番い【つがい】さがし※完結※

Lynx🐈‍⬛

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親公認

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 京が康太のマンションに住むようになって一週間後の週末、那由多と京の両親が、康太のマンションにやってきた。

「すいません、那由多んとこと違って狭いですけど、大学へは徒歩で行けるんで、楽なんですよ、ココ。」
「電車通学よりいいじゃない、ねぇお父さん。」
「確かにな…………だが、同棲はなぁ……。京、学生寮に入ったらどうだ?」

 明らかに不機嫌そうな京は、康太や両親の聞く耳を持たないようで、無視を続ける。

「あの、俺は京さんと出来れば付き合っていきたいので、俺はここに居てもらいたいと思ってます!那由多には一切近づかせませんから!お父さん、お母さん、京さんと交際させて下さい!」

 康太は両親に頭を下げる。

(私の気持ちは一切無視して、やめてよね。)
「私は賛成よ、那由多と別れさせれて、京が幸せになるなら。」
「………まぁ、それが第一条件だしな。…………最悪の事態になる前に別れてくれるなら一安心だしな。」
「あ、あの………最悪の事態、て……。」

 両親は向かい合い、父が口を開く。

「地元にね、縁結びの神社があるんだが、その神社に祀られているのが兄妹なんだ。その兄妹は惹かれ合い心中した、と言い伝えがあってね、ウチは代々その神社の宮司をやってきたんだよ。俺は宮司ではないけどね。」
「だから、那由多が京を見る目が心配だったの。どうか勘違いであって欲しい、と思ってたら………。京も那由多に、て………。」

 母は涙ぐむ。
 康太は京を見るが、聞き飽きた内容なのだろうか、苛々し始めた様子だった。

「放っといてくれてもいいじゃない、実家には戻らないし、お父さんとお母さんに迷惑掛けないわ。那由多と一緒に居たって、別に結婚したいとも子供が欲しいとも言ってないんだし。」
「京!!それは絶対に許しません!駄目よ!」
「何でよ!迷惑掛けてないじゃない!!」
「………京、確かに迷惑は掛けない。だが、心配は掛けてるとは思わないのか?…………お母さんから聞いたぞ?那由多との事を知っているのに、康太君から付き合って欲しい、て言われているんだろ?お前達の恋愛は、シスコン、ブラコンの延長線だ。他の男へ目を向けなさい。」
「……………ならないよ。康太にも縋りたい、て思ってた時期もあったけど、心は那由多だもん。」
「……………。」

 暫く沈黙が流れる。
 両親の説得も応じるつもりもない京。
 
「…………康太君。」

 沈黙を破ったのは父だった。

「はい。」
「こんな事をお願いするにはおこがましいんだが、君が京を好きでいるなら、諦めないで欲しい。那由多から京を守ってくれ。」

 父は康太に頭を下げるのを見た母も頭を下げた。
 母のそれは、父と同意見と見ていい。

「勿論です。任せて下さい。」

 康太も両親に頭を下げたのだった。


 両親はこの後、那由多に会いに行くといい、泊まってから帰るつもりらしい。
 両親は京も心配だが、那由多への心配もしているのは親として当然だった。
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