮に連絡入れといてくれ。」
カイルは部下に指示を出し、王宮からの連絡を待った。
✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧
レングストン王宮、トーマス邸。
「暇だなぁ………今日はもう勉強無いし、乗馬でも行くかな…………マーニャ、厩舎に馬が乗れるか確認してくれないか。」
「ラメイラ様、もう夕刻ですよ、今日はやめておいた方が良いかと。」
暇を持て余し、勉強も刺繍もしたくなくて、身体を動かしたかったラメイラはマーニャに断わられる。
「………直ぐに戻るから、お願い。」
「分かりました、確認して参りますが、許可出てもそんなに時間は取れませんからね。」
「ありがとう!………あ、私も一緒に行く。」
ラメイラはマーニャと共に、厩舎へ軽快に歩く。
「久々だから、嬉しいな。」
「そうですね、ご結婚後なかなかお時間無かったですし。」
「あのヘルン姫も居なくなったし、王宮も平静になったし、なんか暇になったんだよねぇ。」
「あの方はもうご遠慮したいですね。」
「全くだ。」
厩舎に着き、ラメイラは久々に馬のニオイを嗅ぐ。
しかし、懐かしさとは裏腹に気持ち悪くなっていた。
「…………うっ………な、何だ……どうしたんだろ………。」
「ラメイラ様?」
「ちょっと…………外に出たい………。」
マーニャに支えられながら、ラメイラは厩舎の外に出ると、厩舎を管理する調教師達がラメイラに気が付いて声を掛けてくる。
「如何されました?ラメイラ様。」
「なんか、厩舎の嗅ぎなれたニオイが受付ないんだ………クラクラする。」
「今迄と何も変わっておりませんよ?」
「ラメイラ様、体調がすぐれないのでは?今日はおやめになった方が良いかと。」
「…………乗りたかったけどな………落馬したらトーマスが心配するな…………ごめんせっかく調教師達が時間を割いてくれたのに……。」
「ラメイラ様、お気になさらずに。体調がすぐれないなら、馬に乗るのは危険ですから。」
厩舎からなるべく早く離れたくなったラメイラはトーマス邸に戻ると、気怠さが襲うようになっていた。
0
お気に入りに追加
180
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
【完結】「完璧な淑女と称される王太子妃は芋ジャージを着て農作業をする。 ギャップ萌え〜の効果で妖精王が釣れました」
まほりろ
恋愛
アデリンダ・エーレンベルクは完璧な淑女と称されていた。
しかし王太子と結婚して一年、夫は浮気相手の元に入り浸り、彼女の寝室を訪れることはなかった。
そのためアデリンダは、「自分は女としての魅力にかけているのでは?」と思い悩んでいた。
アデリンダを心配した侍女が、彼女の自信を取り戻すために「王太子妃に泥をつけ高貴さを損ね、モテモテにするぞ! 芋掘り大作戦」を決行することに。
当日芋掘り会場に集まったのは、自国の宰相の息子に、騎士団長と魔術師団長の息子、隣国の皇太子に、精霊王に、妖精王、竜人族の王子などそうそうたるメンバーで……。
【こんな人におすすめ】
・ハッピーエンドが好き
・くすっとした笑いが欲しい
・ほのぼのした作品が好き
・ざまぁは添える程度
※無断転載を禁止します。
※ペンネーム変更しました。
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
※「完璧な淑女と称される王太子妃は芋ジャージを着て農作業をする。 ギャップ萌え〜の効果で妖精王が釣れました。妻を放置していた王太子は失ってから初めて彼女の価値に気づき地団駄を踏む」のタイトルで、小説家になろうにも投稿しています。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる