上 下
12 / 24

12※

しおりを挟む
「——……ひぃん!!」 

「痛くないように、潤滑油を使っただけですよ」 


 やたら滑りのよくなった斗貴哉様の指が、俺の中で動き回る。 

 内側を擦り上げながら、指が何度も出し挿れされ、そのなんとも言えない気持ち悪さに、腰を浮かせたり捻ったりしてみるが、なんの効果もない。 

 俺はそれに耐えようと体を固くしていたが、指が2本になる頃には、だんだんと気持ち悪さは薄れ、頭がぼーっとし始めた。 


(あ——なんだこれ。腹の奥がじんじんしてくる) 


 斗貴哉様の指がゆっくりと抜き差しされ、時折折り中の敏感なところを抉るように擦りあげる。 

 その度に俺の口からは悲鳴のような声が漏れ、こみ上げる快感にどうしようもなく体を反らし、腰を揺らした。 

 俺の頭は完全に快楽に支配され、もうイクこと以外何も考えられなくなっていた。 


「あっ、あっ、そこ、指、そこイイ……っ斗貴哉、様……」 

「ふふ、可愛いな陽太郎さん。ここも良くなってきました? でもイクのはまだだめ。今日は初夜ですからね。まだまだこれからですよ。——ああ、そうだ話の続きを。そう、なぜアルファがアルファを誘惑するのかってところまででしたよね」 


 斗貴哉様が俺に話しかけている。 

 でも俺の意識は斗貴哉様の指に翻弄され、頭に入ってこない。 


「あっあっ……いい、そこ…………あっ」 

「強いアルファを確実に生むには、やはりアルファ同士が1番でしょう? でも女性のアルファが少ない中、アルファ同士が結ばれることも、アルファ同士が子供を作ることもかなり難しい。ああ陽太郎さんのご両親はアルファ同士でしたね。とても珍しいのですよ、アルファ同士で二人も子供をもうけることは。さぞ、仲がよろしいのでしょうね」 

「は————…………あっ」 


 羨ましいと、斗貴哉様が耳元で囁く。 

 耳朶に吐息がかかり、やんわりと滑った舌と歯の感触がして、背筋から腹にかけて痺れるような快感が走った。 


「——ひっ! やだっもうっ~~! 後ろやだっ! 離してくれって……離せ!」 


 耳を噛まれてちょっと覚醒した俺は、これまで味わったことのない得体の知れない快楽に怖くなって、その強い体の下から抜け出ようと必死でもがいた。 


「陽太郎さんは元気ですね。あー……でも涙が。初めてだし、怖いのは当たり前ですよね。ごめんなさい。怖がらせて。大丈夫ですよ、痛くしませんから」 


 斗貴哉様が俺の頬に手を添え、チュッと音を立ててキスをする。 

 俺は瞬間ギュッと目をつむり、次に開けたとき、俺のまつ毛は涙の雫で濡れていて、そこでようやく、恐怖からか、はたまた不本意な快楽のせいか、自分が泣いていたことに気がついた。 


「ふふ、普段強がってる子が泣く姿もまた愛らしいですね。——私はね、陽太郎さん。狙ったアルファの男をオメガにすることができるんですよ。こうして相手を発情状態にさせて、相手がイクときに首筋を噛むんです。そうやって相手をアルファからオメガに転換させることができるんですよ」 

「——うそ、なにそれ……」 


 俺の口から引きつった声が出る。 

 斗貴哉様の言っている意味が、うまく理解できない。 

 アルファをオメガにだって? 


「嘘じゃないですよ。それが花咲家の擬態オメガだけに与えられた能力なんです。といっても、まだ私も試したことはないので半信半疑ですが。でも同じ擬態オメガだった祖父はこうやってアルファの男を妻にし、孕ませました。あなたを発情させられたということは、可能なはずです。私が産むはずだった子を、あなたが産むんですよ、陽太郎さん」 


 俺に覆いかぶさるようにして、斗貴哉様はとても美しく笑った。その微笑みは恐ろしいほどに美しく、そしてあまりに妖艶で、斗貴哉様から垂れ下がる絹のような艶やかな黒髪は、まるで俺を閉じ込める鋼の檻のようだった。 


「い、いやだ……! 俺はオメガになんかならない……!」 

「——ああ、かわいい陽太郎さん。その表情は本当にそそりますね。見てください。私のものもこんなに」  

「——ひ」 


 俺の上で膝立ちになった斗貴哉様がガウンの裾を広げると、そこには線の細い斗貴哉様とはひどく不釣り合いな、あまりに太く長い、それこそ肉棒と呼ぶのに相応しい巨大なものがそそり勃っていた。 


「や、やだ……」 

「ほら、陽太郎さん。触ってみて。ね、ここ膨らんでるでしょう? 私も発情してるんですよ」 


 俺の手を無理やり掴んで、やや上気した顔の斗貴哉様は発情したアルファの証を触らせた。 

 コリッとした膨らみが指に触る。亀頭球だ。人のを見るのも初めてだし、訳分かんなくて信じられないけど、本当に斗貴哉様はアルファなんだと、さっきの話は本当なんだと、はっきりと自覚させられ、俺の目にまた涙がじんわり滲むのを感じた。 


「これがあなたの中に入ると、もっと大きく膨らむんです。あなたがオメガになれば、延々と種付けできますね」 

「……そんなデカイやつ、入らない」 


 泣いているせいで、鼻がグズッと音をたてる。 


「大丈夫。さっきしっかり慣らしましたから。……ねえ、陽太郎さん。私はもう我慢できないんです。ああ、これからあなたの中に挿入はいれるかと思うと私は……」 

「やっ………………ひっ——んん…………!」 


 斗貴哉様からのキスに、口を閉じて拒絶を試みたものの、ペニスをいきなり握られた俺は思わず声を上げ、そこに舌がスルリと滑り込んできた。 

 口内を探り舌を絡み取られ、強く吸われているとまた頭がぼんやりとしてくる。 


 恐怖と快感が俺の中でせめぎ合う。 

 泣くほど怖いのに、差し出された舌に抵抗できず、導かれるようについ舌を絡めてしまう。 


「ん——……もしかして、こういうキスも初めてだった? ぎこちないのも初々しくて可愛いね。ああ嬉しいな、陽太郎さんの初めてをたくさん貰えて」 


 ——完全に斗貴哉様にのまれていた俺は、もうただ夢中で斗貴哉様の舌を吸い、自ら腰を振って硬くなったペニスを斗貴哉様のペニスに擦りつけていた。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【番外編】ナストくんの淫らな非日常【R18BL】

ちゃっぷす
BL
『清らかになるために司祭様に犯されています』の番外編です。 ※きれいに終わらせたい方は本編までで留めておくことを強くオススメいたします※ エロのみで構成されているためストーリー性はありません。 ゆっくり更新となります。 【注意点】 こちらは本編のパラレルワールド短編集となる予定です。 本編と矛盾が生じる場合があります。 ※この世界では「ヴァルア以外とセックスしない」という約束が存在していません※ ※ナストがヴァルア以外の人と儀式をすることがあります※ 番外編は本編がベースになっていますが、本編と番外編は繋がっておりません。 ※だからナストが別の人と儀式をしても許してあげてください※ ※既出の登場キャラのイメージが壊れる可能性があります※ ★ナストが作者のおもちゃにされています★ ★きれいに終わらせたい方は本編までで留めておくことを強くオススメいたします★ ※基本的に全キャラ倫理観が欠如してます※ ※頭おかしいキャラが複数います※ ※主人公貞操観念皆無※ 【ナストと非日常を過ごすキャラ】(随時更新します) ・リング ・医者 ・フラスト、触手系魔物、モブおじ2人(うち一人は比較的若め) ・ヴァルア 【以下登場性癖】(随時更新します) ・【ナストとリング】ショタおに、覗き見オナニー ・【ナストとお医者さん】診察と嘯かれ医者に犯されるナスト ・【ナストとフラスト】触手責め、モブおじと3P、恋人の兄とセックス ・【ナストとフラストとヴァルア】浮気、兄弟×主人公(3P) ・【ナストとヴァルア】公開オナニー

召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる

KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。 ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。 ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。 性欲悪魔(8人攻め)×人間 エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』

【完結】【R18BL】異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました

ちゃっぷす
BL
Ωである高戸圭吾はある日ストーカーだったβに殺されてしまう。目覚めたそこはαとβしか存在しない異世界だった。Ωの甘い香りに戸惑う無自覚αに圭吾は襲われる。そこへ駆けつけた貴族の兄弟、βエドガー、αスルトに拾われた圭吾は…。 「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」の本編です。 アカウント移行のため再投稿しました。 ベースそのままに加筆修正入っています。 ※イチャラブ、3P、レイプ、♂×♀など、歪んだ性癖爆発してる作品です※ ※倫理観など一切なし※ ※アホエロ※ ※ひたすら頭悪い※ ※色気のないセックス描写※ ※とんでも展開※ ※それでもOKという許容範囲ガバガバの方はどうぞおいでくださいませ※ 【圭吾シリーズ】 「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」(本編)←イマココ 「極上オメガ、前世の恋人2人に今世も溺愛されています」(転生編) 「極上オメガ、いろいろあるけどなんだかんだで毎日楽しく過ごしてます」(イベントストーリー編)

魔族に捕らえられた剣士、淫らに拘束され弄ばれる

たつしろ虎見
BL
魔族ブラッドに捕らえられた剣士エヴァンは、大罪人として拘束され様々な辱めを受ける。性器をリボンで戒められる、卑猥な動きや衣装を強制される……いくら辱められ、その身体を操られても、心を壊す事すら許されないまま魔法で快楽を押し付けられるエヴァン。更にブラッドにはある思惑があり……。 表紙:湯弐さん(https://www.pixiv.net/users/3989101)

噛みつきαのしつけ方

風早 るう
BL
オメガバースものです。 噛みつき癖のあるα×お世話係のβ オメガバースの共通設定について調べて書いたつもりですが、曖昧なところがあるかもしれません。 また、かなり独自設定を含みます。 *番編は、男性妊娠の話となります。 苦手な方はご注意ください。 *礼央とシロの息子、礼編(不定期更新)は、無期限休載します。 読んで頂いていた方、申し訳ありませんでした。

モブだけど貴重なオメガなので一軍アルファ達にレイプされました。

天災
BL
 オメガが減少した世界で、僕はクラスの一軍アルファに襲われることになる。

【BL】婚約破棄されて酔った勢いで年上エッチな雌お兄さんのよしよしセックスで慰められた件

笹山もちもち
BL
身体の相性が理由で婚約破棄された俺は会社の真面目で優しい先輩と飲み明かすつもりが、いつの間にかホテルでアダルトな慰め方をされていてーーー

旦那様、お仕置き、監禁

夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。 まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。 色々な話あり、一話完結ぽく見てください 18禁です、18歳より下はみないでね。

処理中です...