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陽太郎の巣作り
7※(完)
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「陽太郎さん、いつもどおりです。激しいことはしませんから。優しくします」
耳元で斗貴哉の声が聞こえる。
俺は斗貴哉の匂いに包まれて、体の中の燻りが、火がつくようにしだいに熱を帯びていく。
ああ、これがヒートなのか。体があちーなってブランケットを体から落とすと、斗貴哉の動きが止まった。
「——陽太郎さん、その格好はちょっと官能的すぎますね」
「官能的? 何が」
ああ、そうだった。タキシードを脱ぎ捨てて、俺は今シャツとパンツにガーターしか身につけてなかったんだった。
「エロい?」
「ええ、私の目には十分エロいですよ」
キスをする斗貴哉の手が、シャツの裾から俺のボクサーパンツに伸びて、そっと撫で上げた。
先端を指先で擦られ、俺の体がビクンと敏感に反応し、そこでやっと自分が勃起していることに気がついた。
「……もう、少し先が滲んでいますね」
確かに斗貴哉の指が当たったところがペトッとする。
でもそれよりさっきから、後ろのほうが妙に濡れているような気がして落ち着かない。
「ん……それより後ろが、なんか変……」
ソファの背もたれに凭れかかり、片足を斗貴哉の肩に乗せると、斗貴哉は目を少し細めて俺を見下ろした。
あー……これ、アルファの目だ。アルファがオメガを見る時の目。獣が罠にかかった獲物を見るような目つき。 ゾクゾクする。
「陽太郎さん、私を煽ってます? 私、これでも結構我慢しているほうなんですけど」
そう言いながら俺の目を見ながら、斗貴哉はボクサーパンツについたシミを指でなぞった。
煽ってない。煽ってないけど、ものすごくゾクゾクする。初夜の時はただ怖いだけだった、アルファの顔をした、しとやかさも上品さの欠片もない、オスの顔をした斗貴哉。でも今はその顔がたまらなく下半身にくる。
「ん、もう我慢しなくていいからさ。って、俺のここどうなってる?」
自分で尻のほうを指し示すと、斗貴哉がさらに目を細めて「濡れてシミになっていますよ」と今にも噛みつきそうな顔をする。
後孔の分泌液の増加。それは発情したオメガの証。
あーもうダメだ俺。
はやく斗貴哉とやりてぇ。
俺が両足を斗貴哉の首に絡めると、怒ったような顔で、その場で身につけていたカマーバンドとシャツを脱ぎ捨て、スラックスを半分ずらし、中から猛り切ったペニスを取り出した。
そして俺の足を首に絡めたまま、尻からボクサーパンツをずらすと、そのぷっくりと亀頭球が浮き出たペニスを、剥き出しになった後ろの穴に押し当てた。
斗貴哉からアルファの濃いフェロモンが溢れ出す。
俺の好きな斗貴哉の匂い。
俺は思いっきりそれを胸に吸い込む。
「本当にもういいんですね。煽った陽太郎さんが悪いんですよ」
ブスッと不機嫌そうな顔のまま、俺の中に先をめり込ませ、穴が押し広がると同時に俺の体は歓喜に震えた。
「あっ――……! 斗貴哉ぁっ! 奥、奥もっと」
涎を垂らしグチュグチュといやらしい音をたてながら、俺はもっともっととおねだりする。
亀頭球が中のいいところを、斗貴哉が腰を動かすたびに抉っては擦り付け、その度に俺の口からは悲鳴があがり、ペニスからは透明な汁が噴き上がる。
もうなんどイッただろう。
俺の精巣は空っぽで、もう精液なんか出るはずないのに、萎えたペニスの先からイクたびに透明な液体がトロトロと溢れ出る。
完全にラットに入った斗貴哉は、俺の中で何度も果てながらも、その亀頭球が小さくなることはなく、その日は朝が来ても俺たちは互いの体を貪り続けた。
「なあ、斗貴哉。俺、妊娠すんのかな」
いつの間にか移動した寝室のベッドの上で、俺は仰向けになって腹を擦った。
そこはまだ、斗貴哉の精液がたっぷり注ぎ込まれたままだ。
「ふふ、どうでしょうね。——妊娠は嫌? それとも怖い?」
「んー……嫌っていうか、自分が妊娠するとかって全然実感ないんだけど。だからマジで妊娠すんのかなって」
「……オメガになったからって、必ずしも妊娠するとは限らないです。でもヒート時のオメガの妊娠率は高いと聞きます。とくに番のアルファとの行為はね」
俺は首の後ろに手をやった。
俺からは見えないけど、少しひりついた痛みが、そこに噛み跡があることを示していた。
(俺、いつか妊娠すんのかな)
全然良く分かんね。
ぼんやりと、天井に嵌め込まれたシーリングライトから漏れ出る淡い光を眺める。
もしそのいつかが来たら、俺はヒカルに相談しよう。
宮前とは二度と会いたくないけど、きっとヒカルならどうしたらいいか教えてくれるだろう。
(ヒカルに、優しくしてやれなかったこと、謝んないとな)
横を向くと、そこにはシーツに髪を散らし、美しく微笑む斗貴哉がいる。
目が合うと斗貴哉が腕を伸ばし、俺を優しく抱き寄せる。そして俺はされるがまま、胸いっぱいに斗貴哉の匂いを吸い込んだ。
完
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
耳元で斗貴哉の声が聞こえる。
俺は斗貴哉の匂いに包まれて、体の中の燻りが、火がつくようにしだいに熱を帯びていく。
ああ、これがヒートなのか。体があちーなってブランケットを体から落とすと、斗貴哉の動きが止まった。
「——陽太郎さん、その格好はちょっと官能的すぎますね」
「官能的? 何が」
ああ、そうだった。タキシードを脱ぎ捨てて、俺は今シャツとパンツにガーターしか身につけてなかったんだった。
「エロい?」
「ええ、私の目には十分エロいですよ」
キスをする斗貴哉の手が、シャツの裾から俺のボクサーパンツに伸びて、そっと撫で上げた。
先端を指先で擦られ、俺の体がビクンと敏感に反応し、そこでやっと自分が勃起していることに気がついた。
「……もう、少し先が滲んでいますね」
確かに斗貴哉の指が当たったところがペトッとする。
でもそれよりさっきから、後ろのほうが妙に濡れているような気がして落ち着かない。
「ん……それより後ろが、なんか変……」
ソファの背もたれに凭れかかり、片足を斗貴哉の肩に乗せると、斗貴哉は目を少し細めて俺を見下ろした。
あー……これ、アルファの目だ。アルファがオメガを見る時の目。獣が罠にかかった獲物を見るような目つき。 ゾクゾクする。
「陽太郎さん、私を煽ってます? 私、これでも結構我慢しているほうなんですけど」
そう言いながら俺の目を見ながら、斗貴哉はボクサーパンツについたシミを指でなぞった。
煽ってない。煽ってないけど、ものすごくゾクゾクする。初夜の時はただ怖いだけだった、アルファの顔をした、しとやかさも上品さの欠片もない、オスの顔をした斗貴哉。でも今はその顔がたまらなく下半身にくる。
「ん、もう我慢しなくていいからさ。って、俺のここどうなってる?」
自分で尻のほうを指し示すと、斗貴哉がさらに目を細めて「濡れてシミになっていますよ」と今にも噛みつきそうな顔をする。
後孔の分泌液の増加。それは発情したオメガの証。
あーもうダメだ俺。
はやく斗貴哉とやりてぇ。
俺が両足を斗貴哉の首に絡めると、怒ったような顔で、その場で身につけていたカマーバンドとシャツを脱ぎ捨て、スラックスを半分ずらし、中から猛り切ったペニスを取り出した。
そして俺の足を首に絡めたまま、尻からボクサーパンツをずらすと、そのぷっくりと亀頭球が浮き出たペニスを、剥き出しになった後ろの穴に押し当てた。
斗貴哉からアルファの濃いフェロモンが溢れ出す。
俺の好きな斗貴哉の匂い。
俺は思いっきりそれを胸に吸い込む。
「本当にもういいんですね。煽った陽太郎さんが悪いんですよ」
ブスッと不機嫌そうな顔のまま、俺の中に先をめり込ませ、穴が押し広がると同時に俺の体は歓喜に震えた。
「あっ――……! 斗貴哉ぁっ! 奥、奥もっと」
涎を垂らしグチュグチュといやらしい音をたてながら、俺はもっともっととおねだりする。
亀頭球が中のいいところを、斗貴哉が腰を動かすたびに抉っては擦り付け、その度に俺の口からは悲鳴があがり、ペニスからは透明な汁が噴き上がる。
もうなんどイッただろう。
俺の精巣は空っぽで、もう精液なんか出るはずないのに、萎えたペニスの先からイクたびに透明な液体がトロトロと溢れ出る。
完全にラットに入った斗貴哉は、俺の中で何度も果てながらも、その亀頭球が小さくなることはなく、その日は朝が来ても俺たちは互いの体を貪り続けた。
「なあ、斗貴哉。俺、妊娠すんのかな」
いつの間にか移動した寝室のベッドの上で、俺は仰向けになって腹を擦った。
そこはまだ、斗貴哉の精液がたっぷり注ぎ込まれたままだ。
「ふふ、どうでしょうね。——妊娠は嫌? それとも怖い?」
「んー……嫌っていうか、自分が妊娠するとかって全然実感ないんだけど。だからマジで妊娠すんのかなって」
「……オメガになったからって、必ずしも妊娠するとは限らないです。でもヒート時のオメガの妊娠率は高いと聞きます。とくに番のアルファとの行為はね」
俺は首の後ろに手をやった。
俺からは見えないけど、少しひりついた痛みが、そこに噛み跡があることを示していた。
(俺、いつか妊娠すんのかな)
全然良く分かんね。
ぼんやりと、天井に嵌め込まれたシーリングライトから漏れ出る淡い光を眺める。
もしそのいつかが来たら、俺はヒカルに相談しよう。
宮前とは二度と会いたくないけど、きっとヒカルならどうしたらいいか教えてくれるだろう。
(ヒカルに、優しくしてやれなかったこと、謝んないとな)
横を向くと、そこにはシーツに髪を散らし、美しく微笑む斗貴哉がいる。
目が合うと斗貴哉が腕を伸ばし、俺を優しく抱き寄せる。そして俺はされるがまま、胸いっぱいに斗貴哉の匂いを吸い込んだ。
完
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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