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プロローグ

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 バタバタバタバタバタバタ………。

「大変だ!誰か医者を!!陛下が倒れられた!!」

 早朝、王宮内に漂う騒がさしさで、第一王女アリシアが起きた。

「何?何がありましたの?」

 コンコン。

「アリシア様!陛下が!」

 数日前から体調が悪い、と洩らしていたアードラ国王、まだ40歳の若き王アドラード。
 アリシアは飛び起き、急ぎ身支度を整えた。
 着替えて国王の私室に来たアリシア。
 傍には、正妃であるアリシアの母アマンダ、第一王子の兄アルフレッドが控え、第一側室のマルシアと第二王子アーサー、他の側室や、その側室が産んだ幼いアリシアの義弟妹が続々と私室にやって来る。

「お父様………何が………。」
「………分からない、元々体調不良を訴えておられたし……。」

 アルフレッドに駆け寄るアリシアは、すがり付くようにアルフレッドに寄り添った。

「陛下………しっかりなさって下さい……。」
「お母様……。」

 医者の診断では、重い病気に掛かったとしか言わず、医療の発達していない国なのか、薬投与でしか治療が出来ない病だと言われた。
 国王が病に倒れ、国王の弟アマレスが宰相の地位にあったアードラでは、代わりに宰相が政を引き継ぐ事になった。
 アマレスは野心家で、よく兄である国王と衝突していたのを、アルフレッドだけではなく、他の貴族達も知っていた。

「ロバート………叔父上を探って欲しい。父上が亡くなった訳ではない、だが政権を我が物にし兼ねるような振る舞いをするのは許せないんだ。」

 と、アルフレッドは乳兄弟でもある侍従のロバートに、探りを入れさせ、意外な事を耳にしたとロバートはアルフレッドに告げる。

「な、何だって!叔父上が、第一側室のマルシア殿の外務大臣の父上と組んで政権交代を!」
「はい、国王が逝去された後、中継ぎの為にと名目で宰相が国王に即位し、その間にアルフレッド様を殺害し、第ニ王子のアーサー様を次期国王に……そしてアリシア様を宰相の側室に献上を約束を……と。」
「ゆ、許せない!叔父上!!」

 アルフレッドは父王に早急に会いに行き、病ではあるが意識がかろうじてある王に事の顛末を報告する。

「アル…………アリシアを………レングストンに……逃がせ……。私は意地でも………死なん………アリシアがレングス…………トンに……居る間…………は………お前が…………。」
「分かりました、父上。印章をお借りして直ぐにレングストンに早馬を走らせます!アリシアはコリンに頼みますから!」
「………頼む…………側室に等……あやつのにはさせん。」

 そうして、アリシアは数日後、レングストンからの知らせを待たず、逃げる様にアルフレッドの乳兄弟、ロバートと逃げて出したのだった。
 王女亡命である。
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