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那由多の計画
しおりを挟む那由多が上京し、実家に全く帰って来なくなった。
レポート提出で忙しい、試験前で忙しい、と言い、家庭教師のバイトも入れたから帰れないと、何かと理由を付けて帰って来なかった。
帰って来るのは、長期休みの時だけの帰郷。
那由多は帰る訳にはいかなかった。
京との関係を両親に知られず、遠距離での付き合いを続けていたのだ。
家には帰らなかっただけで、京には会いにきていた那由多。
そうして、何とか2年過ごしていたのである。
そして、京の受験シーズンが突入する。
「何で?東京の大学受験したい!先生は狙える、て言ったよ?」
「駄目よ、受験するなら関東以外の大学にしなさい。」
「だから、どうして!東京でいいじゃん!お兄ちゃん居るし、一緒に住ませて貰えれば家賃だって、生活費だって負担掛からないでしょ?」
「とにかく駄目。」
「お母さん!!」
駄目の一点張りなのは、母が那由多と京の関係を疑っているからなのは分かっている。
「じゃあ、お兄ちゃんと別の所に住めばいいでしょ?安いアパートで良いから、受験させてよ。」
「何故東京に行かなきゃならないの?こっちの大学でも同じ勉強が出来るじゃない。」
「……………私、勝手にするからね。受験しても受かるか分かんないし。」
京は自分の部屋に閉じ籠もり、那由多に連絡を取る。
「お母さん、東京の大学受験するな、て。那由多が居る所は駄目の一点張り。」
京がチャットすると、時間をそれ程開けず、那由多からの返信。
「やっぱりまだ疑ってるんだな、仕方ない【彼女】作るか。」
「【彼女】て何?」
「俺に【彼女】の存在が居れば、母さんも疑わないだろ、て事。京には悪いが、【レンタル彼女】を用意するから待ってろ。何とか京は受験だけさせてくれ、と言って、そっちの大学も滑り止め程度の大学をいくつか願書出しておけよ。東京の大学の方にも願書出しとけよ。そっちは力試しだとか、とでも言っとけ。」
「分かった。」
「受験勉強頑張れよ。こっちで待ってるから。」
「うん。」
チャットが終わると、参考書や辞書を開き、受験勉強を始める京だった。
そして、見事に東京の大学を合格し、それに合わせて、那由多は2LDKのマンションに引越した。
契約に両親の承諾が要るという理由で、那由多は両親を東京に呼出し、【レンタル彼女】を会わせたのだった。
「那由多、彼女と住むつもりなの?」
「違う違う。京がこっちの大学に合格したんだ、どうせなら一緒に住んだ方が都合良いだろ?オートロックマンションだし、京だってその方が安心だろ?彼女も独り暮らしだし、そっちに入り浸るかもしれないけど、俺もバイトで家賃払えるぐらいある程度稼いでるから、生活面も何とかなるよ。」
「バイト、て家庭教師か?」
「あぁ、後投資と、塾講師。」
「お前……いつの間に……。」
両親を納得させる程の言い連ね、反対要素を言わせなかった那由多に、両親は折れざる得なかった。
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