お見合い、そちらから断ってください!【完結】

Lynx🐈‍⬛

文字の大きさ
上 下
44 / 45

エピローグ

しおりを挟む

 亜里沙がその花束を見るとメッセージと花束の中に小さな箱。
 メッセージは『OPEN』と一言のみ。

「…………開けろ、て何コレ……」

 亜里沙にプレゼント、とスタッフから声が掛かった為、皆が亜里沙に注目していた。

「何だ?俺花束なんて用意してねぇぞ?」
「航」
「うわっ!びっくりするじゃねぇか!律也」

 航の腕を引いた律也は、亜里沙から少し離れたプールサイドに連れて行くと、二言だけ声を掛けた。

「跪いてろ」
「は?」
「いいから…………ここで!」
「うわっ!」

 肩を押さえつけられ、航は跪いてしまい、立とうとすると、裕司や彬良も参加しに駆け寄る。

「なるほど」
「律也、上手い事考えやがったな」

 亜里沙は、『開けろ』というメッセージの元、箱を開けて固まっていた。

「っ!………わ、航!?…………あ、あれ?また何処に………」

 羽美と優馬と居た筈なのに、居ない航。すると羽美と優馬は航が居る場所を指を差す。
 亜里沙が目を追うと、航が大の大人3人に抑え込まれて藻掻いていた。

「…………航……これ…………何?」
「………これ?…………なっ!何でそこにあるんだ!」
「ほれ、航」
「跪け」
「ほら、一言言え」
「てめぇ等!またやりやがったな!」
「コレは俺は知らん」
「俺も」

 裕司と彬良は本当に知らない。

「重い腰を持つ義兄の世話は大変だ………」
「律也!」
「航、亜里沙さんが待ってる」
「っ!」

 花束と小箱、小さなメモが広げられて亜里沙は持っている。

「これ………書かれてるの本当?」
「っ!…………ほ、本当………」
「航、その小さな紙に何書いてんだ?」
「亜里沙ちゃん!読んで!」
「え!」
「よ、読むな!亜里沙!」
「航、覚えてるんじゃないか?何度もイメージトレーニングしてそうだったけど」
「くっ!」
「航、聞かせろ!跪いてな!」
「は、離せ!てめぇ等!」

 距離を保ち、亜里沙は立ち止まっている。
 漸く、航を取り押さえていた力が弱まり、航は亜里沙の足元に観念したかの様に跪いた。

「…………航……」
「…………亜里沙………あぁ……その…………み、見合いから、俺の生活は……亜里沙中心になってた……大切で………これからも大切にしたいから……俺と結婚………して下さい…………お願いします!」

 聞いていた者達は固唾を飲んで見守っている。
 亜里沙の答えは分かっているが、この瞬間を分かち合いたいのだろう。

「…………航……」
「っ!」

 亜里沙から手が伸ばされると、航は亜里沙の手を掴んだ。

「…………勿論よ!………宜しくお願いします!」
「亜里沙!」
「航!」
「!」

 亜里沙が立ち上がる航の胸に飛び込む。
 だが、ここはプールサイド。水で濡れて滑りやすい。誰がこの瞬間を予想しただろうか。
 抱き締め合い、キスの1つぐらい見られると思っていたが、亜里沙が航に抱き着こうとした時、航は亜里沙を抱き締め様とした時、亜里沙が足を滑らせ、航とプールに落ちた。

「亜里沙ちゃん!」
「航!」

 花束が崩れ、亜里沙が掛けていた眼鏡、小箱に入っていた指輪やメモ等、プールに沈む物、浮かぶ物が散乱した。

「ぷはっ!」
「…………亜里沙!加減しろ!」
「…………だって!嬉しくて………ごめんなさい!プール汚しちゃった!」
「てか、指輪!」
「あっ!ど、何処に………」
「てめぇ等も探すの手伝え!」

 結局、この後指輪や眼鏡等、探す事になり、蒸し暑い夜に水遊びしながら見つけたのだった。




     ˖*꒰ .. 𝐻𝒶𝓅𝓅𝓎 𝐸𝓃𝒹.. ꒱*˖
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

警察官は今日も宴会ではっちゃける

饕餮
恋愛
居酒屋に勤める私に降りかかった災難。普段はとても真面目なのに、酔うと変態になる警察官に絡まれることだった。 そんな彼に告白されて――。 居酒屋の店員と捜査一課の警察官の、とある日常を切り取った恋になるかも知れない(?)お話。 ★下品な言葉が出てきます。苦手な方はご注意ください。 ★この物語はフィクションです。実在の団体及び登場人物とは一切関係ありません。

続・上司に恋していいですか?

茜色
恋愛
営業課長、成瀬省吾(なるせ しょうご)が部下の椎名澪(しいな みお)と恋人同士になって早や半年。 会社ではコンビを組んで仕事に励み、休日はふたりきりで甘いひとときを過ごす。そんな充実した日々を送っているのだが、近ごろ澪の様子が少しおかしい。何も話そうとしない恋人の様子が気にかかる省吾だったが、そんな彼にも仕事上で大きな転機が訪れようとしていて・・・。 ☆『上司に恋していいですか?』の続編です。全6話です。前作ラストから半年後を描いた後日談となります。今回は男性側、省吾の視点となっています。 「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。

IMprevu ―予期せぬ出来事―

天野斜己
恋愛
「一杯、おごらせて頂けませんか?」女子力0のアラサー干物女に訪れた、ドラマのようなシチュエーションから始まるシンデレラストーリー。しかし彼女を誘った、見た目も家柄もパーフェクトなエリート、実は彼の裏の顔は腹黒マックロくろすけなヤンデレ男だった。 ※ 言うまでもない事ではありますが、この話はあくまでフィクションであり、実在の人物、団体、店舗、建造物etcの名称が出て参りましても、それらのものとは一切関係がない事を改めて明記させて頂きます。多少の矛盾は軽く流して(笑)、あくまでも“天野の脳内ファンタジー世界”の出来事としてお楽しみ下さいマセ。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

花里 美佐
恋愛
冷淡財閥御曹司VS失業中の華道家 結婚に興味のない財閥御曹司は見合いを断り続けてきた。ある日、祖母の師匠である華道家の孫娘を紹介された。面と向かって彼の失礼な態度を指摘した彼女に興味を抱いた彼は、自分の財閥で花を活ける仕事を紹介する。 愛を知った財閥御曹司は彼女のために冷淡さをかなぐり捨て、甘く変貌していく。

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

処理中です...