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44 逢瀬のとき
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「まあいい、お前に嫉妬されるのもいいものだ。なんせルルーとの時は嫉妬どころか、俺から離れようとしたくらいだからな」
いつもなら俺なんかと身を引こうとするレイズンが珍しく嫉妬心を見せたことが、ハクラシスは呆れながらもなんだか嬉しそうだ。
「どうせもうすぐ騎士団を辞めることになるんだ。王族のことなどこれ以上知らなくていい。深入りすれば俺のようにがんじがらめになる」
そう言いながら横から肩を抱き寄せると、レイズンの口元に唇を落とす。
「……本当に小屋へ帰れるようになるんです? 俺、なんだか無理な気がして」
先ほどまでの話を聞く限りでは、全てを穏便に済ませ小屋に帰るなど、到底無理な気がするのだが……。
「大丈夫だ、俺を信じろ。何とかしてみせる。討伐から戻ってきたら、すぐに帰るぞ。冬支度もあるしな」
そうだ、もうすぐ寒くなる。雪が降るまでに小屋に戻って、薪を用意し保存食を準備しなければ。
そして雪に埋もれた小屋の中で、二人だけの時間を過ごすんだ。
ハクラシスはレイズンの不安を拭い去ろうとするかのように、深く口づけた。
唇を舐め、歯列をなぞり、舌を求め口を開いたレイズンの口内を存分に嬲る。舌を絡めとり、じゅっと吸い上げるとレイズンの口から熱い吐息が漏れる。
「……ん……小隊長殿って、意外とキスが好きですよね」
「……そうだな、相手がお前だからだ。これまではあまりしてこなかった」
口づけが唇から頬へ移動し、そして耳たぶを柔く食むと、レイズンの体がピクンと動く。
「……あ、ちょ、あんまり触られると俺、勃っちゃいます」
耳を嬲られ、さらには体を弄る手に、レイズンの体の中心をゾクゾクとした快感が走った。
「お前は……そんなことを言うと逆効果だと、誰かに教わらなかったのか」
ハクラシスの手が股間を弄り、すでに硬くなりかけの膨らみを指で撫で上げる。
「あ……っ、ちょ、声、声出ちゃいますって! 誰か来たらまずいですよ……っ」
珍しく積極的なハクラシスにレイズンは慌てて止めようとするが、逆にハクラシスに手を掴まれ、背後の木に背中を押し付けられてしまった。
そしてハクラシスは、レイズンの足の間に体を割り込ませ、自身の股間をレイズンの勃ち上がったモノに押し付けた。
何度も繰り返し激しく擦り付けられ、レイズンの硬く敏感になったそこに刺激が走る。レイズンは耐えきれず思わず身をよじった。
「あっ、……は、あ……小隊長殿……!」
こんな風にハクラシスが積極的に体を求めてくることは初めてだ。
いつもは愛撫だけのハクラシスが、服の上からとはいえ自分から体を密着させ、まるでセックスさながらに腰を擦り付けてくるなんて。
その上お互い騎士団の制服姿というのも、仕事中によくないことをしているようで思った以上に興奮を誘う。
(うわ……まずい、なんかすごいクるかも……)
このままではこんな所で、ハクラシスに抜いて欲しいと懇願してしまいそうだ。
何とか股間に与えられる刺激に耐えようと頑張ってはいるものの、体は正直であそこはどんどん硬くなっていく。
そんな快楽の波に押し流され小さく喘ぐレイズンの耳元で、ハクラシスが囁く。
「……しっかり勃ったな。俺が抱いてやれたらいいんだが……」
ハクラシスがレイズンの股間に手を伸ばし、前をくつろげ脱がしていく。
「……へ? しょ、小隊長殿?」
レイズンが「へ? へ?」と困惑している間に、ハクラシスの手によってガチガチに勃ち上がったペニスが下着から引きずりだされた。
熱くなったペニスにひやっとした外気が触れ、瞬間寒気が走りレイズンは尻をよじる。
ハクラシスはレイズンが着ている上着を捲り上げると、月明かりに照らされ浮かび上がった臍の周辺の筋肉を、確かめるように手でなぞり、口づけた。
口では下腹部を愛撫し、片手は剥き出しのペニスを軽く撫でては扱き上げる。
「……んっ」
出したい、抜いてほしいという欲望に抗えず、レイズンは無抵抗のままハクラシスに身を任せた。
「ん……あっ……」
そのまま手で抜いてくれるのかと思いきや、なんとハクラシスは、レイズンが扱かれた刺激に「あっ」と身をよじった瞬間、今にも爆発しそうなペニスの先をガブリと咥えてしまった。
「ひ……えっ! しょ、小隊長殿! あっ! ちょっ、あっ、く……ふ……はあ…………っ」
レイズンは慌てて止めようとした。まさか口で抜いてくれるなんて、思いもしなかったからだ。
これまでも口での愛撫はたくさんしてもらったが、口淫だけはなかった。
だからハクラシスは、こういうことはしない人だろうと思っていたのだが……。
驚いたレイズンが必死でハクラシスの頭を押し退けようとするが、びくともしない。
当のハクラシスはそんなレイズンの慌てぶりなど意にも介さず、最初は先端のすべすべとしたところの感触を愉しむように舌で愛撫し弄んでいた。
だがレイズンが押し退けようとした途端、それを一気に奥まで滑り込ませた。
「……ひ! あっ!! ……っ」
体を走り抜ける快感にレイズンは一瞬悲鳴のような声をあげ、慌てて自分の両手で口を押さえた。
こんな声、人に聞かれたら怪しまれて林の中を覗かれてしまう。
「んっ……!」
ハクラシスの口は奥行きが広いのか、レイズンの完勃ちのペニスをいとも簡単に飲み込んだ。
舌で絡め取られ喉できゅっと吸われるだけで、レイズンは抱え込まれた腰を反射的に前に突き出してしまう。
あのハクラシスが自分のものを咥えているという状況だけでももうかなりヤバい。
ギュッと瞑った目を薄く開けチラッと覗き見ると、自分のモノを咥え頭を上下させるハクラシスが見え、レイズンの腹の奥がギューッと痺れた。
「はっ……あ……、だめですって! ……ひ……やっ、あ……出るから!」
レイズンが抵抗すればするほど逃がさんとばかりに腰をがっちりと押さえ込まれ、もう抵抗すらできない。
(……あー……もう……だめ……)
ハクラシスの容赦ない舌技に、レイズンはあっという間に吐精してしまった。
快楽から解放され一気に脱力したレイズンは、木に凭れかかったまま、口元を拭いながら起き上がるハクラシスを眺めていた。
「……小隊長殿、口の端、ついてます……」
「ん?」
「ここ」
口元に垂れた自分のものを見て罪悪感を感じつつ、レイズンは少し体を起きあがらせて指で拭い取った。
それを今度はハクラシスが懐から出したハンカチで拭く。
そのついでにレイズンの口元も拭いてくれた。
どうやら涎が出ていたらしい。
「結構たくさん出たな。溜まっていたのか?」
「……小隊長殿と会えなかったのに、出す機会なんてないですよ」
ブスッと不貞腐れたような言い方で返すと、レイズンの服を整えていたハクラシスがははっと笑った。
「討伐が終われば、ずっと一緒にいられる。そうしたら溜まる暇なんかないぞ」
「ぷっ、本当ですか」
「本当だ」
ハクラシスは目尻に皺を寄せ、優しく笑いながら、くったりと木に凭れかかるたレイズンを抱きしめると、そのまま地面に二人で転がった。
地面にはまるで絨毯かのように芝草がみっちりと広がり、ややチクチクとはするが柔らかくて気持ちがいい。
そしてハクラシスの肩越しに、屋根のように広がる木々の葉の隙間から差し込む、月の明かりが見えた。
月の位置からして、そろそろ寮では就寝の時間くらいにはなっていそうだ。
「……さっきは少し強引だったな。すまなかった。討伐前で滾っているのか、ちょっと抑えが効かなかった」
「……俺は気持ちよかったからいいですけど……。小隊長殿もそんなことあるんですね」
「まあ、ないことはないな。お前がそばにいるとだめだな」
額に口づけの感触。レイズンはへへと笑って、チラッとハクラシスの様子を窺った。
「……ちょっとだけお願いがあるんですが」
「なんだ?」
「小隊長殿のを触ってみたいのですが」
その言葉にハクラシスは「うっ」と言葉を詰まらせた。
「……その、直に、か?」
あの日不満をぶつけたレイズンに、ハクラシスは自身のことについて引け目を感じていると語った。
レイズンに老いた体を見せたくないだの、勃たないモノを触らせたくないだのと言い訳をしてた割に、今日はやけに大胆だったのだし、レイズだって少しばかり強気に出てもいいだろう。
「……直に触りたいですけど、……だめですか」
「……服の上からではだめか」
こればかりはいつもの"お願い"のようにはいかないと見え、ハクラシスも素直にうんとは言わなかった。
さっき自分はあんなに強引なことをしたのにズルいとレイズンは思ったが、仕方がない。譲歩することにした。
「じゃあ、服の上から」
寝転がったまま、向かい合わせの体勢でレイズンがそっとズボンの上に手を這わすと、ハクラシスの体がビクンと跳ね、小さく吐息が漏れる。
(んん?)
さきほど股間を押し付けてきた時はあまり気が付かなかったが、思ったよりも盛り上がっている。
勃ってるんじゃないかと思ったが、押すと芯もなく柔らかいから元が大きいのか。
その大きさを確かめようと何度もさすってみる。
「……レイズン……」
勃たないだけで触られるとそれなりに感じてはいるようだ。ハクラシスが熱い息を吐きながら、自分の股間を凝視するレイズンの頬を撫でた。
「……小隊長殿……」
「なんだ?」
「これ、勃ってないんですよね」
「……硬くなってきたのか?」
「……いえ、硬くはないみたいなんですけど……」
ブツブツと何か言いながら擦るレイズンに、ハクラシスが眉根を寄せた。
「どうした? 何か変か」
「いえ……、なんだか、ちょっと大きさが……」
「…………」
ハクラシスは黙ってしまった。
「もしかして結構大きいほうですか」
指で押したり撫でたりしながらその大きさを確かめる。
「……普通だ。他の者と大して違いはない。さあもう終いだ」
「…………」
ひょいと手を掴まれて転がされると、もう触れないよう今度は背面から抱きしめられてしまった。
どうも大きさも禁句らしい。
元が大きいから勃たなくなって余計に辛いのだろうか。
そうか、でも長いのかとレイズンが一人しつこくぶつぶつ言っていると、ハクラシスが「いずれ分かる」とため息混じりに答えた。
いつもなら俺なんかと身を引こうとするレイズンが珍しく嫉妬心を見せたことが、ハクラシスは呆れながらもなんだか嬉しそうだ。
「どうせもうすぐ騎士団を辞めることになるんだ。王族のことなどこれ以上知らなくていい。深入りすれば俺のようにがんじがらめになる」
そう言いながら横から肩を抱き寄せると、レイズンの口元に唇を落とす。
「……本当に小屋へ帰れるようになるんです? 俺、なんだか無理な気がして」
先ほどまでの話を聞く限りでは、全てを穏便に済ませ小屋に帰るなど、到底無理な気がするのだが……。
「大丈夫だ、俺を信じろ。何とかしてみせる。討伐から戻ってきたら、すぐに帰るぞ。冬支度もあるしな」
そうだ、もうすぐ寒くなる。雪が降るまでに小屋に戻って、薪を用意し保存食を準備しなければ。
そして雪に埋もれた小屋の中で、二人だけの時間を過ごすんだ。
ハクラシスはレイズンの不安を拭い去ろうとするかのように、深く口づけた。
唇を舐め、歯列をなぞり、舌を求め口を開いたレイズンの口内を存分に嬲る。舌を絡めとり、じゅっと吸い上げるとレイズンの口から熱い吐息が漏れる。
「……ん……小隊長殿って、意外とキスが好きですよね」
「……そうだな、相手がお前だからだ。これまではあまりしてこなかった」
口づけが唇から頬へ移動し、そして耳たぶを柔く食むと、レイズンの体がピクンと動く。
「……あ、ちょ、あんまり触られると俺、勃っちゃいます」
耳を嬲られ、さらには体を弄る手に、レイズンの体の中心をゾクゾクとした快感が走った。
「お前は……そんなことを言うと逆効果だと、誰かに教わらなかったのか」
ハクラシスの手が股間を弄り、すでに硬くなりかけの膨らみを指で撫で上げる。
「あ……っ、ちょ、声、声出ちゃいますって! 誰か来たらまずいですよ……っ」
珍しく積極的なハクラシスにレイズンは慌てて止めようとするが、逆にハクラシスに手を掴まれ、背後の木に背中を押し付けられてしまった。
そしてハクラシスは、レイズンの足の間に体を割り込ませ、自身の股間をレイズンの勃ち上がったモノに押し付けた。
何度も繰り返し激しく擦り付けられ、レイズンの硬く敏感になったそこに刺激が走る。レイズンは耐えきれず思わず身をよじった。
「あっ、……は、あ……小隊長殿……!」
こんな風にハクラシスが積極的に体を求めてくることは初めてだ。
いつもは愛撫だけのハクラシスが、服の上からとはいえ自分から体を密着させ、まるでセックスさながらに腰を擦り付けてくるなんて。
その上お互い騎士団の制服姿というのも、仕事中によくないことをしているようで思った以上に興奮を誘う。
(うわ……まずい、なんかすごいクるかも……)
このままではこんな所で、ハクラシスに抜いて欲しいと懇願してしまいそうだ。
何とか股間に与えられる刺激に耐えようと頑張ってはいるものの、体は正直であそこはどんどん硬くなっていく。
そんな快楽の波に押し流され小さく喘ぐレイズンの耳元で、ハクラシスが囁く。
「……しっかり勃ったな。俺が抱いてやれたらいいんだが……」
ハクラシスがレイズンの股間に手を伸ばし、前をくつろげ脱がしていく。
「……へ? しょ、小隊長殿?」
レイズンが「へ? へ?」と困惑している間に、ハクラシスの手によってガチガチに勃ち上がったペニスが下着から引きずりだされた。
熱くなったペニスにひやっとした外気が触れ、瞬間寒気が走りレイズンは尻をよじる。
ハクラシスはレイズンが着ている上着を捲り上げると、月明かりに照らされ浮かび上がった臍の周辺の筋肉を、確かめるように手でなぞり、口づけた。
口では下腹部を愛撫し、片手は剥き出しのペニスを軽く撫でては扱き上げる。
「……んっ」
出したい、抜いてほしいという欲望に抗えず、レイズンは無抵抗のままハクラシスに身を任せた。
「ん……あっ……」
そのまま手で抜いてくれるのかと思いきや、なんとハクラシスは、レイズンが扱かれた刺激に「あっ」と身をよじった瞬間、今にも爆発しそうなペニスの先をガブリと咥えてしまった。
「ひ……えっ! しょ、小隊長殿! あっ! ちょっ、あっ、く……ふ……はあ…………っ」
レイズンは慌てて止めようとした。まさか口で抜いてくれるなんて、思いもしなかったからだ。
これまでも口での愛撫はたくさんしてもらったが、口淫だけはなかった。
だからハクラシスは、こういうことはしない人だろうと思っていたのだが……。
驚いたレイズンが必死でハクラシスの頭を押し退けようとするが、びくともしない。
当のハクラシスはそんなレイズンの慌てぶりなど意にも介さず、最初は先端のすべすべとしたところの感触を愉しむように舌で愛撫し弄んでいた。
だがレイズンが押し退けようとした途端、それを一気に奥まで滑り込ませた。
「……ひ! あっ!! ……っ」
体を走り抜ける快感にレイズンは一瞬悲鳴のような声をあげ、慌てて自分の両手で口を押さえた。
こんな声、人に聞かれたら怪しまれて林の中を覗かれてしまう。
「んっ……!」
ハクラシスの口は奥行きが広いのか、レイズンの完勃ちのペニスをいとも簡単に飲み込んだ。
舌で絡め取られ喉できゅっと吸われるだけで、レイズンは抱え込まれた腰を反射的に前に突き出してしまう。
あのハクラシスが自分のものを咥えているという状況だけでももうかなりヤバい。
ギュッと瞑った目を薄く開けチラッと覗き見ると、自分のモノを咥え頭を上下させるハクラシスが見え、レイズンの腹の奥がギューッと痺れた。
「はっ……あ……、だめですって! ……ひ……やっ、あ……出るから!」
レイズンが抵抗すればするほど逃がさんとばかりに腰をがっちりと押さえ込まれ、もう抵抗すらできない。
(……あー……もう……だめ……)
ハクラシスの容赦ない舌技に、レイズンはあっという間に吐精してしまった。
快楽から解放され一気に脱力したレイズンは、木に凭れかかったまま、口元を拭いながら起き上がるハクラシスを眺めていた。
「……小隊長殿、口の端、ついてます……」
「ん?」
「ここ」
口元に垂れた自分のものを見て罪悪感を感じつつ、レイズンは少し体を起きあがらせて指で拭い取った。
それを今度はハクラシスが懐から出したハンカチで拭く。
そのついでにレイズンの口元も拭いてくれた。
どうやら涎が出ていたらしい。
「結構たくさん出たな。溜まっていたのか?」
「……小隊長殿と会えなかったのに、出す機会なんてないですよ」
ブスッと不貞腐れたような言い方で返すと、レイズンの服を整えていたハクラシスがははっと笑った。
「討伐が終われば、ずっと一緒にいられる。そうしたら溜まる暇なんかないぞ」
「ぷっ、本当ですか」
「本当だ」
ハクラシスは目尻に皺を寄せ、優しく笑いながら、くったりと木に凭れかかるたレイズンを抱きしめると、そのまま地面に二人で転がった。
地面にはまるで絨毯かのように芝草がみっちりと広がり、ややチクチクとはするが柔らかくて気持ちがいい。
そしてハクラシスの肩越しに、屋根のように広がる木々の葉の隙間から差し込む、月の明かりが見えた。
月の位置からして、そろそろ寮では就寝の時間くらいにはなっていそうだ。
「……さっきは少し強引だったな。すまなかった。討伐前で滾っているのか、ちょっと抑えが効かなかった」
「……俺は気持ちよかったからいいですけど……。小隊長殿もそんなことあるんですね」
「まあ、ないことはないな。お前がそばにいるとだめだな」
額に口づけの感触。レイズンはへへと笑って、チラッとハクラシスの様子を窺った。
「……ちょっとだけお願いがあるんですが」
「なんだ?」
「小隊長殿のを触ってみたいのですが」
その言葉にハクラシスは「うっ」と言葉を詰まらせた。
「……その、直に、か?」
あの日不満をぶつけたレイズンに、ハクラシスは自身のことについて引け目を感じていると語った。
レイズンに老いた体を見せたくないだの、勃たないモノを触らせたくないだのと言い訳をしてた割に、今日はやけに大胆だったのだし、レイズだって少しばかり強気に出てもいいだろう。
「……直に触りたいですけど、……だめですか」
「……服の上からではだめか」
こればかりはいつもの"お願い"のようにはいかないと見え、ハクラシスも素直にうんとは言わなかった。
さっき自分はあんなに強引なことをしたのにズルいとレイズンは思ったが、仕方がない。譲歩することにした。
「じゃあ、服の上から」
寝転がったまま、向かい合わせの体勢でレイズンがそっとズボンの上に手を這わすと、ハクラシスの体がビクンと跳ね、小さく吐息が漏れる。
(んん?)
さきほど股間を押し付けてきた時はあまり気が付かなかったが、思ったよりも盛り上がっている。
勃ってるんじゃないかと思ったが、押すと芯もなく柔らかいから元が大きいのか。
その大きさを確かめようと何度もさすってみる。
「……レイズン……」
勃たないだけで触られるとそれなりに感じてはいるようだ。ハクラシスが熱い息を吐きながら、自分の股間を凝視するレイズンの頬を撫でた。
「……小隊長殿……」
「なんだ?」
「これ、勃ってないんですよね」
「……硬くなってきたのか?」
「……いえ、硬くはないみたいなんですけど……」
ブツブツと何か言いながら擦るレイズンに、ハクラシスが眉根を寄せた。
「どうした? 何か変か」
「いえ……、なんだか、ちょっと大きさが……」
「…………」
ハクラシスは黙ってしまった。
「もしかして結構大きいほうですか」
指で押したり撫でたりしながらその大きさを確かめる。
「……普通だ。他の者と大して違いはない。さあもう終いだ」
「…………」
ひょいと手を掴まれて転がされると、もう触れないよう今度は背面から抱きしめられてしまった。
どうも大きさも禁句らしい。
元が大きいから勃たなくなって余計に辛いのだろうか。
そうか、でも長いのかとレイズンが一人しつこくぶつぶつ言っていると、ハクラシスが「いずれ分かる」とため息混じりに答えた。
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