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41 踏んだり蹴ったりの日
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選に漏れてからのレイズンは、すっかりやる気をなくしていた。
相変わらずハクラシスからの連絡は途絶えたまま。
レイズンはすっかり放置され、討伐部隊に選ばれなかったショックと相まって、(ほんの少しだが)ハクラシスを恨みかけたくらいだ。
それに加え、上位騎士試験だの討伐部隊だの、レイズンが目標にしていたイベントごとは全て終えてしまい、やるべきことが全くもってない。
(別に昇級したいわけでもないしなあ)
上位騎士になれたからといって、与えられる仕事が少し増えた程度でさほど仕事内容が変わるわけでもなく、ただハクラシスに会えないだけの日々を繰り返すだけ。
正直ハクラシスに会えないなら、上位騎士の位なども必要ない。
今だって本当は仕事中だというのに、城壁の歩廊の上にしゃがみ込み、矢入れに入れた矢の羽根部分をサリサリと触りながら、広い騎士団の敷地を城壁の上からぼんやり眺めていた。
(どっかに小隊長殿いないかな~……)
本来しなければいけないのは、城壁の外の監視であって、内側である騎士団の敷地内の監視ではない。
部隊長に見られたら確実に叱られることは分かっているはずなのに、どうしてもハクラシスを見たいレイズンは、ひたすら騎士団側を監視していた。
(あ……あいつら。いいな~これから訓練か)
眼下に剣を携えた騎士らが集団で歩いているのが見えた。彼らが向かっている先は、先ほどからレイズンが眺めている先にある、討伐部隊専用の訓練場だ。
そろそろ訓練が始まるのだろう。
ということは、あそこにはきっとハクラシスも来るはず。
レイズンはもっとよく見ようと、のめり込むように身を乗り出した。しかし残念なことに訓練場はここからでは遠く、ハクラシスがどこにいるかまでは見えない。
当たり前だが訓練では、ハクラシスが直接指導をするらしい。それがレイズンにはまたひどく羨ましい。
羨ましくて羨まして仕方がない。
(あー、くっそー……俺も参加したかったー)
レイズンは、誇らしげに訓練場に向かう彼らをやっかみの籠った目で眺めながら、少し前に討伐部隊の訓練を仕事の合間にこっそり見に行ったことを思い出していた。
その時レイズンが見に行ったのは歩兵部隊の訓練場で、討伐部隊専用の広い訓練場には大勢の騎士がひしめき、そこには熱気が漂っていた。
彼らが与えられた課題をこなすため必死になっている間、ハクラシスはひとりの若い騎士を熱心に指導していた。
少し錆びたような金の髪のその青年は、どう見ても貴族出身のようであるのに、どうも剣が苦手らしい。
もちろんレイズンよりは腕は上だが、それでもやはり得意でないことが自身なさげなその表情から見てとれる。
そんな彼にハクラシスが剣の相手をしながら、一振り一振り細かく指導をしていた。
緊張したような面持ちで剣を振る青年に、厳しい顔つきのハクラシスが手本を見せる。
時折何か冗談でも言っているのか、ハクラシスが何か言うと、時折青年の顔に笑みが溢れることもあり、なんだかすごく、すごーく楽しそうに見えた。
今思い出しても、ハクラシスに笑いかけるその騎士のことがちょっと妬ましい。
(俺たちの時なんか、ちょっとでも笑ったら『何がおかしいか!』って怒鳴られてたのによー)
訓練中に部下が笑顔になるなんて、あの鬼のような小隊長はどこにいってしまったのかと、レイズンは一人不貞腐れた。
(……あーあ、俺も選ばれていたらなあ……)
そんなことを考えても代われるものでもなし。
何だか虚しくなってため息を吐いたその時、しゃがみ込んでいたレイズンの尻を何者かがバコッと蹴りあげた。
「ひぎゃっ!!」
ふいに蹴られた衝撃で危うく下に落ちそうになったレイズンだったが、なんとか踏ん張った。
今レイズンがしゃがんでいた騎士団側の歩廊には柵などなく、ましてや途中に落下物を受け止めるような気の利いた屋根もない。
足を滑らせて落下でもすれば、そのまま地面に叩きつけられ、運が悪ければ地面に真っ赤な血の花が咲くだろう。
「ひえ~……あっぶね——」
何の嫌がらせだと悪態つきながら振り向くと、そこにはいつもは穏やかな部隊長が目を吊り上げて立っていた。
(ま、……まずい!!)
「レイズン! 貴様何をやっとるか! お前の見張る方向は真逆だ! 騎士団のほうを見張ってどうする!! サボるなら減俸だぞ!!」
「はっ!!」
ハクラシスばりの怒声に、レイズンは反射的にぴょんと飛ぶように立ち上がると、サッと敬礼し、慌てて反対側の凹凸状の鋸壁の前に走った。
ーーーー
「よう、レイズン。今日は晩飯を一緒に食べに行こうぜ」
午後の弓の鍛錬が終わり、レイズンが武具一式を片付けていると、すでに片付けを終えたライアンが声をかけてきた。
このライアンというのは、レイズンと同じ弓部隊に所属している男爵家の三男で、レイズンが上位騎士になってからよく飯を食べに行くようになった男だ。
そう、なんとレイズンに友達ができたのである。
復帰後、部隊でも浮いた存在だったレイズンに初めてできた友達なのだが、実はこのライアン、それまでレイズンを嘲笑していた者の一人だった。
しかしコネ採用だと思われたレイズンが討伐部隊から落選したことにより、どうやら騎士団長やハクラシスがそこまでレイズンを気にかけていないと気付いたらしい。
気持ちの変化というものは面白いもので、妬みが同情に変わったことにより、"無能でいやらしい平民コネ野郎"から"平民なのに騎士団長に認められるほどの努力家"に格上げされ、彼の中のレイズンの好感度はマイナスから大きく上昇したようだ。
そういうこともあり、落選後のレイズンの落ち込みようを見て気の毒に思ったのか、『お前も頑張ったのにな』と、景気付けと称し夕食の誘いをしてくれたのだ。
しかしさすがのレイズンも最初は警戒し、何か裏があるのではと断った。
だが地方住みで平民に近い暮らしをしていたというライアンは粗野だが単純で愛嬌のある男で、何度か声をかけられていくうちよく話すようになり、気安く冗談を言えるようにまでなった。
——友達などつくらない予定だったレイズンも、ハクラシスと会えない日々が続き、寂しさを埋めるにも丁度よかったのかもしれない。
「今日の弓、レイズンお前ちょっと手ェ抜いていただろ。お前の矢ってすぐへろへろ~ってなるから、分かるんだよな」
あははと大口を開けてライアンが笑った。
「うるせーな。俺は討伐部隊外れてからやる気出ないんだよ」
同僚にはいつもは敬語でそっけなく話すレイズンも、ライアンにはブーフと話すようなくだけた物言いで言葉を返す。
「お前だけじゃねえよ。俺だって選外だったんだから同じじゃねえか。……あー……ほら見てみろ、あいつら。訓練から戻ってきたみたいだな。"選ばれし者たち"は誇らしげで羨ましいぜ」
ライアンが顎で指し示した方を見ると、討伐部隊の訓練に参加していた面々が戻ってくるところだった。
「まあ討伐は今回だけじゃねえからな。他にも小さい討伐は年に何度かあるワケだし、次こそ閣下の部隊に入れるように頑張らなねーとな」
ライアンはいつも羨ましいくらい前向きだ。
まあ確かにずっとここにいることになるなら、いつかはハクラシスの部隊で戦える時がくるかもしれない。
そう考えると、ダラけたままではいつまで経っても精鋭ばかり集うハクラシスの部隊に呼ばれることなどないのだから、ライアンの言う通り、次の機会までに頑張って実力をつけるしかないのだ。
「……そうだな。よし! ライアン! メシ行こうぜ!」
「お、おお! 急に元気になったな。行こうぜ行こうぜ。そうだ、今日は行きたい食堂があるんだがいいか?」
大勢の騎士が所属する騎士団の敷地は広大で、各地区に複数の食堂がある。レイズンはいつも同じところばかりで、他はあまり行ったことがない。
「ああ、俺はどこでもいい。いつものところよりうまいのか?」
「デリク達が昼に、自分達がよく行く食堂は酒の種類が多いって話をしてたんだ。歩兵部隊は酒飲みが多いからな。あいつらも誘って案内させようぜ!」
デリクというのはライアンの友人で、歩兵部隊に所属している。レイズンもライアンと一緒にいる時に、デリクとその友人らと鉢合わせて、何度か話をしたことがある。
彼らもライアンからレイズンの悪口を聞かされていたようで、最初こそ少しつっけんどんで嫌な感じだったが、ライアンがレイズンと和解したと知るとすぐに態度は軟化し、急速に仲良くなった。
歩兵部隊のメンバーは、部隊の人数が多いせいか団結力があり、賑やかで面白い奴が多い。
だが、歩兵部隊のある地区に行くことは、レイズンにはやや躊躇があった。
(歩兵部隊のほうに行くと、小隊の頃の仲間がいそうなんだよな……)
そうなのだ。小隊の頃の仲間は、ハクラシスが去り小隊が解散したあと散り散りになったらしいのだが、辞めてしまった一部の者を除き、殆どの者は歩兵部隊の下位部隊に所属している筈なのだ。
騎士団に復帰してからというもの、レイズンは彼らとは距離をおきたくて、あえて歩兵部隊のある地区には近づかないようにしていた。
「——ん? どうした? レイズンはいつもの所がいいのか?」
急に黙り込んだレイズンにライアンが不思議そうな顔をした。
復帰した時噂が流れたくらいレイズンの過去のあの事件は有名で、ライアンもレイズンを嫌っていたくらいだから、勿論その話は噂程度には知っているだろう。だから過去を思い出す彼らとは会いたくないのだと、素直にそう言えばいいのだが、あの時のことを話すと、心の傷を自らほじくり返しているようで嫌なのだ。
それに気にしてることをライアン達にはあまり悟られたくない。
「——ん……いや、いいぞ。俺も行ったことはないし。デリク達と飲むのも楽しそうだ」
「それなら決まりだな! じゃあ今からデリクに約束を取り付けに行ってくる。お前は寮の部屋で待っていてくれ! じゃあな」
ライアンは嬉しそうに走り去ると、しばらくして約束通りデリク達を連れてレイズンを呼びに来てくれた。
まあもしあっちで誰かに会ったとしても、こっちは上位騎士のライアンもいることだし、いまだに下位騎士であろう彼らと長く会話をすることはないだろう。
レイズンはそう自分を納得させて、ライアンたちに付いていったのだが。
「あ——……レイズン、だよな? 久しぶり……その、元気だった?」
なんと小隊の頃の仲間であるリヒターがその場にいたのである。
しかも席も隣。
どうもデリクの部隊仲間のひとりにこのリヒターがいたらしく、今日は酒宴だということでデリクから他の仲間と共に声がかかったらしい。
「……リヒター」
リヒターとは当時割と仲が良かったほうで、あの事件の後病院へ会いに来てくれたのもリヒターだけだった。
だからレイズンにとってリヒターは、他の仲間より比較的許容できる相手だ。
——だが当時のことを知っている相手とは、やはり会いたくはなかった。
酒がテーブルに届けられ、周囲が騒がしくなっていく。何も知らないライアンやデリクは、うまい酒を前に盛り上がっている。
「今までどうしていたんだ? ……病院からいなくなってみんな心配してたんだ。俺、レイズンがここに復帰しているなんて知らなくてさ……。ちょっと雰囲気も変わってたから、最初は君だって分からなかったよ」
小さくリヒターの名前を呟いたきり俯いたままのレイズンに、リヒターも少し気まずそうに遠慮がちにしているが、それでもレイズンに会えたことが嬉しいと言わんばかりに話しかけてくる。
だがレイズンは目の前に置かれた酒をチビチビと口につけるだけで、返事は返さなかった。
「今は上位騎士なんだって? この前試験の結果が張り出されているのを見たんだ。名前が出ていてあれ? っと思ったんだけど、まさか本人とは思わなくてさ。俺達の中ではレイズンが初めての上位騎士なんだよ」
そうか目立つことをするとこいつらにもバレてしまうんだなと、嬉しそうに話すリヒターとは対照的に、レイズンは酷く冷めた気持ちで聞いていた。
それにしても一年以上経っても、当時の仲間の内まだ一人も上位騎士の試験に合格していないとは。
本当に落ちこぼれの集団だったんだなと、改めて思い知る。
何も知らずいい気になって、小隊長だったハクラシスに迷惑をかけ……。ハクラシスだって大変な時期だったのに。
「ああ、そうだ俺のパートナーのレンも、レイズンのことをずっと心配してたんだ。彼も同じ部隊に配属になって、パートナーも継続にしてもらったんだ。今日はちょっと夜勤があって来られなかったけど……。話をしたらきっと会いたが……」
レイズンはリヒターの言葉を遮るように、ダンッと飲んでいた酒の器をテーブルに置いた。
「ごめん、今は小隊の頃の仲間には会いたくなくて」
お前にも会いたくなんかなかったと、そうリヒターにも伝わるように、はっきりと言葉にした。それからレイズンは席を立った。
「——ライアン、すまないな。俺ちょっと今日は疲れたからもう帰るな。デリク達もわざわざ集まってくれたのにごめん」
「お、おお……そうか。悪酔いでもしたのか? 大丈夫か? ひとりで帰れるか? ぶっ倒れんなよ」
「ああ、大丈夫だ。悪いな、また誘ってくれ。俺が飲んだ分の金はここに置いておく」
「分かった。また明日な!」
「気にするなレイズン、また飲もうぜ!」
酒が入って上機嫌のライアンとデリクに手を上げて挨拶をすると、レイズンはまだ何か言いたそうなリヒターを残し食堂を後にした。
「くっそー油断した」
まさかデリクがリヒター達と同じ部隊とは。
別にリヒターが悪いんじゃない。
でもレイズンとしては、まだ会いたくないのだ。
彼らからあの頃の話を聞いて懐かしめるほど、レイズンの中ではまだ過去になりきっていない。
(今日はライアン達と楽しく酒を飲もうと思ったのにな)
レイズンは腹立ちまぎれに道端の石を蹴って転がした。
石がコロコロと音を立てて道の真ん中を転がっていく。
それをぼんやりと目で追い、そしてその石がトプンと小さな溜池に転がり落ちた時、ふとその池の向こうを歩く人影が目に入った。
(ん? ……あれは)
どこかで見た後ろ姿。
そう、あの人影はハクラシスだった。
「小隊長殿!?」
周囲はもうだいぶ暗く、視界を保つには街灯の明かりを頼るしかないのだが、それでもレイズンが見間違う訳がない。あれは絶対にハクラシスに違いなかった。
(こんなとこで会えるなんて!)
さっきまでのモヤモヤした気分も吹き飛ぶくらい、レイズンの心は弾んだ。
声をかけようと転がるように走り出し池の周囲を回り込んだ時、ハクラシスの隣に誰かがいるのが見え、走り出した足を急停止させた。
(誰だろう……)
少しひょろっとした体型に、腰には剣。暗くてよく見えないが色味からしておそらく金髪っぽい髪の毛。
(あ、あれたぶんあの剣の人だ)
どこかで見た気がして、少し考えて思い出した。
暗がりをジッと見て、やはりあの日ハクラシスから剣の手ほどきを受けていた人だと確信すると、レイズンは思わず木の陰に隠れた。
(……えー、何だかすごく仲良くなってないか)
ハクラシスはその金髪の騎士と肩を並べ、何やら会話をしながら歩いていた。
アーヴァル以外でハクラシスが誰かと親しげに話すところを、レイズンは見たことがなかった。
小隊にいた頃だって、部下と気さくに話すことなどなかったのに。
気になったレイズンは、二人が何か楽しげに会話をしながら歩いていく後ろを、こっそりとついて行った。
方角からしておそらく騎士団長の邸宅の方角だ。
そう確信して後をつけると、やはり二人は騎士団長の邸宅の庭門に向かっていた。
(……屋敷に招待したのかな)
レイズンに気が付かないハクラシスは、彼を連れて薄暗い庭に入り、屋敷のほうへ向かって歩いていく。
門の外に取り残されたレイズンは、柵の隙間から彼らの背中を食い入るように見つめた。
そうして屋敷のドアが開き、中から明るい光が漏れ、ルルーらしき者が中から二人を招き入れるのを、レイズンはひとり黙って見ていた。
ハクラシスが金髪の騎士をルルーに紹介し、騎士が軽く会釈をすると、二人は吸い込まれるように屋敷の中に消えていった。バタンとドアが閉まると、またそこは暗い庭に戻った。
(……あの人、小隊長殿に気に入られたんだなあ……)
なんだかすごくがっかりしていた。
それが自分じゃない誰かと親しくするハクラシスに対してなのか、選ばれなかった自分に対してなのかは分からない。だが、なんだかすごくがっかりしたのだ。
(……はあ、なんだか今日は踏んだり蹴ったりだな。期待させて落とすって、そりゃないよ)
最近会えなかったハクラシスに偶然会えたと思ったら、声をかけることもできず、こうして置いて行かれたような気持ちになって……。
リヒターのことで落ち込んでこんでいた気持ちが、さらに奈落へと落ち込む。
レイズンはヒュッと吹いた風にブルッと身震いし、肩を少しさすった。
(魔獣討伐が終われば、また少しは状況が変わるのかな)
いや下手をすると、今回手柄を立てた者達との交流が深まるだけで、レイズンとの距離はさらに開いてしまうのではないか。
(あー……小屋に帰りてえ)
レイズンは久々に何ともいえない寂寥感に襲われた。
いますぐここから逃げ出して、あの小屋に戻りたい。
そしてあのハクラシスの匂いの残る布団にくるまって、何もかも忘れて眠ってしまいたい。
朝起きたらハクラシスがいて、朝飯ができたぞって起きないのかって声がかかって、食べたら一緒に狩りに出ようって、そう言って二人でのんびりした一日を過ごして……。
目の前にそんな幸せな光景が浮かぶ。
だが、それは全て妄想だ。今ひとりで戻ってもハクラシスは小屋には戻らない。
自分はここでハクラシスを待つと決めたのだ。彼も自分を恋人だと認めてくれたのだから、信じて待つしかないのだ。
(俺、ほんとウジウジしてるよな。こんなだからアーヴァル様みたいなのに付け込まれちゃうんだよな)
レイズンは柵にゴチンと頭をぶつけて「しっかりしろ」と自分自身に喝を入れると、痛みに顔を引きつらせながら前を見た。
相変わらずハクラシスからの連絡は途絶えたまま。
レイズンはすっかり放置され、討伐部隊に選ばれなかったショックと相まって、(ほんの少しだが)ハクラシスを恨みかけたくらいだ。
それに加え、上位騎士試験だの討伐部隊だの、レイズンが目標にしていたイベントごとは全て終えてしまい、やるべきことが全くもってない。
(別に昇級したいわけでもないしなあ)
上位騎士になれたからといって、与えられる仕事が少し増えた程度でさほど仕事内容が変わるわけでもなく、ただハクラシスに会えないだけの日々を繰り返すだけ。
正直ハクラシスに会えないなら、上位騎士の位なども必要ない。
今だって本当は仕事中だというのに、城壁の歩廊の上にしゃがみ込み、矢入れに入れた矢の羽根部分をサリサリと触りながら、広い騎士団の敷地を城壁の上からぼんやり眺めていた。
(どっかに小隊長殿いないかな~……)
本来しなければいけないのは、城壁の外の監視であって、内側である騎士団の敷地内の監視ではない。
部隊長に見られたら確実に叱られることは分かっているはずなのに、どうしてもハクラシスを見たいレイズンは、ひたすら騎士団側を監視していた。
(あ……あいつら。いいな~これから訓練か)
眼下に剣を携えた騎士らが集団で歩いているのが見えた。彼らが向かっている先は、先ほどからレイズンが眺めている先にある、討伐部隊専用の訓練場だ。
そろそろ訓練が始まるのだろう。
ということは、あそこにはきっとハクラシスも来るはず。
レイズンはもっとよく見ようと、のめり込むように身を乗り出した。しかし残念なことに訓練場はここからでは遠く、ハクラシスがどこにいるかまでは見えない。
当たり前だが訓練では、ハクラシスが直接指導をするらしい。それがレイズンにはまたひどく羨ましい。
羨ましくて羨まして仕方がない。
(あー、くっそー……俺も参加したかったー)
レイズンは、誇らしげに訓練場に向かう彼らをやっかみの籠った目で眺めながら、少し前に討伐部隊の訓練を仕事の合間にこっそり見に行ったことを思い出していた。
その時レイズンが見に行ったのは歩兵部隊の訓練場で、討伐部隊専用の広い訓練場には大勢の騎士がひしめき、そこには熱気が漂っていた。
彼らが与えられた課題をこなすため必死になっている間、ハクラシスはひとりの若い騎士を熱心に指導していた。
少し錆びたような金の髪のその青年は、どう見ても貴族出身のようであるのに、どうも剣が苦手らしい。
もちろんレイズンよりは腕は上だが、それでもやはり得意でないことが自身なさげなその表情から見てとれる。
そんな彼にハクラシスが剣の相手をしながら、一振り一振り細かく指導をしていた。
緊張したような面持ちで剣を振る青年に、厳しい顔つきのハクラシスが手本を見せる。
時折何か冗談でも言っているのか、ハクラシスが何か言うと、時折青年の顔に笑みが溢れることもあり、なんだかすごく、すごーく楽しそうに見えた。
今思い出しても、ハクラシスに笑いかけるその騎士のことがちょっと妬ましい。
(俺たちの時なんか、ちょっとでも笑ったら『何がおかしいか!』って怒鳴られてたのによー)
訓練中に部下が笑顔になるなんて、あの鬼のような小隊長はどこにいってしまったのかと、レイズンは一人不貞腐れた。
(……あーあ、俺も選ばれていたらなあ……)
そんなことを考えても代われるものでもなし。
何だか虚しくなってため息を吐いたその時、しゃがみ込んでいたレイズンの尻を何者かがバコッと蹴りあげた。
「ひぎゃっ!!」
ふいに蹴られた衝撃で危うく下に落ちそうになったレイズンだったが、なんとか踏ん張った。
今レイズンがしゃがんでいた騎士団側の歩廊には柵などなく、ましてや途中に落下物を受け止めるような気の利いた屋根もない。
足を滑らせて落下でもすれば、そのまま地面に叩きつけられ、運が悪ければ地面に真っ赤な血の花が咲くだろう。
「ひえ~……あっぶね——」
何の嫌がらせだと悪態つきながら振り向くと、そこにはいつもは穏やかな部隊長が目を吊り上げて立っていた。
(ま、……まずい!!)
「レイズン! 貴様何をやっとるか! お前の見張る方向は真逆だ! 騎士団のほうを見張ってどうする!! サボるなら減俸だぞ!!」
「はっ!!」
ハクラシスばりの怒声に、レイズンは反射的にぴょんと飛ぶように立ち上がると、サッと敬礼し、慌てて反対側の凹凸状の鋸壁の前に走った。
ーーーー
「よう、レイズン。今日は晩飯を一緒に食べに行こうぜ」
午後の弓の鍛錬が終わり、レイズンが武具一式を片付けていると、すでに片付けを終えたライアンが声をかけてきた。
このライアンというのは、レイズンと同じ弓部隊に所属している男爵家の三男で、レイズンが上位騎士になってからよく飯を食べに行くようになった男だ。
そう、なんとレイズンに友達ができたのである。
復帰後、部隊でも浮いた存在だったレイズンに初めてできた友達なのだが、実はこのライアン、それまでレイズンを嘲笑していた者の一人だった。
しかしコネ採用だと思われたレイズンが討伐部隊から落選したことにより、どうやら騎士団長やハクラシスがそこまでレイズンを気にかけていないと気付いたらしい。
気持ちの変化というものは面白いもので、妬みが同情に変わったことにより、"無能でいやらしい平民コネ野郎"から"平民なのに騎士団長に認められるほどの努力家"に格上げされ、彼の中のレイズンの好感度はマイナスから大きく上昇したようだ。
そういうこともあり、落選後のレイズンの落ち込みようを見て気の毒に思ったのか、『お前も頑張ったのにな』と、景気付けと称し夕食の誘いをしてくれたのだ。
しかしさすがのレイズンも最初は警戒し、何か裏があるのではと断った。
だが地方住みで平民に近い暮らしをしていたというライアンは粗野だが単純で愛嬌のある男で、何度か声をかけられていくうちよく話すようになり、気安く冗談を言えるようにまでなった。
——友達などつくらない予定だったレイズンも、ハクラシスと会えない日々が続き、寂しさを埋めるにも丁度よかったのかもしれない。
「今日の弓、レイズンお前ちょっと手ェ抜いていただろ。お前の矢ってすぐへろへろ~ってなるから、分かるんだよな」
あははと大口を開けてライアンが笑った。
「うるせーな。俺は討伐部隊外れてからやる気出ないんだよ」
同僚にはいつもは敬語でそっけなく話すレイズンも、ライアンにはブーフと話すようなくだけた物言いで言葉を返す。
「お前だけじゃねえよ。俺だって選外だったんだから同じじゃねえか。……あー……ほら見てみろ、あいつら。訓練から戻ってきたみたいだな。"選ばれし者たち"は誇らしげで羨ましいぜ」
ライアンが顎で指し示した方を見ると、討伐部隊の訓練に参加していた面々が戻ってくるところだった。
「まあ討伐は今回だけじゃねえからな。他にも小さい討伐は年に何度かあるワケだし、次こそ閣下の部隊に入れるように頑張らなねーとな」
ライアンはいつも羨ましいくらい前向きだ。
まあ確かにずっとここにいることになるなら、いつかはハクラシスの部隊で戦える時がくるかもしれない。
そう考えると、ダラけたままではいつまで経っても精鋭ばかり集うハクラシスの部隊に呼ばれることなどないのだから、ライアンの言う通り、次の機会までに頑張って実力をつけるしかないのだ。
「……そうだな。よし! ライアン! メシ行こうぜ!」
「お、おお! 急に元気になったな。行こうぜ行こうぜ。そうだ、今日は行きたい食堂があるんだがいいか?」
大勢の騎士が所属する騎士団の敷地は広大で、各地区に複数の食堂がある。レイズンはいつも同じところばかりで、他はあまり行ったことがない。
「ああ、俺はどこでもいい。いつものところよりうまいのか?」
「デリク達が昼に、自分達がよく行く食堂は酒の種類が多いって話をしてたんだ。歩兵部隊は酒飲みが多いからな。あいつらも誘って案内させようぜ!」
デリクというのはライアンの友人で、歩兵部隊に所属している。レイズンもライアンと一緒にいる時に、デリクとその友人らと鉢合わせて、何度か話をしたことがある。
彼らもライアンからレイズンの悪口を聞かされていたようで、最初こそ少しつっけんどんで嫌な感じだったが、ライアンがレイズンと和解したと知るとすぐに態度は軟化し、急速に仲良くなった。
歩兵部隊のメンバーは、部隊の人数が多いせいか団結力があり、賑やかで面白い奴が多い。
だが、歩兵部隊のある地区に行くことは、レイズンにはやや躊躇があった。
(歩兵部隊のほうに行くと、小隊の頃の仲間がいそうなんだよな……)
そうなのだ。小隊の頃の仲間は、ハクラシスが去り小隊が解散したあと散り散りになったらしいのだが、辞めてしまった一部の者を除き、殆どの者は歩兵部隊の下位部隊に所属している筈なのだ。
騎士団に復帰してからというもの、レイズンは彼らとは距離をおきたくて、あえて歩兵部隊のある地区には近づかないようにしていた。
「——ん? どうした? レイズンはいつもの所がいいのか?」
急に黙り込んだレイズンにライアンが不思議そうな顔をした。
復帰した時噂が流れたくらいレイズンの過去のあの事件は有名で、ライアンもレイズンを嫌っていたくらいだから、勿論その話は噂程度には知っているだろう。だから過去を思い出す彼らとは会いたくないのだと、素直にそう言えばいいのだが、あの時のことを話すと、心の傷を自らほじくり返しているようで嫌なのだ。
それに気にしてることをライアン達にはあまり悟られたくない。
「——ん……いや、いいぞ。俺も行ったことはないし。デリク達と飲むのも楽しそうだ」
「それなら決まりだな! じゃあ今からデリクに約束を取り付けに行ってくる。お前は寮の部屋で待っていてくれ! じゃあな」
ライアンは嬉しそうに走り去ると、しばらくして約束通りデリク達を連れてレイズンを呼びに来てくれた。
まあもしあっちで誰かに会ったとしても、こっちは上位騎士のライアンもいることだし、いまだに下位騎士であろう彼らと長く会話をすることはないだろう。
レイズンはそう自分を納得させて、ライアンたちに付いていったのだが。
「あ——……レイズン、だよな? 久しぶり……その、元気だった?」
なんと小隊の頃の仲間であるリヒターがその場にいたのである。
しかも席も隣。
どうもデリクの部隊仲間のひとりにこのリヒターがいたらしく、今日は酒宴だということでデリクから他の仲間と共に声がかかったらしい。
「……リヒター」
リヒターとは当時割と仲が良かったほうで、あの事件の後病院へ会いに来てくれたのもリヒターだけだった。
だからレイズンにとってリヒターは、他の仲間より比較的許容できる相手だ。
——だが当時のことを知っている相手とは、やはり会いたくはなかった。
酒がテーブルに届けられ、周囲が騒がしくなっていく。何も知らないライアンやデリクは、うまい酒を前に盛り上がっている。
「今までどうしていたんだ? ……病院からいなくなってみんな心配してたんだ。俺、レイズンがここに復帰しているなんて知らなくてさ……。ちょっと雰囲気も変わってたから、最初は君だって分からなかったよ」
小さくリヒターの名前を呟いたきり俯いたままのレイズンに、リヒターも少し気まずそうに遠慮がちにしているが、それでもレイズンに会えたことが嬉しいと言わんばかりに話しかけてくる。
だがレイズンは目の前に置かれた酒をチビチビと口につけるだけで、返事は返さなかった。
「今は上位騎士なんだって? この前試験の結果が張り出されているのを見たんだ。名前が出ていてあれ? っと思ったんだけど、まさか本人とは思わなくてさ。俺達の中ではレイズンが初めての上位騎士なんだよ」
そうか目立つことをするとこいつらにもバレてしまうんだなと、嬉しそうに話すリヒターとは対照的に、レイズンは酷く冷めた気持ちで聞いていた。
それにしても一年以上経っても、当時の仲間の内まだ一人も上位騎士の試験に合格していないとは。
本当に落ちこぼれの集団だったんだなと、改めて思い知る。
何も知らずいい気になって、小隊長だったハクラシスに迷惑をかけ……。ハクラシスだって大変な時期だったのに。
「ああ、そうだ俺のパートナーのレンも、レイズンのことをずっと心配してたんだ。彼も同じ部隊に配属になって、パートナーも継続にしてもらったんだ。今日はちょっと夜勤があって来られなかったけど……。話をしたらきっと会いたが……」
レイズンはリヒターの言葉を遮るように、ダンッと飲んでいた酒の器をテーブルに置いた。
「ごめん、今は小隊の頃の仲間には会いたくなくて」
お前にも会いたくなんかなかったと、そうリヒターにも伝わるように、はっきりと言葉にした。それからレイズンは席を立った。
「——ライアン、すまないな。俺ちょっと今日は疲れたからもう帰るな。デリク達もわざわざ集まってくれたのにごめん」
「お、おお……そうか。悪酔いでもしたのか? 大丈夫か? ひとりで帰れるか? ぶっ倒れんなよ」
「ああ、大丈夫だ。悪いな、また誘ってくれ。俺が飲んだ分の金はここに置いておく」
「分かった。また明日な!」
「気にするなレイズン、また飲もうぜ!」
酒が入って上機嫌のライアンとデリクに手を上げて挨拶をすると、レイズンはまだ何か言いたそうなリヒターを残し食堂を後にした。
「くっそー油断した」
まさかデリクがリヒター達と同じ部隊とは。
別にリヒターが悪いんじゃない。
でもレイズンとしては、まだ会いたくないのだ。
彼らからあの頃の話を聞いて懐かしめるほど、レイズンの中ではまだ過去になりきっていない。
(今日はライアン達と楽しく酒を飲もうと思ったのにな)
レイズンは腹立ちまぎれに道端の石を蹴って転がした。
石がコロコロと音を立てて道の真ん中を転がっていく。
それをぼんやりと目で追い、そしてその石がトプンと小さな溜池に転がり落ちた時、ふとその池の向こうを歩く人影が目に入った。
(ん? ……あれは)
どこかで見た後ろ姿。
そう、あの人影はハクラシスだった。
「小隊長殿!?」
周囲はもうだいぶ暗く、視界を保つには街灯の明かりを頼るしかないのだが、それでもレイズンが見間違う訳がない。あれは絶対にハクラシスに違いなかった。
(こんなとこで会えるなんて!)
さっきまでのモヤモヤした気分も吹き飛ぶくらい、レイズンの心は弾んだ。
声をかけようと転がるように走り出し池の周囲を回り込んだ時、ハクラシスの隣に誰かがいるのが見え、走り出した足を急停止させた。
(誰だろう……)
少しひょろっとした体型に、腰には剣。暗くてよく見えないが色味からしておそらく金髪っぽい髪の毛。
(あ、あれたぶんあの剣の人だ)
どこかで見た気がして、少し考えて思い出した。
暗がりをジッと見て、やはりあの日ハクラシスから剣の手ほどきを受けていた人だと確信すると、レイズンは思わず木の陰に隠れた。
(……えー、何だかすごく仲良くなってないか)
ハクラシスはその金髪の騎士と肩を並べ、何やら会話をしながら歩いていた。
アーヴァル以外でハクラシスが誰かと親しげに話すところを、レイズンは見たことがなかった。
小隊にいた頃だって、部下と気さくに話すことなどなかったのに。
気になったレイズンは、二人が何か楽しげに会話をしながら歩いていく後ろを、こっそりとついて行った。
方角からしておそらく騎士団長の邸宅の方角だ。
そう確信して後をつけると、やはり二人は騎士団長の邸宅の庭門に向かっていた。
(……屋敷に招待したのかな)
レイズンに気が付かないハクラシスは、彼を連れて薄暗い庭に入り、屋敷のほうへ向かって歩いていく。
門の外に取り残されたレイズンは、柵の隙間から彼らの背中を食い入るように見つめた。
そうして屋敷のドアが開き、中から明るい光が漏れ、ルルーらしき者が中から二人を招き入れるのを、レイズンはひとり黙って見ていた。
ハクラシスが金髪の騎士をルルーに紹介し、騎士が軽く会釈をすると、二人は吸い込まれるように屋敷の中に消えていった。バタンとドアが閉まると、またそこは暗い庭に戻った。
(……あの人、小隊長殿に気に入られたんだなあ……)
なんだかすごくがっかりしていた。
それが自分じゃない誰かと親しくするハクラシスに対してなのか、選ばれなかった自分に対してなのかは分からない。だが、なんだかすごくがっかりしたのだ。
(……はあ、なんだか今日は踏んだり蹴ったりだな。期待させて落とすって、そりゃないよ)
最近会えなかったハクラシスに偶然会えたと思ったら、声をかけることもできず、こうして置いて行かれたような気持ちになって……。
リヒターのことで落ち込んでこんでいた気持ちが、さらに奈落へと落ち込む。
レイズンはヒュッと吹いた風にブルッと身震いし、肩を少しさすった。
(魔獣討伐が終われば、また少しは状況が変わるのかな)
いや下手をすると、今回手柄を立てた者達との交流が深まるだけで、レイズンとの距離はさらに開いてしまうのではないか。
(あー……小屋に帰りてえ)
レイズンは久々に何ともいえない寂寥感に襲われた。
いますぐここから逃げ出して、あの小屋に戻りたい。
そしてあのハクラシスの匂いの残る布団にくるまって、何もかも忘れて眠ってしまいたい。
朝起きたらハクラシスがいて、朝飯ができたぞって起きないのかって声がかかって、食べたら一緒に狩りに出ようって、そう言って二人でのんびりした一日を過ごして……。
目の前にそんな幸せな光景が浮かぶ。
だが、それは全て妄想だ。今ひとりで戻ってもハクラシスは小屋には戻らない。
自分はここでハクラシスを待つと決めたのだ。彼も自分を恋人だと認めてくれたのだから、信じて待つしかないのだ。
(俺、ほんとウジウジしてるよな。こんなだからアーヴァル様みたいなのに付け込まれちゃうんだよな)
レイズンは柵にゴチンと頭をぶつけて「しっかりしろ」と自分自身に喝を入れると、痛みに顔を引きつらせながら前を見た。
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