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4人目の婚約者は他国の王子
しおりを挟むフェルドマンとゲルニカとの婚約から2ヶ月。久し振りに普通のドレスを着ているメリッサ。城の執務室にメリベルと祖父アドルフが用事があると言うので、フェルドマンと共にやって来た。
「お、お母様がドレスを着てる!!」
「あぁ、もう生命力の部屋には用事はないからな、あの姿は脱ぎ着の手間を考えただけだ」
納得した。夫の近くに居て、魅惑的な姿であればそれだけ事に流れ込めるというのを。そして、執務室迄の通路を見た時に、数多くの臣下や役人が居て、王族の立場を無くしかねない姿では駄目だよね、という事のようだ。暗黙の了解で、王族がナニをしているか、なんて分かってはいるのだが。でなければ、フェルドマンやアルメニア夫人、教育として教わらなければ見に付かない筈だから。そして、女王のメリベルが執務をし始めたという事は世代交代が近いという事も暗黙の了解だった。
「メリッサ、今日呼び出したのは新たに婚約者候補になりたい、と申す者が国外から申し出があってな」
「パーティーとかでまた集団お見合いをするのですか?」
「いや、その方の身分でそれは無い。その方は隣国シュザリア国の第三王子だからな」
「王子様?」
「そうだ、来週には来られるから、失礼の無いようにな」
「あ、あの陛下」
フェルドマンが申し訳なさ気に声が出る。
「如何した?モートン・フェルドマン」
「差出がましく発言質問申し訳ありません、陛下」
「構わん、話せ」
「は、はい………もし、メリッサ様の婚約者となり、結婚となれば身分から申せば、第1夫となるのでしょうか?」
「…………シュザリアにも話はしてあるが、基本的には婚約した順からで、メリッサの執事の其方が第1夫とはなる事は変わりない。其方がメリッサと結婚したらな?夫内では、その順番が優先にはなる。ただ夫内で身分云々という問題があるなら話合えばいい。地位等は王族の配偶者は元々入らないからな、それぞれ仕事を持ち、その地位が世間では物を言うから、紛らわしいかもしれん。それでもシュザリアの第3王子はメリッサを気に入ったらしくてな、夫となった所で、政務には携わらない、と伝えた上で、了承を得ての訪問だ」
「………婚約者候補として、あの……見られる………ですか?」
「シュザリアは我がゲーデル国の水神の恩恵に肖りたいんだろう、何としてもメリッサに気に入られようとするだろうな……ゲーデル国もシュザリアと国交の架け橋にもなるし、もしメリッサが第3王子に似た子を産めば、シュザリアにとっては嬉しかろう」
「分かりました、ではその日迄、今迄以上のメリッサ様に仕上げておきましょう」
「…………ふっ……流石フェルドマン家の息子だ、楽しみにしている」
そうして、シュザリア国第3王子、カイエンが到着する。初日はゲーデル国主催の夜会が行われた。メリッサも露出の控え目のドレスでカイエン王子を出迎える。16歳だという王子は、ウェーブ掛かった茶色い髪の端正な顔立ちの美少年だ。
「メリッサ王女、この度はシュザリアからの申し出を受けて頂きありがとうございます」
「…………初めまして、カイエン王子……えっと………本当に良いのですか?」
「はい、そのつもりで会いに来ましたから……それに既にご婚約もされているとか……その中に少しでも私の場所があれば幸いです」
カイエンはメリッサの前で一礼する。夜会の後は、個人的に時間を貰い、婚約候補にするかを決める。最終的判断はフェルドマンに任せたメリッサ。何故ならメリッサの判断力よりフェルドマンの観察力が勝り、言いくるめられ揉めるのだ。ゲルニカもフェルドマンの意見にほぼほぼ賛成になる為任せてしまう。
「ふあぁぁ………」
「眠いですか?メリッサ」
「………だって、夜出来なくなるから、て朝にも昼にも房事したから……」
「夜は、オルサガも参加しますから、休めませんよ、ゲルニカも今日、1回しか注いでないですから、オルサガと私に見せて下さい」
城の私室で、カイエンを待つメリッサと、フェルドマン、ゲルニカ、オルサガ。
「フェルドマンはしないのか?」
「私は、朝と昼に3回程注がせてもらいましたから、今日は満足です」
「体力ないな……フェルドマン」
「一般的でしょう………ゲルニカやオルサガは騎士ですし、体力あるから抱き潰さないで下さいね」
うつらうつらしている背後で、そんな話をしている男達。すると扉のノックがされる。オルサガが扉を開け、カイエンを招き入れた。カイエンの護衛も居たが、彼らは扉の入口待機にしてもらい、そこから見えるソファに案内をした。カイエンがソファに座ると目を見開く。何故なら、メリッサの姿が夜会の時とは違い、ビスチェにレースの下着、肩からシースルーのキャミソールだったからだ。胸を曝け出し、足を色っぽく組みカイエンを迎えた。
「申し訳ありません、カイエン王子………護衛兵を遠ざけたのは、こういう姿なので……」
「い、いえ………あ、あの婚約者殿はその姿で何も言いませんか?」
「はい、この姿をさせたのが、婚約者のフェルドマンとゲルニカなので……後ろに控えるのは、婚約者候補のオルサガです」
「モートン・フェルドマンと申します、メリッサ様の専属執事をしておりまして、そのまま婚約者になりました」
「モートン・ゲルニカと申します、騎士隊長をしております」
「オルサガ・タスマンと申します、ゲルニカとは別の騎士隊長をしております、まだ候補の身ではあります」
目の前のカイエンは、メリッサから目が離せない。メリッサも恥ずかしくなり、目を逸した。
「メリッサ様、カイエン殿下とのお話中ですよ………逸しては失礼です」
「あ、いや…………女性のその姿を見るのは………な、馴れて……いや、むしろ初めてで………すまない……メリッサ王女……」
「………い、いえ……」
「予め申しますが、メリッサ王女は乙女ではありません。婚約の儀で乙女では無くなりました。ご存知だと思いますが、メリッサ王女は数多くの夫から、子種を貰わなければならないので、私や他の男達と共に房事を行います。王子としてのご身分が邪魔になりはしませんか?」
「…………覚悟の上だ……私はメリッサ王女の肖像画を見て、メリッサ王女に恋をした。手に入れる方法がコレしかないなら、ゲーデル国のしきたりに則る」
「…………ゲルニカ、オルサガ、私は異論ありませんが、如何ですか?」
「俺はいいぜ」
「俺はまだ候補だからな、俺に意見求めるなら構わないし、フェルドマンが良いと言うなら従う」
「…………メリッサ……宜しいですね?」
「…………カイエン王子……宜しくお願いします」
メリッサは頭を下げた。カイエンを婚約者候補として迎える事に決まった。
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