5人の旦那様と365日の蜜日【完結】

カイエン・シュザリアの婚約

　シュザリア国にゲーデル国から書簡が届く。国交はあるが、友好国とまではいかない隣国同士、その王族から王族へ書簡が届くのは珍しかった。

「ゲーデル国の王女の婿探しだと？」
「あぁ、確か王女が1人居ましたね………公の場には一切出てこないという、謎多きゲーデル国の王族……出てくるのは、女王の父の前国王ばかり………何故退位してから公の場に出てくるのか不思議でした」

　シュザリア国王と、第1王子の会話がシュザリア王城の一室での会話。

「あの国は不思議な歴史がある。水神が居るという湖の上に城を建て、水神を守っているとかなんとか……」
「王族が水神の血を受け継いでる、とかとでも？」
「分からん………確か今の女王が即位する時もこんな書簡は来たな………私は結婚したばかりではあったし、条件が子沢山の家系の息子を望む、とあってな」
「身分は関係ないと？」
「そうだ」

　隣国でもその国の歴等、全く興味がないらしい。お互い裕福な国で、侵略等考えていなかったのが幸いだったのだろう。

「父上、シュザリアから1人送ってみては如何でしょう」
「………探れ、と？」
「はい……………あわよくば、我等にも水神の加護が獲られるかな、と」
「シュザリアの王子を婿にやり、その子を婿になった者と子を戻せば、その子は水神の加護が獲られるかもしれんな」

　実質、そんな簡単な物では無いのだが、シュザリアは分からない。シュザリアの王子は4人居る。王太子である第1王子は既に妃が居り不可能。第2王子は留学中、第3王子カイエンは対象の王女の2つ上の歳だった為、白羽の矢が当たった。

「カイエンを呼べ」
「カイエンにされるおつもりで？」
「年齢もカイエンは王女の2つ上だ、年下夫より良かろう。16歳にならねば結婚出来ぬ国だからな………時期を考えればカイエンが適任だろう」

　暫くして、カイエンが呼び出しに応じ、部屋に来る。

「お呼びでしょうか、父上」
「お前に縁談の話がある………と、言ってもまだ婚約出来るかどうかも分からん。お前が気に入るか、気に入られるかも分からないのだからな」
「…………シュザリアの令嬢ですか？」
「ゲーデル国、第1王女メリッサ……向こうは婿として望んでおる。現国王にはメリッサ王女しか世継ぎが居らん………これが肖像画だ」

　王から見せられた肖像画でカイエンはひと目で気に入る。

「か、か、可愛い…………」
「本当だ、美少女ですね………銀髪にアクアブルーの瞳………これなら引く手数多な筈……」
「カイエン、この王女の婿になり子を成した後、その血脈をシュザリアになんとしても入れろ」
「そ、それは娘を産ませ、嫁入りさせろ、と？」
「そうだ……その王女の夫となって来い！」
「…………分かりました、必ず彼女と結婚してみせます」

　シュザリアは、ゲーデルの事を全く分からずにいたのである。その為、カイエンにも何も指示を出さなかった。ただ、夫となりシュザリアとの子を産ませるように、と。
　そして、カイエンはメリッサに会いたいが為、ゲーデルにやって来た。夜会で初めて実物を見たメリッサは、婚約者であろう3人の男達に囲まれて入場する。アクアブルーの瞳に合わせた色の清楚な印象のドレスに身を纏い、カイエンをまた恋に落とさせた。しかし、夜会が終わり暫くして時間を作るというので、案内されたメリッサの部屋へ行くと、カイエンは度肝を抜かれる。何故なら、メリッサの姿が夜会の時とは違い、ビスチェにレースの下着、肩からシースルーのキャミソールだったからだ。胸を曝け出し、足を色っぽく組みカイエンを迎えた。カイエンは目のやり場に困り、顔を赤らめるが、その姿にメリッサも照れている。

「メリッサ様、カイエン殿下とのお話中ですよ………逸しては失礼です」
「あ、いや…………女性のその姿を見るのは………な、馴れて……いや、むしろ初めてで………すまない……メリッサ王女……」
「………い、いえ……」
「予め申しますが、メリッサ王女は乙女ではありません。婚約の儀で乙女では無くなりました。ご存知だと思いますが、メリッサ王女は数多くの夫から、子種を貰わなければならないので、私や他の男達と共に房事を行います。王子としてのご身分が邪魔になりはしませんか？」
「…………覚悟の上だ……私はメリッサ王女の肖像画を見て、メリッサ王女に恋をした。手に入れる方法がコレしかないなら、ゲーデル国のしきたりに則る」
「…………ゲルニカ、オルサガ、私は異論ありませんが、如何ですか？」
「俺はいいぜ」
「俺はまだ候補だからな、俺に意見求めるなら構わないし、フェルドマンが良いと言うなら従う」
「…………メリッサ……宜しいですね？」
「…………カイエン王子……宜しくお願いします」

　メリッサは頭を下げた。カイエンを婚約者候補として迎える事に決まった。
　その後は場所を移動し、カイエンは更に驚愕する。房事を3人で始めたからだ。カイエンは初めて見る女体。身体中の血が駆け巡り、一点に集中する。勃起した身体は、恋した相手に早く触りたかった。この身体に触れるなら、他の男と共有も我慢しようではないか、と。それ程、婚約者2人に触れられるメリッサは年下なのに、妖艶で淫靡な魔性の女だったのだ。
　フェルドマンから、シュザリアの認識を聞かれ、ゲーデルとは全く違う認識だったと知ったカイエン。子供が産まれにくいというのに、その子をシュザリアにというのは難しいのでは、とさえ思い、メリッサを守る為に、隠し育てていた意味さえも納得したカイエン。今後シュザリアへの報告は、本当の事は隠すと決めたカイエンだった。