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嫉妬
しおりを挟む翌日。
朝まで結果的に抱き合った京と那由多。
あくびが止まらないまま、家事を熟していく京。
「眠そうだが、大丈夫か?出かけて………。自分の部屋で寝たらどうだ?」
那由多は掃除機を掛けながら、京を心配する。
「………でもレポート締切りが近いの……少しでも進めなきゃ……。」
「じゃあ、昼まで寝てろ。食器洗いや洗濯はやれるから。」
「………じゃ、お願い………。」
京はスマホにアラームをセットし、部屋に篭った。
「そんなに切羽詰まるレポートなんか?」
睡眠時間を削らせてしまったのは、那由多であり、京である。
予定を直前に変えるのはあまり好きな事ではない京を知っている那由多は、京をフォローしたのだった。
昼頃に起きてきた京は、昼食を作りにリビングに出て来た。
リビングに那由多が居ないので、部屋だろうと思った京は、昼食を手早く準備する。
「那由多、お昼ご飯食べよ。」
部屋をノックしてドアを開けてると、やはり集中して机に向かっていた。
「那由多~。」
「………あぁ、起きたか。もう昼?」
「うん、ご飯食べよ。」
昨夜の食事の時と違い、那由多は黙々と食べる。
余程集中して、コンペの案を考えてるのだろう。
京も集中している那由多に無理に話掛けなかった。
「じゃ、行ってきます。」
「気を付けてな。」
「うん。」
昨夜、那由多に散々抱かれながら、また今日他の男の元へ抱かれに行かなければならない京。
康太のマンションに行くのは気が重かった。
何故なら、嫉妬に狂う抱き方をする時があるからだ。
(…………頻繁ではないにしろ、寝不足もあるから、ちょっとキツいなぁ、今日。………でも、バラされたくない……那由多には絶対に。)
バレるなら、早い方が良かったんだろう、と京は今になって思う。
レイプされた、と那由多に泣きつけば、康太との関係は無くなったのだろう、と。
だが、既に2年続けている。
那由多とはヤラないSEXも知った京は、今知られては尚更堕ちるしかないと感じるからだ。
ピンポーン
【はい。】
「京だけど。」
【今開ける。】
ガチャ………。
「…………。」
「……何?」
「目の下のくまが凄いんだが?」
「メイクで隠せなかったのよ。嫌なら帰るよ?」
「そうじゃない。」
「!!!」
バンッ!
玄関先でのやり取り後、いきなり腕を引っ張って中に押し込む康太は、玄関のドアに京を押し付けた。
「昨夜は随分と楽しんだんだな、那由多と。ヤッた後、しっかり身体洗った?」
「………朝、シャワー浴びたわよ!」
「キスマークもこんな見える所に付けさせてもらった訳だ。」
「…………付けさせて、て……私は那由………うぅん!!」
くちゅ………くちゅ………。
「んっ…………はぁ…………こ………た……。」
「………腹立つよ、京が那由多に抱かれるの。そして、京が那由多の物だって言うのも!」
「………康太……。」
「なぁ、那由多に抱かれる間、少しでも俺の事考える事あるか?愛撫の仕方も違うだろ?どっちが上手いよ?なぁ?」
「…………考えるよ、でも上手い下手なんて気にした事ない……。」
「………なぁ、いつまでこんな事続けて行くんだ?いい加減那由多と別れろよ!兄貴だろ!那由多は!」
「……………覚悟………決めてる……。私達は闇に堕ちたの。兄妹で産まれてどれだけ悔んだか………好きで好きで、兄だと思った事なくて、お兄ちゃん、て呼びたくなくて……那由多が私に悩み悩んで告白してくれたのも嬉しくて、2人とも初めての相手で嬉しかった。…………ごめんなさい、私康太との事を那由多に知られたくないの。もう遅いわ…………もし、那由多への気持ちに気付く前に康太に会っていたら、康太に惹かれてたかもしれないけど、結局那由多を選ぶと思う。」
「……………結局、バラされたくないだけで、身を削ってるだけだと?………ふざけるなよ!俺がどれだけ京に好きだ、て伝えてきたよ!手段選ばず、身体を奪っても、那由多にバラすつもりなんてねぇよ!バラしたら俺が京に会えなくなるだろうが!」
ドカッ!
康太は壁を殴る。
京も康太の気持ちが本気でストレートにぶつけて来る事は分かっている。
飽きてくれるのを願っていた。
当初は飽きたら関係を終わらせると言っていたからだ。
「………私、康太の事好きだよ。でも那由多以上にならない………。気持ちは凄い揺れたの、今でもグラつく………一般的には認められない相手を好きになるより、康太に行ければ、て思ってる………康太を傷付けてるのも分かってるの………。」
ぽろぽろと涙を溢し、本音をぶちまける京。
那由多に言った言葉も本心で、康太への言葉も、唯一那由多との事を知る人だからこそ話せるのだ。
「那由多は知らないんだろ?俺との関係。」
「言えない………。昨日も今後の事を話たわ。」
「で、この目の下のくまか?」
「実家に一生戻らない、両親と一緒の墓には入らない、結婚しない、子供も作らない……覚悟を並べられた。」
「それでいいのか!京!女なら結婚したいと思うだろ?子供産みたい、て思うだろ!」
「……………だって……。」
京はその場に座り込む。
「私が別の男に抱かれた事を想像すると、子供が出来たら、狂うって。」
「…………京、駄目だ!そんな事!幸せになれないだろ!不毛だ、て言ったろ?別れろ!那由多と!」
「…………。」
京は首を横に振るだけだった。
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